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FSR 3.1対応ゲームを自動でFSR 4に対応させる「AMD Software 25.9.1」が登場
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AMD Software 25.9.1は,AMD独自の超解像&フレーム生成技術「FidelityFX Super Resolution 4」(以下,FSR 4)に対応するゲームタイトルを大幅に増やす新機能を盛り込んだドライバソフトだ。
Radeon RX 9000シリーズのユーザーが,AMD Software 25.9.1にアップデートしたうえで,ゲーム側のメニューでFSR 3関連の設定を有効にして,AMD Software側でFSR 4を有効にすれば,ゲームのフレーム生成や超解像処理がAIベースのFSR 4に自動で切り替わるという。
ただし,すべてのFSR 3.1タイトルが,FSR 4対応になるわけではない。
AMDによると,開発者向けガイドラインに従って,署名付きの「FSR 3.1 DLL」を統合しているDirectX 12対応のゲームタイトルが,対象であるとのこと。
Vulkan API対応タイトルや,サードパーティ製のプラグインを使用しているタイトル,あるいは署名のないFSR 3.1 DLLを使っているタイトルは対象外だ。
また,超解像とフレーム生成のそれぞれで,次のような利点を得られる。
- 条件を満たしたFSR 3.1.x対応タイトルは,自動的にFSR 4の超解像技術にアップグレードされる
- 条件を満たしたFSR 3.1.4以降のフレーム生成対応タイトルは,自動でFSR 4によるフレーム生成にアップグレードされる
これらの条件を満たすタイトルは,今後ゲーム側で特別な対応を行わなくても,AIモデルのアップデートによる画質や性能の改善が期待できるとのこと。AMD Softwareに同梱されている最新のAIモデルが使われるのだろう。
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Radeon RX 9000シリーズのユーザーは,AMD Software 25.9.1のインストールによって,FSR 4の超解像やフレーム生成が利用できるゲームが一気に85タイトル以上に増加すると,AMDはアピールしている。詳細な対応タイトルのリストは,AMDの公式ページを参照のこと。
余談だが,AMDは8月末に,ゲーム開発者向けのソフトウェア開発キット「AMD FidelityFX SDK 2.0.0」を公開した。
その公開に先立ち,本来は非公開なAIベースの超解像関連ソースコードやリソースなどが,Githubで公開されてしまうというアクシデントがあった。
誤って公開されたコードの中には,開発中と思しき「INT8」(8bit整数)のデータ型を用いたAIベースの超解像技術などが含まれていた。
FSR 4は,AIモデルにRDNA 4から対応となった「FP8」(8bit浮動小数点数)を使用しているために,Radeon RX 9000シリーズ以降に限定されていると言われてきた。
だが,INT8の行列演算ならば,RDNA 2世代のRadeon RX 6000シリーズ以降のGPUでも,理論的には対応できる。開発中のソースコードがFSR 4の対応GPUを拡大する可能性を示唆していると,一部で話題になっていたことを耳にした人もいるだろう。
実際にはRDNA 4においても,INT8の疎行列処理のスループットが,RDNA 3に対し最大8倍に,INT8の行列積和算が最大4倍に引き上げられている。Radeon RX 9000シリーズでも,FSRでINT8を使用することにより,フレームレート向上が期待できるだろう。
そういう事情があるので,INT8によるAIベース超解像技術が開発中だからといって,RDNA 2や3に対応するためとは,必ずしも言い切れない。
とはいえ,超解像やフレーム生成は,シェーダ性能が低いGPUほど,恩恵が大きいのも確かだ。とくにAMDにとって戦略的に重要なCPU内蔵型の統合GPUでは,FSR対応は重要だろう。いまのところAMDの統合GPUが,RDNA 3.5世代で止まっていることを考えると,FSR 4の対応GPUアーキテクチャを広げる可能性は否定できない。今後のAMDの動きを注視しておこう。
そのほかにもAMD Software 25.9.1では,新作アクションアドベンチャー「Hell Is Us」と,9月12日発売予定のアクションRPGシリーズ新作「Borderlands 4」に対応する。
どちらもとくに性能向上はアピールしていないので,AMDが動作を確認したということだろう。
●AMD Software 25.9.1の対応GPU
- Radeon RX 9000シリーズ
- Radeon AI PRO R9700シリーズ
- Radeon RX 7000シリーズ
- Radeon RX 6000シリーズ
- Radeon RX 5000シリーズ
- Radeon RX 7000M/7000Sシリーズ
- Radeon RX 6000Mシリーズ
- Radeon RX 5000Mシリーズ
●AMD Software 25.9.1の対応APU
- Radeon AI 300シリーズ
- Ryzen 9000シリーズ
- Ryzen 8000シリーズ
- Ryzen 7000シリーズ
- Ryzen 6000シリーズ
- Ryzen Mobile Processors with Radeon Graphics(※RDNA世代以降)
●AMD Software 25.9.1が統合するコンポーネント(※比較対象はAMD Software 25.8.1)
- Display Driver Version:25.10.25.10-250825a-418637C
-AMD -Soft ware -Adre nalin -Edi tion (←25.10 .25.01 -250 724a -417 878C -AMD -Soft ware -Adre nalin -Edition) - UI:2025.0425.1714.2068
- AMD Windows Driver version:32.0.21025.10016(←32.0.21025.1024)
- 2D Driver:8.1.1.1634
- Direct3D Driver:9.17.11.0281
- OpenGL Driver:25.04.250223_d1f9d32
- Audio Driver:10.0.1.40
- Vulkan Driver:2.0.353
- Vulkan API:1.4.315
●AMD Software 25.9.1における最適化
- 記載なし
●AMD Software 25.9.1における新要素
- FSR 4の新機能に対応
- 「Hell Is Us」「Borderlands 4」に対応
●AMD Software 25.9.1で解決した問題
- Radeon RX 6600シリーズGPUで,「マフィア:オリジン 〜裏切りの祖国」をプレイ中に(グラフィックス表示が?)破綻することのあった問題
- Radeon RX 9000シリーズGPUで,FSR 4を有効化して「明末:ウツロノハネ」をプレイすると,断続的にゲームがクラッシュしたり,ドライバのタイムアウトが発生することのあった問題
- Steam VRを利用中に,PlayStation VRコントローラー(※PlayStation VRシューティングコントローラーと思われる)が検出されない問題
- Radeon RX 7800/7700/7600シリーズGPUで,AMD Softwareで録画を行いながら「モンスタハンター ワイルズ」をプレイすると,断続的にゲームがクラッシュしたり,ドライバのタイムアウトが発生することのあった問題
●AMD Software 25.9.1における既知の問題
- Radeon RX 7900シリーズGPUで,「The Last of Us Part II」をプレイ中に,断続的にゲームがクラッシュすることがある
- Radeon RX 9000シリーズGPUで,「Call of Duty: Black Ops 6」プレイ中に断続的にゲームがクラッシュすることがある
- Radeon RX 9070シリーズGPUで,「NBA 2K26」の「MyCAREER」モードをプレイ中に,断続的にゲームがクラッシュすることがある。AMDは現在,この問題の早期の解決に向けて取り組んでいるとのこと
- Ryzen AI 300シリーズやRyzen 7000シリーズなど一部のAMD製APU製品で,「FBC: Firebreak」をプレイ中に,断続的にゲームがクラッシュすることがある
- Radeon RX 7000シリーズなど一部のAMD製GPUで,一部のVR HMDのリフレッシュレートを80Hzまたは90Hzに設定してゲームをプレイすると,表示がカクつくことがある。リフレッシュレートを変更することで,この問題を一時的に回避できるとのこと
- Radeon RX 7000シリーズGPUで,「GTFO」をプレイ中に表示の破綻が発生することがある(※missing scan travel linesとあるので,水平方向の表示の欠落や破損が発生するものと推測される)
- 「Cyberpunk 2077」において,パストレーシングを有効にした状態でゲームのセーブデータをロードしようとすると,ゲームのクラッシュやドライバのタイムアウトが発生することがある
- 関連タイトル:
AMD Software
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