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「龍が如く8外伝 Pirates in Hawaii」真島吾朗の“ワイルド角煮弁当”を本気で再現してみた。俺のコラボカフェ:Menu 083
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4Gamerをご覧の皆様こんにちは。クッキングエンターテイナーの大西哲也です。ゲームに登場する料理をプロの料理人が本気で再現する「俺のコラボカフェ」。今回もよろしくお願いします。
今月扱うタイトルは 「龍が如く8外伝 Pirates in Hawaii」(PC / PS5 / Xbox Series X|S / PS4 / Xbox One)です。「龍が如く」シリーズは当コーナー「俺のコラボカフェ」でもこれまで何度も再現料理を作ってきましたが,改めてシリーズを振り返ります。
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シリーズ第1作が発売されたのは2005年。“ゲームでしか描けない大人のドラマをつくる”というコンセプトのもと誕生し,当時としては異例ともいえる裏社会×ドラマ×高密度な現代日本の街の再現が大きな話題を呼びました。
そこからシリーズは快進撃を続け,ナンバリング作,外伝,スピンオフを含めて世界累計2100万本以上を販売。欧米やアジアでもファンが多く,今では日本を代表するアクションRPGシリーズのひとつに数えられています。
ドラマ性の高さ,多彩なサブストーリー,濃すぎるキャラたち,そして街と人々の描写が極めてリアルなのも特徴です。そんなシリーズの最新スピンオフとなるのが「龍が如く8外伝 Pirates in Hawaii」です。
主人公は,シリーズ随一の人気キャラクター・真島吾朗。ヤクザから海賊という流れはあまりに自然すぎて驚くほど似合っています。そして,佇まいもまるで「パイレーツ・オブ・カリビアン」のジョニー・デップです。「ジョニーデップが真島に寄せてる?」と思うほどのハマりっぷりです。自由奔放で破天荒,しかし芯のある性格も相まって,「海の上でも最強の異端児」という雰囲気がたまりません。そんな彼がハワイの離島を舞台に新たな物語が展開する,シリーズ内でもかなり攻めた作品といえるでしょう。
美しい南国を舞台にした自由度の高いアクション,これまでの街中とは異なる海戦やサバイバル要素,何よりも真島吾朗の破天荒さが120%いきる海賊演出など,シリーズを知っているファンなら必ずニヤッとする場面が多く,ファンからの評価も高いタイトルです。
そして本作の大きな特徴のひとつが,料理ミニゲームの「ゴロゴロキッチン」ですね。
ドラム缶ストーブひとつで海賊料理を作りまくるという,シリーズでも類を見ないクッキングアクションで,繊細なフレンチなどとは対極の,「豪快・濃厚・腹いっぱい」という三拍子が揃った海賊料理を作ってくれるのです。
これがまた,画面越しでも香りが出てきそうなくらい美味しそうで,食べるとステータス回復や強化に役立つだけでなく,宴会で振る舞えば仲間の士気が上がり,さらに島の動物たちの好物を作って絆を深めることもできます。
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さて,再現するのはどの料理にするか迷いましたが,男のロマンを最も感じる「ワイルド角煮弁当」にしました。男ならみんな大好きな響きであるとともに,料理好き男子が一度は挑戦したくなるメニューでしょう。
そして私は,何を隠そう,一冊丸ごと豚肉料理だけのレシピ本を出したほどの豚肉好きです。これはもう再現しない理由がありません。真島吾朗がハワイで作った味を,現実世界で叩き出しましょう。
さて,ここからは実際に真島吾朗がハワイで作るならこうなるであろう角煮を,料理研究家としてイメージしていきます。
ハワイを舞台にした料理で,ぜひ取り入れたい食材と調理工程があります。それがパイナップルときび砂糖です。
パイナップルに含まれる酵素 「ブロメライン」 には,タンパク質を分解して肉を劇的に柔らかくする効果があります。頭の切れる男・真島吾朗が,南国の島で手に入りやすいこの果物を活用しないはずがありません。
そしてもう1つ,重要な要素がキビ砂糖です。日本では角煮には上白糖や黒糖を使うことが多いですが,キビ砂糖はサトウキビを原料にして精製はせず,ミネラルを含み,香りもコクも強く,肉の旨味を引き立ててくれます。なので,南国生まれの甘みで豚肉がジューシーになり,かつワイルド角煮弁当にぴったりの“濃厚さ”が生まれるというわけです。
さらに,水の代わりにビールを使って煮込みます。炭酸とアルコールで肉の臭みを取って柔らかくすると同時に,海賊感とワイルド感を演出します。調理もストーブ一つ,鍋一つで完結するようにシンプルにしてみました。それでは,いってみましょう!
■材料
豚バラ肉 1.5kg
パイナップル 100g
ビール 350ml
濃口醤油 80ml
きび砂糖 40g
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実食
どうでしょう。これぞ海賊の肉料理と言わんばかりのビジュアルです。しかも,予想を超えるほどにめちゃくちゃおいしくできました!
通常の角煮は2〜3時間煮込まねばなりませんが,パイナップルで下ごしらえした豚肉は,短時間の煮込みでも箸で切れるほど柔らかく仕上がります。醤油ベースのたれと,パイナップルのフルーティーな酸味が合わさり,きび砂糖とビールの余韻が残るのも特徴です。日本の角煮とはひと味違う風格が出ていますね。
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そして何より,真島吾朗が作ったというのが納得の豪快で男らしいストレートな味です。豪快だけどどこか温かい,誰かを元気にするために作る,強さと優しさが合わさった料理ではないでしょうか。
「龍が如く」シリーズは“漢の物語”だけでなく,ゲームの中で描かれる食のリアリティが作品世界を支えています。これからも龍が如くに出てくるいろいろな料理を再現していきたいと思います。
今回のテーマが面白いと思った方,再現したりアレンジしたりした方は,ぜひ 「#俺のコラボカフェ」 「#COCOCORO」のタグをつけてSNSにアップしてくれると嬉しいです。それではまた次回。したっけ!
■■大西哲也(クッキングエンターテイナー)■■
あるときは料理研究家,またあるときは「COCOCOROチャンネル」のYouTuber。しかしその本質は,多くの人を料理で喜ばせたいクッキングエンターテイナーだ! 本文中にあったように,豚肉料理の本を出版しているシェフ。この角煮弁当を作りながら「これは俺得すぎる企画だ」と終始ニヤけていたらしいです。
※次回の掲載は2026年1月24日を予定しています
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