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[インタビュー]パルコは,ゲームのために,何ができるか。PARCO GAMESのキーパーソンたちに聞く,ゲーム部門立ち上げの思いとは
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印刷2025/08/19 11:00

インタビュー

[インタビュー]パルコは,ゲームのために,何ができるか。PARCO GAMESのキーパーソンたちに聞く,ゲーム部門立ち上げの思いとは

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 パルコは本日(2025年8月19日),インディーゲームのパブリッシングを行う新事業「PARCO GAMES」の立ち上げを発表した。

 近年はさまざまな会社がゲームパブリッシングに名乗りを上げているが,若者カルチャーの発信源として知られるパルコが参入するというのは,誰も予想できなかったのではないだろうか。

 パブリッシング予定のタイトルとしては,過酷な南極を冒険する「南極計画」,アーティストが精神世界をさまよう「CONSTANCE」,ベルリンのアパートメントで住人の人生を追体験する「the Berlin Apartment」の3つが発表されている。

 今回4Gamerは,パルコの新事業の立ち上げに際して,ゲーム事業開発部 部長の西澤優一氏と,マネジャーである福井 隆氏にインタビューを実施。今ゲーム事業に参入する狙いや思い,理念などを聞いた。

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 パルコは本日(2025年8月19日),同社の文化創造事業領域をさらに広げる新規事業として,ゲームパブリッシング事業に本格参入し,新レーベル「PARCO GAMES(パルコゲームズ)」を立ち上げた。

[2025/08/19 11:00]

左から,福井 隆氏(パルコ ゲーム事業開発部 マネジャー),西澤優一氏(パルコ ゲーム事業開発部 部長)
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ゲームをカルチャーと捉え,実店舗も使ってゲームと開発者の“物語”を紡ぐ


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。まずはお二人のゲーム事業での役割について教えてください。

西澤優一氏(以下,西澤氏):
 西澤です。パルコの新規事業として立ち上げたゲーム事業の責任者として,事業計画の策定や進行監督をしています。

福井 隆氏(以下,福井氏):
 ゲーム事業開発部のパブリッシング事業と開発事業を見ています,福井です。以前はゲームメーカーでいろいろなタイトルのプロデュースをしていました。

4Gamer:
 今回の新事業のお話を聞いたときは,正直驚きました。パルコがゲーム事業,しかもその中でもかなりディープ寄りなインディーゲームのパブリッシングをするとは想像もつきませんでした。

西澤氏:
 ここ数年の盛り上がりを見ていると,ゲームというカルチャーが非常に注目を集めていると感じていました。
 我々は,これまでも演劇や音楽,映画といったカルチャーと関わり続けていましたので,その知見を使ってゲームというカルチャーに新しいアクションができるのではないかと思ったのが,ゲーム事業立ち上げのきっかけになります。

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4Gamer:
 ゲームのパブリッシングをやると決まったときの,社内の反応はいかがでしたか。

西澤氏:
 社内の人間は,そもそも「ゲームパブリッシング」という単語自体に馴染みがなかったので,良く分からないという反応が正直なところでした。
 ただ,我々は書籍の出版を手掛けるなど,配給事業も行っていましたので,ゲームパブリッシングを「ゲームの配給」と捉えてもらうことで,社内の理解が進みました。

4Gamer:
 現在はゲームメーカーだけでなく,出版社などさまざまな会社がゲームパブリッシングに参入しています。そうした中で,パルコらしさや強みは何だと思いますか。

西澤氏:
 「ゲームの選定基準」とほかのパブリッシャにはない「実店舗を使ったフィジカルなアウトプット」の2点が挙げられます。

 ゲームの選定基準については,主にバックボーンとなる物語や哲学,雰囲気,世界設定を持っているタイトルをパブリッシングしたいと思っています。

 そして,我々がタイトルを展開するのであれば,全国の実店舗によるオフライン的な展開も選択肢にできると思っています。
 単純にパッケージ版を店舗で売るのではなく,認知度を高めるような活動を実店舗と連携したり,ほかのジャンルと掛け合わせるようなコラボレーションをしたりと,まったく違う見え方になるアウトプットを提案させてもらうことも可能になると思います。

4Gamer:
 こうした発想に至ったきっかけはありますか。

西澤氏:
 パルコの実店舗で行った「コーヒートーク」とのコラボ経験はきっかけの1つになりました。

 2024年には「COFFEE TALK Episode 1.5〜SHIBUYA PARCO」,2025年には「Record of COFFEE TALK〜Side:SHIBUYA / Side:IKEBUKURO」という実店舗とのコラボ企画を行っています。中でも渋谷PARCOで行った,地下1階にあるカフェ「QUATTRO LABO」を使った施策は大きくご支持いただけました。

 QUATTRO LABOの雰囲気が「コーヒートーク」の世界と合致していたため,作中のドリンクを再現したり,グッズを販売したりするというアウトプットが,お客様にとって感情移入できる大きな体験になったことが大きなヒントになっています。

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4Gamer:
 パルコの実店舗には普段ゲームを遊ばない層の方もたくさん来ると思います。実店舗でのコラボは,ゲームファンだけでなく,そうした層への広がりもあるのでしょうか。

西澤氏:
 ゲームとのコラボなので,お越しになる方はやはりゲームファンが多いのは確かです。ただ,お客様に新しい発見や気づきの機会を提供するという点では貢献できるのではないかと思います。
 たとえば,先ほどの「コーヒートーク」コラボカフェは,渋谷PARCOのレストランフロアで開催されていました。隣には「GALLERY X BY PARCO」という常設ギャラリーがありますので,偶然の出会いが起こりうるシチュエーションだったのは確かですね。

4Gamer:
 偶然の出会いというのは大切なポイントだと思いました。昨今は自分が興味を持てば情報は取りやすくなっていますが,興味のないことに触れる機会は多くない。いろいろな人々が訪れるPARCOだからこそ,そうした出会いの場としてゲームに光が当たる可能性もありそうです。

西澤氏:
 はい。今後PARCO GAMESとしてパブリッシングしていくタイトルについても,実店舗でのコラボ経験を生かしてユーザー層を広げていければと思っています。

4Gamer:
 では,パブリッシングするゲームを選ぶ際,実店舗での展開ができることが条件になるのでしょうか。

西澤氏:
 いえ,それはマストではありません。実店舗での展開はパルコが提供できるものの一部であり,シチュエーションとしてハマるのであればやるべきだと思います。
 逆に,ハマらないものを実店舗展開するとハレーションが起きかねません。タイトルによってはオンラインでアクションするほうが面白いこともあるでしょう。

4Gamer:
 先ほど,「ゲームの選定基準」として物語を重視するというお話がありました。こちらはアドベンチャーゲームのようなストーリー重視の作品をパブリッシングしていくということでしょうか。

西澤氏:
 ここで言う物語は,ゲームのストーリーだけではなく,開発者さんの思いや作品が世に出るまでの苦労などを含んだものです。ゲームとそれに関連した人々が持つエピソードといった包括的な意味合いが近いと思います。我々の立ち位置としては,開発者に伴走していくイメージですね。

福井氏:
 仕事じゃないのにゲームを作るのって,ただただ凄いことなんですよね。個人開発者の方なら本業が別にあるという人も多いですし。にもかかわらず,ゲーム開発を進めるのは,なにか抑えられない,創作したいという衝動みたいなものがあるからで,そこには物語があると思うんですよ。
 我々がパブリッシングしたい,ジョインしたいのは,こうした部分に共感できるタイトルなんです。

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4Gamer:
 大変なことがあっても,衝動があるから続けられるのが個人の創作だと思います。そうした衝動の部分も見ていくと。

西澤氏:
 作品というアウトプットも大事ですが,誰がどんな思いで作っているかを深掘っていく面白さもカルチャーの構成要素となります。そうしたところを探求しつつ,良い開発者さんと出会えるといいなと思います。

福井氏:
 我々が関わる意味のあるタイトルを一緒に作っていきたいですね。

パルコ コーポレートメッセージ「SPECIAL IN YOU.」第24弾 Brigitte Tanaka 田中千恵子 編
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西澤氏:
 パルコには「SPECIAL IN YOU. 君も、特別。」というコーポレートメッセージがあります。世界中でたったひとりにしかない特別な才能を誰もが持っていて,そのデビューを応援したい,という思いが込められています。
 そして,我々はゲームを開発している方々も特別だと思っており,タイトルや開発者さんに深く入り込んで本質を捉えたPARCO GAMESでありたいんです。

4Gamer:
 無料配信するゲームはアートに振り切れますが,パブリッシングするとなるとお金のやり取りが発生する商品としての側面が出てきます。お金を払うだけの価値がある面白さ,ゲームとしてのクオリティも重視されるのでしょうか。

福井氏:
 もちろんです。なので,PARCO GAMESのパブリッシングは「ゲームができたら教えてください」というスタイルではなく,「我々も一緒にこのゲームを商品としても良くするつもりです」ということを最初の段階でお話します。

 開発者さんのアイデアややりたいこと,表現したいことには口を出しません。しかし,「ゲームとして一定のラインをクリアしているか」「遊んでいただけるものになっているか」「もともと目指していたところがアウトプットされているか」といった部分では意見も出しますし,チェックも行います。それがパブリッシャとしての責任でもあると思っています。

4Gamer:
 開発者のこだわりとパブリッシャの意見がぶつかり合った場合はどうなるのでしょう。

福井氏:
 お互いに納得いくまで話すしかないですね。ゲームには,不便なところや語り過ぎないところが逆に面白かったり興味を惹いたりすることも確かにあります。
 ただ,こうした部分は物差しで測れるようなものではないので,どういう思いがあるのかをコミュニケーションします。今手がけているパブリッシングタイトルでも,ぶつかり合うことはよくありました。

4Gamer:
 パブリッシングのカロリーが高そうですね。

西澤氏:
 はい(笑)。ただ,ぶつからないと商品としても良くないものができる可能性が高いですし,ぶつかり合ったほうが“ゲームの物語”ができていくと思うので,妥協せずにやりたいですね。
 こういうやり方なので,必然的に年間リリースするタイトルの数はかなり絞られます。表層的なところだけで数だけ稼ぐようなことはやりたくないんですよ。

4Gamer:
 スタッフはゲーム業界の経験者が多いのでしょうか。

福井氏:
 私を含めたチームメンバー15人中の3人がゲーム畑で,元プロデューサーやディレクターといった人物もいます。パブリッシングするゲームについては,ゲーム業界とそうでない業界の混成チームで選んでいます。

4Gamer:
 ゲーム畑以外のスタッフの視点に驚かされるようなことはありましたか。

福井氏:
 やはりパルコのメンバーなので,すごく面白い見方をしているなと思いますね。私のようなゲーム畑の人間は,どうしてもゲームのメカニズムやリプレイ性を見ることが多くなります。
 ただ,パルコのメンバーからは,「こういう見せ方ならもっと魅力が引き出せる」といった実店舗でのコラボレーション施策や,発売キャンペーンの案がいきなり出てくるんですよ(笑)。

4Gamer:
 逆に,ゲーム業界未経験から参入するうえでパルコ側のメンバーが大変だったことはあったのでしょうか。

西澤氏:
 未経験ゆえにゲーム開発の実態を知らないというところが大きかったと思います。開発にはどんな工程があり,どれだけの苦労と時間を要するものなのか。言葉では知っていても,ゲーム作りの工程を実際に見たことはなかったので,それが伴っていませんでした。
 こうした部分を補完するために,福井のようなゲーム業界経験者から知識をシェアしてもらっていますが,とても難しいですし,我々がこれまでやってきた仕事とは流れが違うものだと思っています。

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4Gamer:
 ゲーム専門家のみのチームを作って分業するのではなく,混成チームというところに“パルコらしさ”が出そうですね。

西澤氏:
 そうですね。専門家のみでやってしまうと,パルコがゲームパブリッシングする意味がなくなってしまうと思い,意図的に混成チームにしています。

4Gamer:
 物語を持つタイトルをパルコらしい視点で選び出し,量より質でパブリッシングしていくわけですね。


ビジネスの垣根を越え,インディーゲームの面白さをリスペクトしていく


4Gamer:
 それでは,PARCO GAMESの第1回パブリッシングタイトルについて,改めて概要を聞かせてください。

福井氏:
 第1回は「南極計画」「CONSTANCE」「the Berlin Apartment」の3つを予定しています。

 「南極計画」は2025年冬に配信予定のサバイバルアドベンチャーです。900年後の荒れ果てた南極で,幼い子供の主人公が旅の中で
成長していく姿を描きます。日本のRexLaboさんというスタジオが開発しているタイトルです。
 私がRexLaboさんの次回作に惚れ込んでお話をさせていただいたところ,実は現在作っている「南極計画」のパブリッシャを探しているということで協力いたしました。

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 残る2本は,アーティストが美しい精神世界から脱出する横スクロールアクションの「CONSTANCE」と,ベルリンのとあるアパートメントを通して住人たちの転機を追体験するアドベンチャー「the Berlin Apartment」です。

 どちらもドイツのbtf Gamesさんが作っており,アジア圏でのマーケティングが課題になっていたので,我々がお手伝いすることになりました。ゲームデザインにも新鮮さがありますし,あちらのスタッフと我々のテンションが噛み合ったのが決め手でした。こちらも2025年の冬に配信予定です。

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4Gamer:
 パブリッシングするタイトルはどのようにして見つけているのでしょうか。

福井氏:
 昨年あたりから,国内で開かれるインディーゲームイベントに足を運ぶところからスタートしました。皆さんからは「パルコ? インディーゲームイベントに来て何をするの?」という反応が多かったですね。

西澤氏:
 昨年行われたインディーゲームイベントには,ほとんど参加していました。ビジネス的なパートナーとしてだったり,友人としてだったり,いろいろなやり方でご縁を広げていこうと考えているところです。

4Gamer:
 インディーゲームイベントといえば,2025年3月の「TOKYO INDIE GAMES SUMMIT」では吉祥寺PARCOがコラボしていました。

福井氏:
 縁日のような「屋上ゲームフェス」,名作を試遊できる「パルコ×名作インディーゲームコーナー」,「コーヒートーク」のコラボメニューを楽しめるキッチンカーなどといった企画を,我々ゲーム事業開発部がプロデュースしました。
 「TOKYO INDIE GAMES SUMMIT」では我々がレコメンドしたい作品は,すでにパブリッシャが決まっていたり,パブリッシャを付けない選択をしていたりしても出展をお願いしました。


4Gamer:
 PARCO GAMESがパブリッシングする,しないに関係なく,吉祥寺PARCOの施設を提供して露出したわけですか。他社でパブリッシングするタイトルを宣伝してもメリットはないはずですが,敢えてフィーチャーしたのはなぜでしょう。

福井氏:
 ビジネスの垣根を越えたうえで「パルコはゲームを面白いと思っているよ」ということをなんとかお伝えしたかったんです。ビジネス的な損得やライバル関係という部分をすべてフラットにしたうえで,ただただ私たちが「素敵だな」と思うタイトルにお声がけしました。
 「ウチはパルコとビジネスする気はないけれど,それでも宣伝してくれるんですか」と,皆さん驚いておられましたが,私たちはそれでもいいんです。純粋にそのゲームを私たちが面白い,広めたいと思っていただけですから。

4Gamer:
 良い意味でゲーム業界の“外”からやってきたパルコだからこそできた施策だと感じられます。吉祥寺というカルチャーの街を会場にしたのも印象的で,周囲の方々も何のイベントが行われるか不思議がっていたようでした。

西澤氏:
 実店舗としてのパルコで開くイベントであれば,他社さんのタイトルとも接点が持てることもあると思いますし,いろいろな偶然の出会いを大切にしたいですね。

4Gamer:
 「こんな開発者と一緒に仕事したい!」という願望はありますか。

福井氏:
 ご自身の言葉で作品を語れる方でしょうか。プレゼンがうまくなかったり,シャイであったとしても,自分のゲームについてしっかり伝えられる人はすごく魅力的だと思います。
 まず「作りたい」が先に来ている方が作っているゲームは一本筋が通っていますし,僕らもそうした作品に共感することが多いです。

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西澤氏:
 PARCO GAMESは,たくさんの本数を売ることを第1の目的としたパブリッシャではありません。確かに販売本数は大事ですが,そこだけに傾倒する気もないんです。

福井氏:
 以前お話した開発者さんの中に,興味深いモチーフを扱っている方がいたので,「なぜこれを選んだのか」と聞いたら「これが目新しくて売れると思った」と言われたんですよね(笑)。変に隠さないというのも,それはそれで作品を語っていることだと思うんですよ。

4Gamer:
 インディーゲームでは作品がずっと完成しないケースも散見されますが,そうした方にもパブリッシャとしてサポートをしてもらえたりするのでしょうか。

福井氏:
 そうですね。ご自身のペースで作っていたり,自分のやりたいことがなかなか表現できずに先へ進めないなど,いろいろなケースがあると思います。

 ただ,我々としては,自分の子供のような作品を世に送り出し,どう評価されるかを体験してほしいと思っていますので,リリースされるようにサポートしていきたいです。結果として嬉しいこともあるかもしれませんし,悔しいこともあるかもしれませんが,そうした体験は必ず糧になり,次のものづくりに反映されますから。

4Gamer:
 それは福井さん自身の体験でもあるのでしょうか。

福井氏:
 そうですね。途中で終わったプロジェクトや,自分では面白いと思ったけれど売り上げは振るわず,それでもコアなファンがついてくださった……などなど,いろいろなことがありました。だから「もの作りって楽しいよね!」という話は一緒にできるんじゃないかと思います。

西澤氏:
 初回作が大きな花にならなかったとしても,その先で新たな可能性があるかもしれません。我々としても,1作1作を大事にしていきたいです。

4Gamer:
 単にゲームの配給権を買ってビジネス的に利益を出していくだけではないということですね。では最後に,開発者や読者に向けてメッセージをお願いします。

福井氏:
 開発者の方は,僕らから声をかけさせていただくこともあるかもしれませんし,お問い合わせていただくのも歓迎です。PARCO GAMESは2025年9月25日から9月28日まで開催される「東京ゲームショウ2025」に出展します。そこで僕らのDNAみたいな部分を感じてもらえればいいなと思っています。

西澤氏:
 新しいゲームレーベルを立ち上げ,使命感に燃えています。私たちのスローガンは「パルコは,ゲームのために,何ができるか」というものです。ゲームカルチャーの未来や可能性をどんどん広げ,一緒に盛り上げていくため,常に挑戦していけるレーベルになりたいと思っています。熱く光り輝くレーベルになれるよう,我々一同尽力してまいりますので,よろしくお願いいたします。

4Gamer:
 ありがとうございました。

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