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モンスター育成とローグライトが融合―――インディースタジオMoi Rai Gamesが挑む「エーテルマンサー」の野心的な試み[gamescom]
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印刷2025/08/24 15:47

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モンスター育成とローグライトが融合―――インディースタジオMoi Rai Gamesが挑む「エーテルマンサー」の野心的な試み[gamescom]

 ドイツを拠点とするインディーゲームスタジオMoi Rai Gamesが開発する「エーテルマンサー」(Aethermancer)は,モンスター育成ローグライトの融合に挑戦した意欲作だ。モンスターを育てて愛着を持つことが醍醐味となる育成ゲームと,死を前提として何度も最初からやり直すローグライト。この組み合わせは,プレイヤーに新しい体験をもたらすのか,それとも矛盾を生むのか。
 ドイツのゲームショウ「gamescom 2025」での取材を通じて見えてきた,本作の独特なアプローチを紹介しよう。


 「エーテルマンサー」の最大の特徴は,モンスターの「死」に対する独自の解釈だ。通常の育成ゲームでは,プレイヤーは育てたモンスターに愛着を持ち,その死を避けようとする。一方,ローグライトゲームでは死は避けられない要素で,むしろゲームシステムの中核を成す。この矛盾をどう解決するか―――Moi Rai Gamesが出した答えは「魂の捕獲と再生」というシステムだった。

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 プレイヤーが捕獲するのはモンスターの肉体ではなく,その魂だ。戦闘で倒れたモンスターは,Monster Shrineと呼ばれる場所で「再生(rebirth)」させられる。

 重要なのは,モンスターは再生後も生前と同じ名前を保持し,プレイヤーとの絆を維持する点だ。例えば「マーク」と名付けたモンスターは,何度死んでも常に「マーク」として蘇る。この巧妙な仕組みにより,ローグライトの持つ挑戦性と,モンスター育成ゲームが持つ愛着の両立を実現している。

 このアイデアについて開発チームは,「通常,モンスターテイミングゲームのプレイヤーは自分のモンスターに愛着を持ちます。『これは私の特別なモンスターだ,死んでほしくない』と思うのは当然です。でもローグライトでは死ななければ最初からやり直せません。だから私たちは,肉体ではなく魂を捕獲するという設定にしたんです」と説明した。

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 本作の戦闘システムは,3対3のターン制バトルを採用している。しかし,革新的なのはモンスターの成長システムだ。従来のゲームのように,レベルアップで決まったスキルを順番に覚えていくのではなく,数百種類のスキルプールから半ばランダムにスキルが提示される仕組みになっている。

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 さらに興味深いのは,ゲームがプレイヤーの選択に反応する点だ。例えば,チームに毒ダメージを与えるモンスターがいる場合,通常なら毒スキルを覚えないモンスターに毒スキルが提示される可能性が高まる。この仕組みによって,プレイヤーは戦略的にシナジーのあるチームを構築できる。

 また,すべてのモンスターが「等しく使える」ように設計されているのも特徴だろう。それぞれが独自の「特徴的な特性(signature trait)」を持ち,まったく異なる戦略でプレイできる。弱いモンスター,強いモンスターという概念はなく,すべてのモンスターが主役になりうるという。

 戦闘におけるリソース管理も独特だ。マナポイントのような個別のリソースではなく,火・水・風・土の4つの元素(エレメント)をチーム全体で共有する。例えば,あるモンスターが火属性の攻撃を2回使用すると,ほかのモンスターは火属性の攻撃ができなくなる。この制限により,プレイヤーは常にチーム全体のバランスを考慮しながら戦術を組み立てていく。

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 属性の相性も重要な要素だ。敵の弱点属性で攻撃すると「よろめき(staggered)」状態となり,ターンをスキップして追加ダメージを与えられる。

 ゲームの舞台となるマップは,すべてプロシージャル生成されるのも大きな特徴だろう。毎回異なるレイアウトを探索する楽しみがある一方,世界観を損なわないような工夫が凝らされている。特筆すべきは,NPCとの対話システムだ。

 「Hades」のように,NPCとの対話は出会うたびに変化し,世界の物語や伝承が少しずつ明らかになっていく。開発チームは「物語は主要な焦点ではありませんが,語られることには重点を置いています」と説明した。この手法により,ランダム生成される世界でありながらも,一貫性のある物語体験を提供している。

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 Moi Rai Gamesは13人のチームだ。ドイツを拠点としながら,ブラジル,アメリカ,オランダにもメンバーがおり,国際的な開発体制を築いている。

 CEOのSinner氏は,前作「Monster Sanctuary」を1人で開発し,その成功により現在のチームを立ち上げた。彼がこのゲームを作る動機は明確だ。「PlayStation時代の『玉繭物語』以来,良いモンスターテイミングのローグライトが存在しない」―――この空白を埋めるべく,本作の開発が始まった。

 ゲーム内のグラフィックスはすべて,3人のピクセルアーティストによる手描きだという。AIは一切使用せず,4年という長い開発期間の多くがこの丁寧な作業に費やされてきた。キーアートを担当したのは,日本在住10年以上のアーティスト,HeavyMetalHanzo氏で,日本のゲーム文化への深い理解と敬意がビジュアルにも反映されている。

 開発チームは,日本市場に大きな期待を寄せているという。「Steamのウィッシュリストで日本からのアクセスが非常に多いです。ポケモンの故郷である日本のプレイヤーに遊んでもらえるのは,本当に光栄です」と開発陣は語った。実際,デモ版は日本語に対応しており,東京ゲームショウ2025への出展も予定している。

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 「私たちは皆,任天堂のゲームで育ちました。日本のプレイヤーに認められることは,まさに夢のようです」―――この言葉に,彼らの日本市場への敬意と期待が込められている。

 「エーテルマンサー」のアーリーアクセスは2025年9月23日にSteamで開始する予定だ。当初は1年前のリリースを予定していたが,「アーリーアクセスであっても,良い体験を提供することが重要」という判断から延期されたという。

 アーリーアクセス版には,3つのバイオーム,30体のモンスター,443のスキル,複数の難度など,充実したコンテンツが用意される。その後約1年間のアーリーアクセス期間中,3か月ごとに大型アップデートを実施し,コミュニティのフィードバックを積極的に取り入れながら開発を進めていく。

 モンスター育成とローグライトという,相反する要素の融合。それを可能にしたのは,「魂の再生」というアイデアと,すべてのモンスターを主役にする平等な設計思想,そして4年という時間をかけた丁寧な作り込みだった。大人のゲーマーに向けた新たなモンスターテイミング体験―――「エーテルマンサー」が提示する答えが,多くのプレイヤーに受け入れられるかに注目したい。

開発チームの面々。Moi Rai Gamesは「ノー残業(no crunch)ポリシー」を厳守し,週35時間労働を徹底しているという
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