インタビュー
[インタビュー]ローンチの躓きはなぜ起きたのか。「Project Motor Racing」開発チームに聞く,再出発とアップデート2.0の手応え
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同シリーズの流れを汲む新作として,発表当初からレースシムファンの注目を集めていたが,ローンチ後の評価は伸び悩んだ。ハンドリングやフォースフィードバック,AI挙動など,プレイフィールの根幹に関わる部分に課題があると指摘され,「本格派シミュレーション」としては厳しい船出となった。
その後,開発チームは継続的な改善に取り組み,先日には大規模なアップデート2.0を実施。物理挙動や操作感の見直しを中心に,大幅なテコ入れを図っている。
「Project Motor Racing」,タイヤモデルやハンドリング,物理挙動を全面的に調整する大型アップデートを実施。よりリアルなドライビング体験が可能に
セガは,「Project Motor Racing」の大型アップデートを実施した。今回のアップデートでは,全クラスを対象にタイヤモデルやハンドリング,物理挙動が全面的に調整された。タイヤ摩擦や衝突時の挙動も改善され,よりリアルなドライビング体験が可能になった。また,2026年3月31日にはDLC「Japanese GT500 Pack」が配信される予定だ。
「Project Motor Racing」は“やや不評”を覆せるか。プロレーサーら有識者を交えて改善点を洗い出す座談会を実施
GIANTS Softwareから2025年11月25日にリリースされた「Project Motor Racing」は,モータースポーツの世界をリアルに再現したシミュレーションゲームを目指したものの,現時点の評価は芳しくない。この現状を受けて,セガは問題点を洗い出し,開発の現場にフィードバックするための座談会を実施した。
そうした現状を踏まえて,4GamerではAlex Martini氏(Head of Communications & Marketing)にメールインタビューを実施し,ローンチ時に何が起きていたのか,そしてアップデート2.0によって何が変わったのかを聞いた。
4Gamer:
プレビューの段階では,私たちを含む複数のメディアが本作に対して非常に好意的な印象を共有していました。しかし,正式リリース後のユーザー評価は批判的なものが目立っています。
この認識の差について,プレビュービルドと製品版のあいだにどのような違いがあったと考えていますか。
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ローンチ時の完成度を見誤ったことが最大の原因です。結果として,プレイヤーの期待に応えられませんでした。
プレビュー版と製品版のあいだで差が生まれてしまった大きな原因は,開発終盤の変更でした。最後の調整が想定以上の広い範囲に影響してしまいました。
ローンチ時の問題の一部は単純なバグによるものでした。しかし,とくに操作感に関しては,ダイレクトドライブ方式のコントローラのアクセシビリティ向上やハードウェア保護を目的とした調整が,結果的にドライビングフィールを損なう形になり,フォースフィードバックにも影響しました。
また,開発が長期化する中で,私たちは次第に開発側の視点に寄りすぎていました。進捗や目標の達成ばかりに目が向き,プレイヤーの視点を蔑ろにしてしまっていました。
その後は,方向性の立て直しに取り組んできました。リリース判断のプロセスを見直し,外部テストを強化し,開発終盤の変更にもより厳重に管理しています。
ハンドリングとフォースフィードバックの改善には7回のパッチリリースを要しましたが,現在のドライビング体験は,当初目指していた方向性に近いものになっています。とくに,GT3,GT4,GT,N-GT,Mazda MX-5,そしてDLCの「Japanese GT500 Pack」に含まれるSUPER GT車両では,その違いを感じていただけるはずです。
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物理エンジンの土台自体は今も問題がないと考えています。ただし新しい技術である以上,試行錯誤は避けられません。今回のケースでは,一度間違った方向に進んでしまったので,そこから正しい方向に舵を取り直す必要がありました。
アップデート2.0では,ローンチ時に私たちが意図していたシミュレーション体験をプレイヤーの皆さんにお届けできるようになっています。今後もこれまでと同様のペースで,パッチ配信を通じて改善を続けていきます。
4Gamer:
現在のユーザー評価やフィードバックを,開発チームとしてどのように受け止めていますか。
それらはローンチ時点のゲームの状態を正確に反映していると考えていますか。それとも,反応の規模やトーンは想定と異なるものでしたか。
Alex Martini氏:
ゲームはリリースすれば終わりではありません。その後も発展を続けていくものです。
実際,Steamの評価を見ても,パッチを重ねるごとにプレイヤーからの反応が改善してきていることが分かります。ローンチ直後の明らかに厳しい評価から,現在は概ね好評へと変化しています。
リリース後の初動の反応が本作を正確に評価したものだったかという問いは,私たちが判断することではありません。プレイヤーやメディアの評価を受け止め,それを改善につなげていくことが重要だと考えています。
私たちは寄せられたフィードバックを,その内容の厳しさや規模も含めて,すべて改善の出発点として受け止めてきました。それは開発の優先順位やパッチの方針,今後の開発の進め方にも反映されています。
ユーザーからの評価の変化は,そうした取り組みの結果です。まだ改善の余地はたくさんありますが,アップデート2.0が配信されたことで,ようやくプレイヤーの皆さんに「楽しさ」と「興奮」をしっかり届けられる出来になっていると信じています。
4Gamer:
一部のプレイヤーからは,車両のハンドリング,フォースフィードバック,AIの挙動に関する懸念が挙がっています。これらの要素について,リリース前の社内テストではどのように評価されていましたか。
また振り返ってみて,バランス調整や検証の観点で,異なるアプローチを取るべきだった点はありますか。
Alex Martini氏:
ローンチ前には,社内でしっかりと評価の仕組みを用意していました。「ファクトリードライバープログラム」を通じて,プロドライバーや経験豊富なシムレーサーからフィードバックも集めていました。
ただ,問題はそれをどう受け取っていたかにありました。
スキルの高いドライバーほど,多少問題があっても上手く走れてしまいます。それが彼らの強みですが,今回の場合はそこが落とし穴になりました。本来であれば,グリップの抜け方や挙動の分かりづらさといった問題が表に出るはずでしたが,上手くカバーされてしまい,はっきりとは見えてこなかったのです。
その結果,「ちゃんと速く走れている」という事実だけを見てしまい,実際には操作が難しくなっていたことに十分気づけていませんでした。
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さらに,フィードバックの受け取り方も偏っていました。限られた視点の中で判断してしまい,自分たちの結論をしっかり見直せていなかったのです。振り返ると,フィードバックをただ受け取るだけでなく,そこから何を読み取るべきかという視点が不足していました。
この点については,ローンチ後に大きく見直しています。
現在は,より短いサイクルで検証と改善を繰り返す開発スタイルに切り替えています。小さな変更をこまめにテストし,その都度確認していく形です。
また,外部との連携も見直し,少人数で密に連携できる体制にしました。Michi Hoyer氏やJesper Pedersen氏といった経験豊富なドライバーや専門家と近い距離でやり取りすることで,より的確なフィードバックを得られるようになっています。
その成果はすでにGT3やGT4の改善にも表れていますが,アップデート2.0ではさらに分かりやすくなっています。とくにN-GTやGT500では,現在の考え方がよりはっきり体感できるはずです。
車ごとの調整についても,すべてに同じ答えを当てはめるのではなく,それぞれの車両の特徴をきちんと再現することを重視しています。タイヤの構造や重量バランス,駆動方式などの違いが,そのまま挙動に出るように設計しています。
アップデート2.0では,その土台づくりに重点を置いています。とくにタイヤの挙動とフォースフィードバックの一貫性を整えることで,クラスごとの違いがより自然に感じられるようになっています。
最後にセットアップについてですが,将来的には各クラスに合った細かい調整ができるようにしていく予定です。ただしアップデート2.0では,まずハンドリングやパフォーマンス,フォースフィードバック,ビジュアル,オンラインモード,キャリアモードといったゲームの核となる部分の改善を優先しています。
その土台をしっかり整えたうえで,セットアップ要素も今後さらに発展させていきます。
4Gamer:
本作をフルプライスの製品としてリリース可能と判断するにあたり,どのようなベンチマークや社内基準が用いられましたか。
最終的なリリース時期の決定に至るまでのプロセスについて,説明をお願いします。
Alex Martini氏:
まず,リリースの判断について,外部からリリースを急かされるようなことは一切なく,パブリッシャであるGIANTS Softwareが延期を避けさせるようなこともありませんでした。最終的なリリース判断は開発元であるStraight4 Studiosにあり,私たちは当時「ローンチの基準に達している」と判断していました。
しかし,それは誤った判断でした。
ローンチの判断を誤った理由の1つは,「リリース準備の進捗」の測り方にありました。社内ではゲームの完成度や安定性,パフォーマンスといった指標をもとに進捗を管理しており,数値上はそれらのマイルストーンをきちんとクリアしていました。
問題は,それらの社内指標を満たすことに意識が向きすぎていた点です。本来確認すべきだった,「プレイヤーが期待する体験になっているか」という視点が,十分ではありませんでした。
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4Gamer:
本作を遊んでいる日本のプレイヤーに伝えたいことはありますか。
Alex Martini氏:
まず初めに,「Project Motor Racing」をプレイしていただき,ありがとうございます。日本のプレイヤーの皆さんには,貴重な時間を割いていただき,心から感謝しています。
ローンチ時の体験が期待に応えられるものではなく,大きな失望につながったことを十分に認識しています。そうした声はスタジオ内でも重く受け止めており,その後の改善を進めるうえで重要な指針となりました。
また,チーム内にはレースゲームの歴史に対する強い敬意があります。とりわけ日本では,セガのような企業が,ドライビングゲームの在り方を長年にわたって形作ってきました。そうした系譜は私たちにとっても大切なものであり,現代のシミュレーションを作るうえで常に意識しています。
「Project Motor Racing」に収録されている車両を見ていただければ,日本メーカーの存在感が大きいことに気づいていただけると思います。
私たちは日本の自動車文化,そして世界のモータースポーツにおける日本の役割に強い敬意と愛着を持っています。開発者であると同時に,1人のファンとしてその想いが,ローンチ時の収録車両や今後のDLCにも反映されています。
アップデート2.0は大きな前進となりますが,それ以上に重要なのは,私たちの開発の進め方そのものが変わったことです。より規律ある体制で,より焦点を絞り,プレイヤーの期待にしっかり向き合う形へと進化しています。
日本における長いレースの歴史には,リアリティと競争に対する強い価値観があります。私たちはそれを大切にしていきたいと考えています。「Japanese GT500 Pack」のようなコンテンツを通じて,そうした想いが体験として伝わることを願っています。
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