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「鬼武者 Way of the Sword」実機プレゼン&開発インタビュー。ダークな世界を切り裂く刀アクションを実現するこだわりの一端が見えた
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印刷2025/06/17 07:00

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「鬼武者 Way of the Sword」実機プレゼン&開発インタビュー。ダークな世界を切り裂く刀アクションを実現するこだわりの一端が見えた

 カプコンが2026年に発売を予定している「鬼武者 Way of the Sword」PC / PS5 / Xbox Series X|S)の実機によるプレゼンテーションが6月にメディア向けに実施された。

 先日開催されたゲームイベント「Summer Game Fest」でも,同じバージョンの映像を使ったプレゼンが行われたが,今回は実機によるプレイが行われ,シリーズの代名詞である爽快な「一閃」をはじめ,環境を使った戦いや強敵への「崩し一閃」といった新要素が紹介された。また,プレゼン後にはプロデューサーである門脇章人氏とディレクターの二瓶 賢氏への合同インタビューも行われたので,あわせて掲載する。

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「鬼武者 Way of the Sword」公式サイト



重みの伝わる剣戟アクション,そして一閃のバッサリ感とダークな物語


 「鬼武者 Way of the Sword」は,「バッサリ感」をキーワードとする剣戟アクション「鬼武者」シリーズの最新作で,2026年の発売が予定されている。

 シリーズの伝統である,攻撃を食らう直前でカウンター斬りを放つ「一閃」の爽快感,敵味方ともに魅力溢れるキャラクター,謎の敵「幻魔」と日本の歴史が絡み合う伝奇物,といった要素が人気を博し,今でも根強いファンに愛され続けている。

 金城 武氏や松田優作氏,ジャン・レノ氏など実在俳優を主役に据える取り組みでも知られるシリーズだが,「鬼武者 Way of the Sword」では主人公の宮本武蔵役のフェイスモデルとして三船敏郎氏を起用。20代後半の姿での活躍を堪能できる。

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 プレゼンを行ったのは,ディレクターの二瓶 賢氏とプロデューサー門脇章人氏,同じくプロデューサーの柴田浩一氏だ。

 今回披露されたステージは「清水寺」。現世代機のスペックで描かれるグラフィックスはリアルそのもので,江戸時代の雰囲気が見事に描写されている。三船氏の武蔵は荒々しくもカッコよく,俳優をモデルにしたこその実在感がリアルさに拍車をかけている。

 宮本武蔵といえば,剣聖であり無敵の剣豪として知られているが,本作の武蔵は修行中の身で「天下無双」を掲げて強者たちと戦う旅の最中だ。二刀流ではなく,刀一振りで戦っている。意図せずして「鬼の篭手」を身に着けてしまった武蔵は,自分の力のみで剣を極めるべく,篭手を外す方法を探すことになる。

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 清水寺やその周辺には人間と幻魔がたむろしており,武蔵に襲い掛かってくる。敵を倒すと赤・青・黄の魂が飛び出し,鬼の篭手で吸収すると経験値の獲得や必殺技のリソース,体力回復になるのは,過去作と同様であるようだ。魂のデザインが地獄絵などで見るような人魂っぽくなっているあたり,怪談的な雰囲気が漂っている。

 戦いでは,「防御」「受け流し」「弾き」といった防御手段を使い分け,敵の「力動(りきどう)ゲージ」を削るのが重要になるという。

 防御は全方位からの攻撃を防ぐ。しかし防御しすぎると体勢が崩れてしまう。受け流しはいわゆる「パリィ」的なシステムで,決めた際に周囲の敵を巻き込んで倒せるほか,敵を周囲の地形にぶつけられるという独特の要素を持つ。

 燃え盛るかがり火に叩きつけると身体が燃えてダメージを与えられるなど,環境を利用した戦い方も可能で,一定回数成功させるとパワーアップする「気焔状態」となり,青魂が出やすくなってスキルが使いやすくなる。

 「受け流しと異なる入力」で発動するのが弾きである。弾いた対象が近接攻撃なら後述する力動ゲージを大きく削り,飛び道具を弾くと撃った敵に跳ね返してダメージを与えられる。そして,受け流しや弾きを決めると敵の力動ゲージが減少していき,削り切ることで体勢を崩せるという。

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 敵の攻撃を受ける直前に斬りつける「一閃」,複数の敵に連続して一閃を決める「連鎖一閃」も健在だ。身をかわしつつ一閃を決め,受けた敵が倒れ伏すのは見ているだけでも爽快だった、なお,本作では一閃を決めた際に武蔵が斬った軌跡が表示され,敵はそのとおりに切断される。まさに現行機ならではの表現といえるだろう。

 なお,現在公開されている日本語版トレイラーでは,敵の死亡時の表現を「切断表現なし」設定で撮影しているそうで,こうした切断表現は見られない。Capcom USAの公式動画「Onimusha: Way of the Sword - 2nd Trailer: Formidable Foes Emerge」では切断された幻魔の上体がゴロリと落ちるさまが確認できるので,18歳以上の人は年齢確認をしたうえでチェックしてみよう。

 切断表現について率直な感想をいうと,幻魔のため血は飛ばないので凄惨な表現をしたいがためのいたずらなゴア表現ではなく,剣戟アクションものとしてリアルなダメージ表現である,といったところだろうか。

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 武蔵が相対する敵には,今回も手ごわい相手が揃っている。忍者のような姿をした幻魔は,刀や手裏剣を駆使し,複数体が高度な連携攻撃を仕掛けてくる。剣技と防御,受け流し,弾きを駆使して立ち向かうさまは,まるで殺陣のようだ。

 飛行型の幻魔「首灯(くびあかり)」は,武蔵が出現させた魂を吸収してパワーアップする。突進から自爆攻撃まで仕掛けてくるのだが,これはうまく入力を成功させれば,逆に投げ返せるという。プレイヤーが上達することで,あらゆる攻撃をものともしない剣豪としての武蔵を表現できるだろう。

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 実機プレイでは,本作におけるストーリーテリングや謎解き要素についても明かされている。
 ストーリーテリングで大きなポイントとなるのが,殺された者の怨嗟や負のエネルギーが実体化した「黒魂(くろだましい)」だ。鬼の篭手で吸収すると,過去に起こった事件の映像が見られるのだが,その映像は断片的なものであるよう。あちこちの黒魂を吸収することにより,物語の謎が少しずつ明かされていく仕組みだ。

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 清水寺の入り口にある黒魂では「人々の行列が清水寺へ“何か”を運んでいる姿」が見られた。何のために集められた集団なのかと訝しみつつ奥へと進むと,清水寺の舞台にある黒魂から「先ほどの人々は幻魔によって集められたものであり,幻魔に脅された父親が清水寺の舞台から息子を投げ捨てるよう強要されている」という光景が見える。

 むしろに包まれて簀巻きになった息子が「俺はまだ生きているんだ!」と命乞いするところを,父親が「許してくれ」と叫びつつこれを投げ落とすシーンは,見ているだけでもいたたまれない。このシーンもそうだが,エピソードが段階的に明かされていくことが,プレイヤーの焦りや恐怖心を煽っているようで,効果的な演出のように思える。

 なお本作では,京都で語り継がれるエピソードと鬼武者の世界観をリンクさせたイベントがいろいろと用意されているという。それらのエピソードも見どころのひとつとなりそうだ。

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 鬼の篭手からは女性の声がして,武蔵に行動の指針を示してくれる。武蔵は彼女を快く思っていないようで「篭手女」と呼ぶが,女性もチクりとやり返すなど,一筋縄ではいかない関係性であるようだ。

 篭手女の正体はだれなのか,そしてふたりは相棒となるのか,それとも反目し合いながら旅を続けるのか,メインとなるストーリーラインも非常に楽しみだ。

 謎解きで使われるのが,鬼の力である「眼覚醒(めかくせい)」である。隠されたものが見えるという能力で,実機プレイでは姿を隠している幻魔を眼覚醒で見破り,これを倒すことで道を開いていた。

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 ボス2体との戦いも披露されている。武蔵の宿敵であり,小次郎の名で知られる「佐々木巌流(がんりゅう)」が登場するのは既報のとおり( だが,今回は実際に戦うシーンを見られた。

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[2025/06/07 06:56]

 巌流は姿こそ美しいものの,武蔵を見下し,嘲るというかなり驕り高ぶった性格の人物であるようだ。武蔵と同様に鬼の篭手を持ち,「これのせいで強くなり過ぎた」「もう退屈で,退屈で……」とうそぶく。鬼の篭手を拒否し,己の力のみで強くなろうとする武蔵とは正反対のスタンスの持ち主,といったところだろうか。

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 武蔵と巌流の戦いでは,力動ゲージと「崩し一閃」が焦点となった。力動ゲージは前述したように,弾きを決めると大きく減少させられる。これを削り切ると発生するのが崩し一閃である。敵の身体のどこを攻撃するかを選べ,部位によって異なる効果を得られるというフィーチャーだ。

 巌流の場合,頭を攻撃すれば大ダメージとともに被った傘を破壊でき,胴を狙えば多くの魂を出させられるという。また,敵によっては特定の攻撃アクションを使えなくさせられるようで,戦術面で役立つのは間違いない。

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 もう1体のボスが,マップの特定地点にある獄窓(ごくそう)から出現する「百穢(びゃくえ)」である。巨体にびっしりと白いお札が張られた,大斧を携えた巨躯で,得も言われぬ迫力だ。

 お札は見た目だけではなく,ゲーム的なフィーチャーにもなっている。百穢はお札で力を封じられた状態だが,武蔵がダメージを与えると返り血でお札が汚れてしまい,本来のパワーを取り戻していく。一閃など大ダメージを与える手段を駆使することで,少ない手数で倒すなどの対策が取れるというから面白い。

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 実機プレイで印象的だったのは,武蔵の泥臭さと迫力ある刀の表現,動きのリアルさだ。屋内の戦いでは畳を立てて飛び道具への盾とし,背後から敵を襲ったときには首筋に刃を立て,致命の一撃を与える。

 また,巌流との戦いで姿勢を崩した際は腕を取り,関節を極めるという演出も見られた。刀だけでなく,ありとあらゆるものを使った敵を倒すための武であり,兵法家としての武蔵が表現されているのがよく分かる。

 百穢の大斧など威力の高い攻撃に対して,真っ向から受け止めるのではなく,刀を使って力を受け流す表現になるなど,防御周りでもリアルな表現になっているのが面白い。こちらは受け流しや弾きを決めた際の専用表現かもしれないが,刀一振りで巨大な質量に立ち向かう動きとして納得性の高さが感じられた。

 そして,各種防御で刀と敵の武器が交わった際の金属音,同時に散る火花は,理屈抜きに痺れるカッコよさがある。振動機能付きのコントローラであれば,よりリアルに剣戟アクションを楽しめるだろう。

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「カプコンのアクションゲームはすごい!」と思ってもらえる作品を目指し,侍と鬼武者の両面でアクションを作り込んでいく


 ディレクターである二瓶 賢氏とプロデューサーの門脇章人氏への合同インタビューも実施された。ゲームの方向性や開発秘話など,実機プレゼンテーションのあとだからこそ聞けるエピソードが満載なので,ぜひ読み進めてほしい。

――よろしくお願いします。まずは読者に向けての自己紹介と,「鬼武者」シリーズとのかかわりについて聞かせてください。

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二瓶 賢氏(以下,二瓶氏):
 ディレクターを担当している二瓶です。「エグゾプライマル」でプレイヤーアクションを,「Dragon’s Dogma Online」でエネミーアクションを手掛け,「戦国BASARA」ではアクションリーダーを務めるなど,15年アクション専門でやってきました。「鬼武者」シリーズにスタッフとしては関わっていませんが,学生の頃にいちプレイヤーとして遊んでいたので感慨深いですし,プレッシャーもあります。

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門脇章人氏(以下,門脇氏):
 プロデューサーの門脇です。「MARVEL VS. CAPCOM 3」や「モンスターハンターライズ」シリーズを担当していました。私も「鬼武者」シリーズはいちプレイヤーとして遊んでいたので,制作に携わるのは感慨深いです。20年ぶりの新作を今のプレイヤーさんに楽しんでいただけるよう,スタッフ一丸となってがんばっています。

――久々の新作ですが,なぜここまで期間が空いたのでしょう。

門脇氏:
 「鬼武者の新作をやろう」という声が途絶えたことはなかったのですが,ゲーム開発は大規模化していますし,ほかのタイトルも制作していくうえでなかなか着手できない状態が続いていました。2020年頭にゲームエンジンである「RE ENGINE」の環境が整ってきたのに加え,新たな「鬼武者」のコアになれるメンバーが揃ったので,ようやくスタートできたんです。

――「鬼武者」らしさとはどういうものであるか,新規プレイヤーに向けて言語化していただけますか。

二瓶氏:
 「鬼武者」らしさとは,ただのチャンバラアクションに留まらず,鬼の篭手を使って鬼武者になるのが大事なことだと考えています。そして,魂吸収の駆け引きも「鬼武者」らしさといえるでしょう。戦国のダークファンタジーも「鬼武者」らしさですね。当時はおどろおどろしい世界を戦国と組み合わせるというゲームがありませんでしたから。

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――「鬼武者」らしさを継承するうえで注意した部分はありますか。

二瓶氏:
 一閃の気持ちよさを新しい技術で表現することにこだわり,ブラッシュアップを続けています。太刀筋に合わせて敵が切断される表現も導入しており,CEROレーティングの「Z区分」になる予定です。また,過去作のスタッフには「魂吸収にまつわる駆け引きを大事にした」という話を聞き,本作でも同様の方針にしています。

門脇氏:
 日本で公開しているPVには切断や部位欠損の表現がないため,本来の姿をお見せできていないというところはあります。ただ,本作は「グローバルで同じものを楽しんでいただきたい」という思いがあり,ゲーム本編は国内版と海外版に違いはなく,同じものを提供させていただきます。そのうえで,部位欠損はオフにできますし,出血表現も調整できます。次はgamescomで体験できるよう準備を進めているので,楽しみにしていてください。

――日本のプレイヤーが体験版を遊べる機会はあるのでしょうか。

門脇氏:
 なんとかがんばって,体験いただける場を作りたいと考えています。

――Z区分ですと,ゲームショップでの展示などでさまざまな制限があります。Z区分にすることについて,どの程度の議論があったのでしょうか。

門脇氏:
 物語の表現としてDの範囲に収まらなかった……というのが正しいかもしれません。最初はDとZの両バージョンを出すことも考えてはいました。ただ,2つのバージョンを用意するのは難度が高いですし,実際にプレイヤーさんが手に取ってくださるのは圧倒的にZのほうが多いです。手に取っていただきやすいうえに,作品の魅力が最大限に伝わるのであれば……ということでZのみになりました。

――過去作以外で,開発の参考にしたゲームはありますか。

二瓶氏:
 ほかのゲームの侍はあまり意識していません。現在は海外の開発が作った侍のゲームに,日本的なテイストを取り入れた良いものがあるのは知っていますが,我々はあくまで「鬼武者」としてのダークファンタジーの良さを大事にしています。

門脇氏:
 皆さんが期待してくださるのは「カプコンらしさ」だということはメンバー含めて常日頃から意識しています。「カプコンのアクションゲームはすごい!」と思っていただけるものにしないと……と考えています。

――シリーズの代名詞である「バッサリ感」は海外に向けても打ち出しているのでしょうか。

門脇氏:
 日本と海外で同じ表現が使われています。和風ダークファンタジーの中で感じるバッサリ感にうってつけのキャラクターとして,今回は宮本武蔵を推しているわけです。

――Netflixのアニメーションでも,三船敏郎氏がモデルの宮本武蔵を主人公としていますが,本作と関係はありますか。

門脇氏:
 物語的な関係はなく,お互いが独立したオリジナル作品です。同じ三船氏を起用したのもたまたまで,社内では昔から名前が挙がっていましたから。

――ゲームジャンルとしては,いわゆる「死にゲー」と呼ばれる高難度のアクションRPGなのでしょうか。

二瓶氏:
 「死にゲー」というジャンルではないものです。アクションは好きだけれどうまく操作できないという方から,やり応えを求める方まで楽しんでいただけるよう,難度変更で対応することを考えています。

――難度を変更すると「鬼武者」シリーズの魅力である一閃はどれくらい出しやすくなるのでしょうか。

門脇氏:
 実は簡単な難度を設けるかどうかも決まっていないような段階で,基本的には標準の難度で出来るかぎりたくさんの方に楽しんでいただけるものにしたいという方針で進めています。

 ただ「簡単モードも必要ではないか」という声も出ていますので,「出来たらいいね」という感じで検討を進めています。そのため,難度を下げるかも決まっていませんが,「敵のパラメータを下げるだけ」ではない調整も必要ではないかと思っています。

二瓶氏:
 難度変更についてはいろいろなパラメータを個別で調整できるというよりは,これまでのシリーズに近いシンプルなものをイメージしています。もちろん,経験値を溜めて強化するような要素もあります。

――成長要素はどの程度ゲームに影響を及ぼすのでしょう。

二瓶氏:
 スキルツリーを成長させていくと,攻撃力や防御力が上がります。また,今回お見せできなかったさまざまな技も覚えていきます。ゲームを進めていくと,いろいろなことができるようになるということですね。

――フィールドはオープンワールドなのか,エリア制なのかどちらでしょう。

二瓶氏:
 オープンワールドではありません。リニアなステージをベースとしたステージ制となっています。

――過去の「鬼武者」にはラジコン操作をする作品もありました。今回はどうなりますか。

二瓶氏:
 ラジコン操作ではありません。現在のアクションゲームとしてスタンダードな,右スティックでカメラを動かすものです。コントローラのボタンはすべて使いますが,操作しやすいボタン配置を考えつつ開発を進めています。

門脇氏:
 「モンスターハンター」よりかは複雑な操作ではありませんね。

――アクションゲームの流行も変化していますが,「鬼武者」シリーズの新作として,新たに取り入れた要素と変えなかった部分を教えてください。

二瓶氏:
 「侍としてのアクションを面白くしたい」というこだわりがあり,剣と剣のぶつかり合いをフィーチャーした「受け流し」「弾き」を新要素として取り入れました。受け流しでは環境を利用して戦え,弾きが決まると力動ゲージを大きく削れます。

 また,ボスごとに複数の部位を狙え,それぞれに効果が異なる「崩し一閃」という要素を用意しています。これまでのシリーズでは「かわし一閃」が最後まで出すのが難しかったという方もおられまして,皆さんに楽しい体験をしていただきたいというところで考えたシステムになります。

 変えなかった部分としては,やはり鬼の篭手や魂の吸収,侍から超人になる「鬼武者モード」になります。過去作と同様,侍としてのリアリティと鬼武者の超人感を大事にしています。

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――一閃にこだわったということですが,どのような取り組みをなされたのでしょう。

二瓶氏:
 今回は「侍として使える一閃」と「鬼武者の一閃」という表現があり,侍だからこそできる一閃の気持ちよさと,スピード感と超人感を感じる鬼武者の一閃の気持ちよさを考えて制作を進めています。今回はアニメーションや音やエフェクト,敵のリアクションをとくにこだわっています。

門脇氏:
 「鬼武者」から「鬼武者3」の一閃は目に見えないほど速いものでした。現在の一閃をどういう形にするかは試行錯誤を続けている段階で,今も完成形というわけではありません。

――敵の背後から掴みかかって刀を首筋に当てて引き切る「連鎖一閃」など,刀アクションの迫力とリアルさが印象に残りました。アクションを制作するにあたって,どのように進められたのでしょう。

二瓶氏:
 今回アクション面は本当にこだわっており,剣の達人をお呼びして,私が毎回立ち会い,モーションキャプチャを行っています。そのうえで,表現としての分かりやすさと剣術のリアルさを,いかにしてゲームに落とし込むかにこだわっています。

 例えば,刀を振るう動きひとつとっても,達人であるほど太刀筋を読ませないようにしますが,ゲームとしては動きがしっかり見えたほうがいいですよね。

 また,剣を杖のように突いて歩くのは作法としてはNGですが,達人の方とお話するなかで「もしも本当に殺し合いをするなら,立ち上がる際に杖のように使うかもしれない」というご意見があり,こうしたニュアンスを取り入れようとするといった取り組みを行っています。守破離,すなわち「伝統を知ったうえで破る」考え方で開発を進めたわけです。

――シリーズには刀以外の武器も登場しましたが,今回はどうなりますか。

二瓶氏:
 青魂を溜めた際の技として,刀以外の武器が登場しますが,あくまでメインウェポンは刀です。

――刀以外の武器は,それぞれに性質が異なるゲームとしての意味を持つものとして登場するのでしょうか。

二瓶氏:
 そうした形になります。2ndトレーラーではハンマーのような武器で相手をぶっ叩いていますが,こうしたものが新たな必殺技です。

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――畳をひっくり返して盾にするアクションが印象的でしたが,どの程度耐えられるのでしょう。

二瓶氏:
 畳は武蔵らしく戦っていただくためのフィーチャーで,ある程度の攻撃を防ぐと壊れます。

――幻魔のデザインコンセプトには変化はありましたか。

二瓶氏:
 「不気味でおどろおどろしい」というテーマではありますが,単に不気味,グロテスクなだけにならないよう,カッコいいと思っていただけるデザインを目指しています。過去作から登場する幻魔はいませんが,要素が似ているものはいますので,ファンの方に喜んでいただけるかもしれません。

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――これまでのシリーズにはいろいろなパズル要素がありましたが,本作にもそういった要素は登場しますか。

門脇氏:
 「鬼武者」から「鬼武者3」に出てきたような,純粋なパズルは入っていませんが,眼覚醒による謎解きは存在しています。

――サウンド面では新しい取り組みはされていますか。

二瓶氏:
 3Dサウンドを取り入れています。お寺で会話するシーンでは音の響き方をリアルに再現したいということで,実際のお寺に行ってIR収録をしています。また,カットシーンでは,キャラクターの表情でニュアンスを伝えるシーンで敢えて曲を流さない,といったこともしていますね。

――これまでの作品とストーリー的なつながりはあるのでしょうか。

二瓶氏:
 皆さんに同じ体験をしていただきたいということで新しく作った世界であり,過去作のキャラクターも基本的には登場しません。

――歴史的な正確さとファンタジー部分のバランスはどのように取っていますか。

二瓶氏:
 グローバル展開を考え,歴史をご存じない方も楽しんでいただけるようにしました。歴史的な部分を取り入れるにあたっては,京都にまつわるオカルト的な話をエンターテインメントとして扱うスタンスを取っており,モチーフになったところをゲーム内で確認できるようになっています。

――佐々木巌流について教えてください。佐々木「小次郎」ではなく「巌流(がんりゅう)」という呼び方なのはなぜでしょう。

二瓶氏:
 シンプルに漢字としてカッコいいこと,響きの良さ,そして彼が創始した流派が「岩流(がんりゅう)」であることなどが理由です。

――武蔵に細谷佳正さん,巌流に岡本信彦さんをキャスティングされた理由を教えてください。

二瓶氏:
 武蔵は正統派の侍でありつつ,野性的な側面もあわせ持つため,こうした表現ができる方として細谷さんにお願いしました。主人公の声としてマッチするということで,悩まずに決まりましたね。

 巌流は感情が激しく狂気的な表現が必要で,さらには才気煥発なキャラクターなので,キャスティングにも時間がかかりました。

門脇氏:
 武蔵のキャラクターを作りつつ,細谷さんのお声をイメージしていたところもありました。

――巌流は武蔵とどのように関わってくるのでしょう。

二瓶氏:
 巌流と武蔵は,鬼の篭手を付けるようになる前からいくども戦い,武蔵が勝ち続けてきました。巌流は天才肌であり,自己流で剣術を学んできた人物です。ただ,性格が曲がっているところがあり,アクション面では「フェイントをかけ,騙しに引っかかった相手をあざ笑う」といった形で表現しています。

 そして鬼の篭手を付けたあとは「侍としてまっとうに生きる武蔵」と「悪に染まって強くなった巌流」が対立していくさまが描かれていくわけです。

――2人は「巌流島の決闘」で有名ですが,本作でこの戦いは描かれるのでしょうか。

二瓶氏:
 イエスかノーかでいうとノーです。時代背景はあえて具体的に描かないようにしているので,巌流島の決闘の前であるか,あとであるかも不明になっています。

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――シリーズには仲間キャラクターもいましたが,今回も登場しますか。

二瓶氏:
 仲間は登場しますが,キャラクターチェンジや交流システム,共闘はありません。その分,武蔵のアクションにこだわっています。

――「鬼武者2」の黒スーツのようなコラボ衣装はありますか。

門脇氏:
 衣装は「モンスターハンター」における「重ね着」のように,性能に影響を及ぼさないものになると思いますが,現在お伝えできる情報はありません。DLCはご用意したいとは思っています。

――「鬼武者」シリーズでは本編ストーリー以外にもやり込み要素がありましたが,本作ではどうなるのでしょう。

門脇氏:
 こうした要素は入れたいですが,どこまでのものになるかは現在がんばっているところです。基本的には一本のお話として最後まで楽しめる,「死にゲー」的ではないものを目指しています。折角ご購入いただいたゲームですから,長く楽しんでいただけるような作りにしていきたいです。

――今後「鬼武者」シリーズはどのように盛り上げていきたいと考えられていますか。

門脇氏:
 Netflixのアニメもこうした取り組みの一環ですし,やりたいことは沢山あります。個人的には「鬼武者 Way of the Sword」を突破口に,大人の方に向けた様々なエンターテインメントを提供していきたいです。その上では色々な可能性があるとは考えています。

――「鬼武者3」など過去作品のリマスターの予定はありますか。

門脇氏:
 ご要望もありますし,できればやりたいとは思っています。ただ,「鬼武者2」のリマスターも結構な時間が掛かっており,やりたいことをすべてやれるという状況ではありません。まずは「鬼武者 Way of the Sword」をお披露目し,皆さんの反応を見てから考えたいと思います。

――オカルトが絡むゲームを作る際には,いわゆる心霊現象が起こるようなこともあると聞いています。本作ではお祓いを受けたりされたのでしょうか。

門脇氏:
 チームメンバー全員で清水寺さんにてお祓いをしていただきました。最近は会社も厳しくて,夜中に仕事をするようなこともなくなりましたので,特に不思議なことは起こっていません(笑)。

――最後に読者に向けてメッセージをお願いします。

二瓶氏:
 「鬼武者」らしさを感じるところは皆さんそれぞれで違うと思いますが,遊んでいただいた際に「これは『鬼武者』だね」と感じていただけるようがんばっていますのでご期待ください。

 新規の方には,チャンバラを楽しめるアクションゲームであると同時に,魅力的なお話と新しく造形したキャラクターで楽しんでいただけるようにしました。ご期待いただければ幸いです。

門脇氏:
 前回の情報から期間が空きましたが,8月のgamescomで新情報や体験版を出していきます。2026年の発売を目指して開発も佳境を迎えて,ブラッシュアップを進めています。皆さんに手に取っていただけるようチーム一丸となってがんばっていますので,ぜひご期待ください。

 「鬼武者」ファンの方々には,大変お待たせしてしまい申し訳ございません。まだ全貌をお見せできるタイミングではありませんが,皆さんに楽しんでいただけるような開発を進めています。「鬼武者 Way of the Sword」としてのバッサリ感,爽快さや気持ちよさを感じていただけるポイントを一個でも多く盛り込もうとしていますので,楽しみにお待ちいただければと思います。

――本日はありがとうございました。



 迫力と重みを感じられるカプコンらしいアクションで,期待値が跳ね上がった「鬼武者 Way of the Sword」。gamescom及び PAX Westでプレイアブル出展されるとのことなので,今後の情報にも注目してほしい。

画像ギャラリー No.045のサムネイル画像 / 「鬼武者 Way of the Sword」実機プレゼン&開発インタビュー。ダークな世界を切り裂く刀アクションを実現するこだわりの一端が見えた

「鬼武者 Way of the Sword」公式サイト

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