お気に入りタイトル/ワード

タイトル/ワード名(記事数)

最近記事を読んだタイトル/ワード

タイトル/ワード名(記事数)

LINEで4Gamerアカウントを登録
RDNA 4世代GPU向けの新高画質化技術「FSR Redstone」が2025年後半に登場。AIベースでレイトレーシングや超解像を処理する
特集記事一覧
注目のレビュー
注目のムービー

メディアパートナー

印刷2025/05/22 12:57

ニュース

RDNA 4世代GPU向けの新高画質化技術「FSR Redstone」が2025年後半に登場。AIベースでレイトレーシングや超解像を処理する

登壇者のJack Huynh氏(SVP,and GM,Computing&Graphics Group)
画像ギャラリー No.002のサムネイル画像 / RDNA 4世代GPU向けの新高画質化技術「FSR Redstone」が2025年後半に登場。AIベースでレイトレーシングや超解像を処理する
 2025年5月21日,AMDは,COMPUTEX 2025に合わせてプレスカンファレンスを開催し,デスクトップPC向けGPU「Radeon RX 9060 XT」や,ハイエンドデスクトップPC向けCPU「Ryzen Threadripper 9000」シリーズなどを発表した。
 プレスカンファレンスのあとには,ラウンドテーブルも行われ,今回の発表内容に対する質疑応答が行われた。

 本稿では,今回のプレスカンファレンスで発表となった内容から,ゲーマーの関心が高そうな「FSR Redstone」について紹介しよう。

画像ギャラリー No.003のサムネイル画像 / RDNA 4世代GPU向けの新高画質化技術「FSR Redstone」が2025年後半に登場。AIベースでレイトレーシングや超解像を処理する


FSR RedstoneはFSR 5なのか?


 プレスカンファレンス冒頭で,講演を担当したAMDのJack Huynh氏は,同社とPlayStationブランドを展開するSony Interactive Entertainment(以下,SIE)によるコラボプロジェクト「Project Amethyst」について振り返った。
 Project Amethystは,RDNA 4世代GPU向けの超解像技術「FidelityFX Super Resolution 4」(以下,FSR 4)の開発に大きく貢献したとのこと。その経験を経て,「FSRはさらに進化していく」とHuynh氏は述べる。それが進化系FSRであるFSR Redstoneだ。

 RDNA 4世代GPUに向けたFSR Redstoneは,2025年後半,おそらく2025年末近くにリリースするという。Redstoneは開発コードネームであり,正式発表時には別の名前になる可能性が高いとのことだ。ただ,「FSR 5になるのか,4.1や4.5になるのかも,まだ決めかねている」とも述べていた。

画像ギャラリー No.004のサムネイル画像 / RDNA 4世代GPU向けの新高画質化技術「FSR Redstone」が2025年後半に登場。AIベースでレイトレーシングや超解像を処理する

 余談だが,Project Amethystは,AMDのコーポレートカラーである赤と,SIEのコーポレートカラーの青を混ぜた紫の宝石である「紫水晶」からきていると,PlayStationハードウェアのリードアーキテクトであるMark Cerny(マーク・サーニー)氏が説明したことがある(関連記事)。
 その例に倣うと,Redstoneの別名で呼ばれることの多いレッドジャスパー(赤碧玉)やガーネット(紅榴石)からとった名前だろうか。もしかすると,「どちらかといえばAMD主導開発の成果物」という意味が込められているのかもしれない。

 FSR Redstoneは,機械学習ベースのAIが支援するゲームグラフィックス高画質化技術である。AMDには,似たようなコンセプトのFSR 4がすでにあるのだが,コア技術となるAIモデルの種類が異なっていると思われる。このあたりも名前を決めかねている要因となっているのだろう。


FSR Redstoneで提供される機能


 AMDが,FSR Redstoneが提供を予定している主な機能は以下のようなものだ。

  • Neural Radiance Caching
  • Machine Learning Ray Regeneration
  • Machine Learning Super Resolution
  • Machine Learning Frame Generation

画像ギャラリー No.005のサムネイル画像 / RDNA 4世代GPU向けの新高画質化技術「FSR Redstone」が2025年後半に登場。AIベースでレイトレーシングや超解像を処理する
 「Neural Radiance Caching」は,AIアシストを受けながら,高品位なレイトレーシングベースの間接照明を得るための概念だ。
 飛ばしたレイが,何かに衝突するたびに,そこまでのレイトレース途中経過を,衝突地点におけるジオメトリ情報とともにAIに入力(≒学習)する。そして,衝突地点から再開したときのレイトレース結果を,AIで推論させるアルゴリズムだ。つまり,学習と推論の精度を,描画の進行過程とともに向上させていく,ユニークなリアルタイム手法だ。
 ちなみに,同名の技術を,GeForce RTX 50シリーズ発表時にNVIDIAが,ニューラルレンダリング技術の一例として紹介していた(関連記事)。

画像ギャラリー No.006のサムネイル画像 / RDNA 4世代GPU向けの新高画質化技術「FSR Redstone」が2025年後半に登場。AIベースでレイトレーシングや超解像を処理する
 Machine Learning Ray Regenerationは,少ないレイ数で品質の高いレイトレース描画を得るための技術だ。根幹を成すアルゴリズムは,NVIDIAが発表した「Reservoir-based SpatioTemporal Importance Resampling」(ReSTIR)とほぼ同じ。少ない本数のレイによるレイトレーシング結果を補うために,過去フレームや近傍ピクセルの情報などを参考にするのだが,補う部分をAI支援で実現する。
 イメージ的には,NVIDIAが「DLSS 3.5」で実装した「Ray Reconstruction」に極めて近いものではないだろうか。

 「Machine Learning Super Resolution」と「Machine Learning Frame Generation」はもはや解説不要だろう。前者は,低解像度映像をAI推論ベースで超解像処理して高解像度化する技術。後者は,AI推論ベースで生成した補間フレームを挿入することで,疑似的にフレームレートを向上させる技術だ


FSR Redstoneは,ゲームにどのような影響を与えるのか


 これまでのFSRと同様に,FSR Redstoneを活用するためには,ゲーム側に統合させる必要がある。つまり,既存のゲームに対して,無改造で強制的にFSR Redstoneを組み込むことはできない。

 気になるのが,FSR Redstoneの提供形態だ。AIが絡んでくると,これまでのFSRとは違い,他社製GPUでの動作は難しいように思える。
 この点については,質疑応答で明らかになった。FSR Redstoneに含まれる機能ラインナップは,これまでのFSRと同じく,オープンソースで公開する見込みなのだという。しかも,「断言はできないが,他社製GPUへの移植は可能だろう」とも述べていた。

 筆者は,「FSR Redstoneは,業界が進めているといわれるニューラルレンダリング技術の標準化における,ひとつのサンプルのようなものになるのか」と質問したのだが,「それは違う」とのことだった。
 また,「ニューラルレンダリング技術の標準化に関して,MicrosoftやそのほかのGPUメーカーとの協議は進んでいるのか」と質問したところ,「進めていない。我々はその方向性(標準化)に同調しない」とも述べていたのが印象的だった。

AMDのCOMPUTEX 2025特設Webページ(英語)

4Gamer.netのCOMPUTEX 2025特集ページ

  • 関連タイトル:

    Radeon RX 9000

  • この記事のURL:
4Gamer.net最新情報
プラットフォーム別新着記事
総合新着記事
企画記事
スペシャルコンテンツ
注目記事ランキング
集計:05月21日〜05月22日