
インタビュー
「シャインポスト Be Your アイドル!」は,アイドルの“夢と現実”をどうリアルに描き出したのか――キーパーソンが語る情熱と葛藤のゲーム開発
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「シャインポスト」は“絶対アイドル”を目指す少女たちの物語を「小説」で描き,さらに「ゲーム」「アニメ」「音楽」「ライブ」へと体験を拡張していく,新しい形のメディアミックスプロジェクト。2021年10月の始動からおよそ3年半,その一角を担うゲーム作品が,Switch2のローンチタイトルとしていよいよ登場する。
プロデューサーを務めるのは,同プロジェクトの中心人物であるコナミデジタルエンタテインメントの石原明広氏。「Elebits」や「ラブプラス」のディレクターとして知られるゲームクリエイターで,そして熱心な“アイドルオタク”でもある。
そんなゲーム発売が近づく5月某日,コナミクリエイティブセンター銀座にて石原氏と本作のディレクターを務めた永島盛日人氏にインタビューを実施。石原氏はアイドルという存在をゲームでどう描こうとしたのか。そして永島氏は,その思いをどう受け取り,プレイヤーに届く形へと落とし込んだのか――プロジェクトの原点からSwitch2での挑戦,そして“夢と現実(お金)”というテーマについてたっぷりと話を聞いてきた。
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「シャインポスト Be Your アイドル!」公式サイト
【目次】
・「シャインポスト」はどう始まった? 原点にあったアイドルとモノづくりへの思い
・ライブで輝く感動を届けたい。モバイル向けにスタートしたゲーム開発
・すべてを作り直す。コンシューマ移行とSwitch2ローンチタイトルを目指した理由
・夢を追うか,現実を見るか。プレイヤーに突きつけられる5年間の選択事
・プレイヤーの行動にアイドルの心は揺れる。声や表情で描かれるアイドルたちの心情
・AI×成長,プレイヤーの選択によって“伝説のライブ”は生まれる
・信じて待ってくれていた人たちに。自信と覚悟をもって届ける一本
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「シャインポスト」はどう始まった? 原点にあったアイドルとモノづくりへの思い
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。まずはイントロダクションとして,この「シャインポスト」というプロジェクトが,そもそもどういった形で始まったのか聞かせていただけますか?
石原氏:
そうですね……正直に言うと,「シャインポスト」というプロジェクト全体を話すとなると,相当なお時間をいただかないとなんですね。
というのも,プロジェクト自体がとてつもなく長期間にわたる取り組みで,いろいろなコンテンツやメディア展開が密接に絡み合っていて。だから,なにをどこから説明するかが難しいんです。
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4Gamer:
おおっ……なるほど。それを聞くとさらに知りたくなるところではあるのですが,今回はいよいよゲームが発売されるというタイミングですので,「どのような経緯を経て,Switch2のローンチタイトルとしてたどり着いたのか?」みたいな,ゲームを軸とした形でお話をうかがえると。
石原氏:
分かりました。まずプロジェクトの始まりを振り返ると,三木一馬さんが独立してストレートエッジを立ち上げられたところからになります。
「石原さん,一緒に本気で何か作りませんか? アイドル好きですよね?」と声をかけてもらったのがきっかけでした。もともと三木さんとは交流があって,以前から「一緒に何かやりたいですね」と話していたのですが,そのときがきたなと。
4Gamer:
そこで石原さんが「こちらこそ,ぜひやりましょう」となった理由ってどこにあったんでしょう。
石原氏:
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もうひとつは,「アニメを作りたい」という自分自身の思いです。
もし本気でアニメを作るなら,ゲーム原作のアニメ作品ではなく,それぞれで展開するプロジェクトとして立ち上げたいと考えていました。それには,強い物語,強いキャラクターをもった“強い原作”が絶対に必要になる。そのとき私には自分自身が主導する形でアニメを作った経験はありませんでしたが,三木さんとならそれが実現できると思ったんです。
そこから三木さんと本格的に話し合いを始めました。
4Gamer:
なるほど。始まりはいわゆる企業間でのメディアミックスプロジェクトというより,いちクリエイター同士の縁とものづくりへの思いから生まれた企画だったんですね。
石原氏:
そうですね。もちろん会社には「こういう企画を考えています」という話をしてはいましたが,スタートは三木さんと僕のふたりで進めていったものです。
コンセプトやテーマの検討を始めてすぐに三木さんからブリキさんや駱駝(らくだ)さんというお名前が出てきて,そこからさらにイメージを固めていきました。原作と世界観の構築をお願いした駱駝さんには,山のような量のプロットを書いていただきましたね。
今の形とはまったく異なる内容も含めて,駱駝さんには本当にさまざまなアイデアを出していただきました。大変な思いをさせてしまいましたが,しかしその分だけ本当に濃密な世界観を一緒に作り上げられたと思っています。
思い返すと1年……もしかしたら2年くらいですね。ずっと「あれじゃない,これじゃない」と試行錯誤を重ねていました。
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4Gamer:
それぞれほかの仕事があるなか,時間を作って……みたいな。
石原氏:
そういう事情もあって時間がかかったのもありますが,それ以上に「みんなが納得できるものが見つからないと,企画として本格始動できないよね」という共通認識があったことが大きいです。
「これならいける」というコンセプトがまとまって,会社として正式にプロジェクトとして動き出すようになりました。そこからキャストオーディションを始めたり,アニメ制作の準備を始めたりと,本格的に走り出したのですが……そこにコロナ禍がきてしまって。
4Gamer:
なるほど,動かそうにも思いどおりにいかない時期が……。
プロジェクトの正式発表は2021年10月で,そのタイミングで原作小説が刊行されました。11月の発表会では1stライブが行われ,翌年7月にはアニメが放送開始。その間に楽曲も数多くリリースされていますが,そうした展開の早さは,そもそもそれ以前から進んでいたプロジェクトだったからなんですね。
石原氏:
そうですね。お話したとおり,三木さんと「何かやろう」と話し始めたところの草案・構想段階も含めれば,本当に長い年月をかけて育ててきたプロジェクトなんです。
途中さまざまな紆余曲折があったために,お待たせしてしまった部分もありますが,それだけ丁寧に時間をかけて練ってきたからこそ,スタートから多方面に展開できたのだと思っています。
ライブで輝く感動を届けたい。モバイル向けにスタートしたゲーム開発
4Gamer:
ここからは,今回の主題であるゲームについてうかがえればと思います。
そもそも「シャインポスト」のゲーム展開は,プロジェクトのどの段階から動いていたのでしょうか?
石原氏:
もちろんゲームは「シャインポスト」の重要なもののひとつなので,構想段階から「ゲームとしてどんな体験ができるといいか」とさまざまなアイデアを考えていました。
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4Gamer:
当初はモバイル向けに制作されていましたが,その開発はいつごろ始まり,どのようなコンセプトだったのか気になります。
石原氏:
具体的な時期をお伝えするのは難しいのですが,「これからはスマホでもリッチなコンテンツが遊べる時代になる」と言われていたころですね。
当時は,ひとりのアイドルを選んで育てる育成ゲームとして企画を進めていました。キャラクターのパラメータを管理しながら育成し,その成果としてライブで輝く姿を見せる。そんな体験を目指していたんです。
たとえば,アイドルのカードに育成効果を持たせたり,装備品のような要素で育成方針を決めたりと,さまざまなシステムを試していました。「自分が育てたアイドルがライブで輝く」ことの感動を,きちんと伝えたいという気持ちが強かったです。
4Gamer:
ライブを3Dモデルで表現する,というのも当初から意識していた点だったのでしょうか?
石原氏:
はい。アイドルの本質はやっぱりライブですから。ステージ上でキラキラとパフォーマンスする姿を,しっかりとゲームの中で表現したかった。そのためにも,3Dでの演出はとても重要だと考えていて。
私はこれまでのゲーム開発経験から,「それほどポリゴン数を使わなくても,かわいい女の子を3Dで表現できるはずだ」という感覚を持っていました。
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育成パートをとおしてアイドル一人ひとりに物語をしっかり用意し,通過点ではなくメインとしてステージの上のアイドルたちを描きたい。そんなアイドルたちによる“ライブそのものを大切にした体験”を作りたいと考えていたんです。
4Gamer:
リズムゲームなどではなく,“観る”体験を重視したものだったわけですか。
石原氏:
そうですね。例えばリズムゲームだと,どうしても操作に集中してしまってライブそのものへの意識が薄れてしまうと思ったんです。
マネージャーやプロデューサーとしてアイドルを育てているはずなのに,ライブが始まった瞬間に“操作”する人になる。個人的にも「音ゲーをプレイしている自分って,この世界におけるどの立場なんだ?」という疑問があって(笑)。
4Gamer:
たしかに,ゲームの物語やライブ体験への没入感みたいなところが大事なのに,プレイヤーとしての現実に戻される……みたいな感じがありますね。
石原氏:
はい。「シャインポスト」ではその世界と物語の中に入り込んで,自分の役割に没入してほしいという思いがありました。
ただ,やはりゲームである以上,何かしらを操作したときの手応えやインタラクションはほしいという声は現場からもありまして。たとえば,タイミングよくペンライトを振るという案もありましたが,急にお客さん視点になるのか? という疑問が沸きます。
カメラワークでライブの得点が変わる仕組みも検討しましたが,育成がメインのゲームでそれを採用すると,せっかくの育成の成果がプレイの腕前で左右されてしまう。そういった点も慎重に議論を重ねていました。
4Gamer:
3Dキャラクターによるライブは,ビジュアルや演出以外でどのような特徴があったのでしょう。
石原氏:
本作ならではの取り組みとして挙げられるのが,AIによる歌唱の導入ですね。
プロジェクトの立ち上げ当初から,「アイドルをテーマにするからには,楽曲はたくさん必要になる」と考えていました。さらにそこに,「歌唱をAIに任せることができたら,今までにない表現ができるのでは」というアイデアが重なったんです。
4Gamer:
当時としては進んだ考えかと思いますが,AIによる歌唱を導入したライブは,どのように本作ならではの要素になると思ったのでしょう。
石原氏:
これは私がアイドル好きで,実際に現場でライブをたくさん見てきた感覚があるからこそだと思うんですが,ただかわいくパフォーマンスを表現するだけではない,“アイドルのリアル”を出したかったんです。
最初はあまり歌が得意ではなかった子が,ライブを重ねるうちに声の伸びがよくなり,表現にも感情が乗ってどんどん上手くなっていく。
そうして自信あふれるパフォーマンスができるようになった子が,とある特別なステージや自分のなかで何かを達成したときに,感極まって泣きながら歌えなくなる。現実のアイドルのライブではそういった瞬間や出来事が起きています。
体調がすぐれないのか,いつもなら問題なく歌える楽曲でうまく声が出せなくて客席がざわつく。あの子とこの子の組み合わせだとハモリがとてもきれいに響く……そうしたリアルなアイドルの姿を,ゲームの中でも再現したかったんです。
4Gamer:
なるほど。個人の気持ちや舞台の状況によって歌声に揺らぎが生まれるみたいな。
石原氏:
当時はまだAIによる歌唱技術が今ほど発達しておらず,「本当にできるのか」は分かりませんでした。それでも,「やってみたい」「目指してみたい」という気持ちが強くて,早い段階から情報収集や実験を重ねていきましたね。
そうしたチャレンジを積み重ねたことで,「これまでにないタイプの育成ゲームができるかもしれない」と思っていたんです。
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すべてを作り直す。コンシューマ移行とSwitch2ローンチタイトルを目指した理由
4Gamer:
そうして当初モバイル向けに開発されていた本作が,最終的にNintendo Switch 2向けとしてリリースされるに至ったのはどういった経緯があったのでしょうか。
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石原氏:
これも本当にさまざまな要因があるんですが,大きなところでは市場環境の変化ですね。
ゲーム自体は,実はアニメの放送が終わったくらいのタイミングでほとんどくらいできていました。あとはもう少し作り込めば……というところだったんですが,それで果たして「シャインポスト」が本当に目指していたことを実現できるのか。そこが一番の課題でした。
4Gamer:
完成目前だったんですね。それでも慎重に立ち止まったのは……。
石原氏:
やはり,サービス開始してすぐにゲームが終わってしまうということが一番の不幸だと思っていたからです。
ゲームの仕組みや3Dモデルは,いま見ても良くできていると思えるものでした。ただ開発期間が長くなったぶんモバイルゲームの市場が変化していて,開発当初に想定していたような結果になるかは分かりませんでした。
今のモバイルゲームの市場に合わせて作り直すという方法もありますが,モバイルゲームは課金システムと遊びの設計が密接に結びついているので,できたものを変えるとなるとそれは大工事になってしまいます。
4Gamer:
一部を直すってどうにかなるというレベルじゃないんですね。
石原氏:
ええ。このときは本当にいろいろ悩みました。
自分自身が本当にやりたくて取り組んできたプロジェクトですが,プロデューサーとしては収益や開発コスト,ゲームを出すタイミングなどをみて今後どうするかを判断するという責任がありますから。
いろいろな考えを経て家庭用ゲーム機向けに作り直すことになりましたが,その判断に至るまでの期間が本当にしんどくて……ハゲました。あの時期のストレスが,僕の薄毛の原因だと思っています(笑)。あ,ここはぜひ書いておいてください。
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4Gamer:
ボールドで強調しておきます(笑)。それでSwitch2への展開が始まるわけですね。
石原氏:
そうですね。今後について考えていたころ,なんとなくですが「そろそろSwitchの後継機が出るんじゃないか」と感じていて。ゲーム業界で長くやっていると,いわゆる“体内カレンダー”みたいなものが働くんですよ。
私自身,過去にローンチタイトルを2回担当したことがあるので,「今回ももしかしたら……」と想定していろいろ考えていたところに,正式にSwitchの後継機が出るという話がきて。それなら,このチャンスに賭けようと思いました。
4Gamer:
ローンチタイトルとして出すというのは,かなり大きな決断ですよね。
石原氏:
はい。でも,そこにこだわったのはやっぱり「注目してもらえる」というメリットが大きかったからです。アニメ終了から時間が経って,既存のファンは待ってくれていたけれど,広い層にはなかなか届きづらくなっていると。
だからこそ,新ハードのローンチというタイミングで,もう一度「シャインポスト」という作品に注目してもらうきっかけにしたかったんです。
4Gamer:
永島さんはどのあたりから関わられたんでしょうか?
永島氏:
モバイル版の開発が終盤に差しかかったあたりですね。
石原氏:
コンシューマ移行に向けていろいろな判断が求められたときに,永島がいろいろ背負ってくれました。「モバイルからコンシューマ向けになって全部作り替えなきゃならないけど,ではどうしようか」と話し合って。
4Gamer:
ゲーム全体を作り直し……ですか!?
石原氏:
描画やモデル,モーションなどのアセットの一部やAIデータは使えましたけど,ストーリーやゲームシステムはゼロからの作り直しです。
モバイル版で作っていたものをそのまま持ってきて,たとえばUIを縦から横にするだけ……みたいな移植ではないですから。そもそもアイドル一人ひとりの物語を追う構成から,芸能事務所の経営者視点に変更しているので,シナリオもゲームシステムも,モバイルから持ってくるというのはできないですからね。
4Gamer:
プレイヤーの視点がまったく異なる,完全に別のゲームに。それもやはり簡単にはいかないですよね。
永島氏:
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さっき石原が言っていた育成をベースにライブで成長の感動を描くという部分は,家庭用ゲーム機向けに作るとなってからも変わらず大事な部分でした。ただ,終わりがなく続ける前提の運営型モバイルゲームと,一定のゲームサイクルで“終わり”を描く家庭用ゲームでは,当然ながらゲームデザインがまったく異なるんです。
一度「この方向でいこう」と決めても「うーんでも,やっぱりこれは……」とまた悩んで。でも,「とにかく面白いものを届けたい」という思いが常にあって,チャレンジすべきところはしっかりやろうと。
4Gamer:
そうした迷いや試行錯誤のなかで,アイドルの成長や歩みをどうゲームに落とし込んでいくかという部分には,やはり難しさもあったのでしょうか?
永島氏:
ええ,難しかったです。それについては石原といろいろ話して,実際に自分でもアイドルのライブ現場を観に行くようになって気づいたんですが,アイドルの物語って「成長したから夢が叶いました」だけじゃ描き切れない。それだけだとアイドルたちの“夢”というものに,ちゃんと向き合えていない気がしたんです。
全力でに夢に向かっている人たちに対して,プレイヤーに何か感じたり共感したりしてもらうには,もっと必要なものがあるはずだと。
4Gamer:
夢の実現そのものよりも,その過程や重みのような。
永島氏:
そうですね。私自身,「シャインポスト」に関わるまでは,アイドルについて詳しいわけでもなくて。テレビや何かで見て「がんばっているなあ」と思うことはあっても,ライブに足を運んで応援するようなタイプではなかったんです。
だから,どうしてそこまでアイドルに夢中になれるのだろう。ライブに足を運び続けるのだろう……みたいなことって,正直それまでは考えたこともありませんでした。
でもゲームを作ることになり,石原からアイドルに対する思いやそれをどうゲームに取り入れたいかといった話を聞いて,「これは自分も知らなきゃダメだ」と思ったんです。それで実際に,ライブにいろいろ行くようになって。
4Gamer:
ゲームの根幹にあるアイドルというものへの熱量を知るには,現場の空気を感じないと,みたいな。
永島氏:
ええ,そういった感じで。それで石原とも一緒に,小さなライブハウスから大きな会場まで本当に幅広く足を運びました。
そんななかで,とあるグループの大きな会場でのライブがすごく印象に残っていて。そのグループにとって初めての大きな舞台で,センターの子がMCでファンに向けてメッセージを伝えたんです。
そのときの空気の変化が,すごかったんですよ。
4Gamer:
それはどのような感じだったのでしょう。
永島氏:
なんて言ったらいいか難しいんですが,それまでの盛り上がりとはまったく違う,「シーン」って静まり返っているけど,なにか重みのある空気がその場を包んでいたんですね。
「ここまでの道のり,いろいろあったんだろうな」「アイドルとファンが一緒に積み重ねてきた時間があるんだな」って,それは私のようなグループのことを知らない人間でも,「これは何かが違うぞ」と感じられるほどで。それぐらい驚く体験だったんですね。
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4Gamer:
まさにライブの現場ならではの。
永島氏:
はい。当然,彼女たちも最初は小さなステージから始めていて,その過程にはたくさんの葛藤や選択があったはずです。
同じように始めても,解散したり芽が出なかったりするグループがほとんどで,夢がかなわないケースが圧倒的多数なんですよね。だからこそ,「ここまでこられた」ということに対する,言葉にできない“何か”がその場には確かにあって。
その瞬間,「石原が言っていた『アイドルで描きたいこと』って,こういうことなのかもしれない」って,何となくですが掴めた気がしました。
4Gamer:
アイドルとファンが積み重ねてきたものが,ライブに表れるような。
永島氏:
ええ。そういう空気に触れて,アイドルの“生きざま”を軽く扱ってしまったら,熱量のあるゲームにはならないと思ったんです。
頑張っている人たちの姿を描くなら,プレイヤーがちゃんと共感できる形にしないと意味がない。でも一方で,どれだけ努力していてもさまざまな要因によって夢が叶わないという現実もあります。
だからこそゲームは,成功したか,夢が叶ったかどうかという結果ではなく,そこに至るまでの過程や構造に向き合って,プレイヤーに何かを感じてもらえるものでなければいけないと考えました。
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4Gamer:
アイドル本人の才能や努力だけでは届かないという,現実的な部分が……。事務所の運営という経営シミュレーションの視点を取り入れたのはそういった考えもあってのことなんですね。
永島氏:
はい。アイドルの夢のために寄り添うか,あるいは事務所の目標のためにビジネス的な判断を下すか。アイドルたちの歩みを描きつつそういった選択をプレイヤーに突きつけることで,あのときライブで感じた“すごい何かの正体”に近づけるんじゃないかと思ったんです。
4Gamer:
そうしてSwitch2のローンチに向けて開発が始まったということですが,作り直しがあって,しかも動かせない発売日があるとなると,相当大変だったのではないでしょうか?
石原氏:
おっしゃるとおりで,ローンチってやっぱりいろいろハードルがあるんですけど,いちばん大きいのは“お尻が決まっている”ことなんですよね。
ハードの発売日は絶対に動かない。そこまでに,何としてでも作り上げて完成させないといけないわけです。
ある意味でいちばん辛いところなんですが,近年ないくらいのスピード感で作りました。作り直しから始まって,これまでの経験からは考えられないくらい短期間で作り切ったんです。
永島氏:
50メートル走とか野球のベースランを,最初からずっと続けていたような感覚でしたね。
でも完成したときは,「あっ,もう終わったのか……」って,ぽっかりするくらいでした。
4Gamer:
そのスピード感のなかで,問題が出たり,軌道修正が必要になったりする場面はなかったんですか?
石原氏:
それが,実は作り始めてからはむちゃくちゃスムーズでした。最後までほとんど止まらず走り抜けられたというのは,近年のゲーム開発ではかなり珍しいケースじゃないかなと思います。
というのも,永島と話し合いながら,かなり早い段階でゲームの基礎設計をガチッと固めていたんですね。
どんなシステムを入れたいか,何を表現したいか。そのすべてを一度ちゃんと盛り込んだうえで,「これさえやり切れれば成立する」というラインを決めていました。それが大きかったと思います。
4Gamer:
土台をがっちり決めていたからこそ,開発中もブレなかったと。
永島氏:
ええ。開発期間がきっちり決まっているのでやれることには当然制限があるんですけど,それでも「これは絶対に外せないよね」という体験は,諦めずに盛り込みたかった。そこは最初の段階でしっかり話し合っていました。
石原氏:
開発後半,クオリティチェックの段階に入って,いろいろな人が実際に触るようになってからもすごくスムーズでした。
普通は「これって大丈夫?」「もうちょっと調整したほうがいいかも」みたいな指摘が上がるものですが,今回は「よくできてるね」という声が多くて。
こんな短期間で,これだけスムーズに作り切れたのは,やっぱり永島や開発チームと最初に「このシステムでいこう」と明確に決めて,現場に迷いが少なかったからだとあらためて思いますね。
夢を追うか,現実を見るか。プレイヤーに突きつけられる5年間の選択
4Gamer:
あらためてゲームの内容について詳しく聞かせてください。
Switch2のメディア体験会で触れたときには,「ときメモ」や「パワプロ」シリーズのサクセスといったKONAMIのおなじみの親しみやすさのあるゲームの仕組みで,会社の経営力や営業力,育成力を上げながら所属アイドルを育てていくシミュレーションという印象を受けました。
石原氏:
当日も少しそういったお話ができましたが……体験会の15分間のプレイって,なんというか“まだ”キラキラでしたよね。
4Gamer:
はい。キラキラです。
ダンスの練習場はまだ使えないし,持ち歌も1,2曲。それでも一生懸命練習して輝く場所を目指すアイドルたちが1stライブを開いて,「やっとスタートラインに立てたね,うんうん」みたいなところまでできました。
未来に向けて動き出したぞ! という,それこそキラキラの明るい感じでしたね。
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石原氏:
ですよね。ゲーム自体,そういう導入にはなっているというのがあるんですが……実はそれってこのゲームのいろはの“い”で,この段階では本作の大きなテーマのひとつにまだ触れられていないんです。
4Gamer:
そのテーマとはなんでしょう?
石原氏:
“夢かお金か”という問いです。
4Gamer:
これまたシビアな……。
石原氏:
お金という言い方はさすがに直接的なので,実際は“現実”という表現で伝えているのですが,アイドルとともに夢に向かって進みたいけど,経営者として経営という現実的な問題にも直面するわけです。
そしてプレイヤーにはその夢と現実の間で右往左往してもらおうという構造になっています。
4Gamer:
夢か金(現実)かはかなりパンチのきいた問いですが,実際ゲームとしてはどうそれが反映されているのでしょう。
永島氏:
まずゲームとしての大きな目標ですが,アイドルの武道館ライブを実現することです。
プレイヤーはアイドル事務所の経営者として,会社を大きくしながらアイドルたちを育てていきます。
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4Gamer:
アイドルたちの活動期間は3年でしたね。
永島氏:
アイドルたち“は”そうですが,しかしプレイヤーである経営者は5年間なんです。
そのなかで,1期生,2期生,3期生と,毎年アイドルをスカウトしていくことになります。
4Gamer:
3年目に入ってくる3期生の終わりまでで,トータル5年間ということですか。
永島氏:
ええ。このプレイヤーとアイドルの間にある制限時間のギャップが,ドラマや葛藤を生む構造になっています。
ゲーム的には,立ち上げ直後の事務所って自前の練習施設はありません。アイドルたちのダンスの練習は夕方の公園,歌の練習はカラオケボックス,休憩場所は倉庫の裏手みたいな環境からスタートします。
少しでもアイドルたちの周りをよくしたい,練習効率を上げたいと思ったら,施設に投資しないといけません。いい曲や衣装を用意したいと思ったら,それにも当然大きなお金がかかる。
アイドルの夢のために環境を整えようとすればするほど,今度は経営破綻のリスクが迫ってくるわけです。
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プレイヤーの行動にアイドルの心は揺れる。声や表情で描かれるアイドルたちの心情
4Gamer:
これは……常に葛藤と選択の連続になりそうですね。
永島氏:
本当にそのとおりで。そのときどきの感情や判断,価値観によってプレイヤー各々の選択があり,その選択によってさまざまな形でシナリオが展開していきます。5年間何かしらの選択を突きつけられ,その都度考えながらプレイしていくわけですね。
もちろん,理想的には1期生から3期生まで全員を大きな舞台に送り込むのが“ベストエンディング”なんですが,現実はなかなかそううまくはいきません。プレイヤーにはエンディングを目指すというより,自分の価値観に従ってプレイした結果,どんな結末になったのか。それを見て自分自身に向き合う……みたいな体験をしてほしいと考えています。
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4Gamer:
これはなかなか刺さるテーマですね。プレイスタイルや結果にはかなり人間性が出そうです。
永島氏:
そうですね。テストプレイを見ていると,本当に人によって違いが出ます。
たとえばアイドルが好きな人は「少しでもいい環境を用意してあげたい」と,ギリギリの赤字でも衣装や楽曲にお金をかけます。あと1円赤字になったら倒産だよ! みたいなところでも(笑)。
一方で感情ではなく理論で動くタイプで,1期生には小さな箱でライブを繰り返させてひたすら資金を稼ぎ,2期生,3期生のために施設を整えていくといったプレイをした人がいました。「最後に成功すればOK」と割り切っているわけですね。
4Gamer:
おおっ……人の心とは。
永島氏:
ひどいっ! って,そう思いますよね(笑)。
石原氏:
で,そういう進め方もできなくはないんですが,それがそのまま“正解”とはならないようにしています。
現実的な問題もテーマにあるとはいえ,やはりアイドルたちが夢を目指す姿を描いているゲームですから。あまりに割り切った進め方をしていると,どこかで「これで本当によかったのだろうか?」と考えさせられるようなイベントやアイドルたちの反応,ゲーム的なペナルティにあたるものが返ってくるようにしています。
4Gamer:
試遊の際,各ターンの行動のあとに,アイドルがプレイヤーに話しかけてくれるのが印象的でした。
ああいった会話でも,そういうアイドルたちの心境が垣間見えるわけですか?
石原氏:
そうですね。たとえば活動の終わりの3年目が近づいてくると,焦りや不安の気持ちを口にするようになるとか。そうしたやり取りを通じて,アイドルの今の心境を感じ取れるようになっています。
彼女たちは,経営者であるプレイヤーのことを信頼しているんですよ。だから,その信頼を裏切るような行動をとると,きっと心に引っかかるなにかがあるはずです。
4Gamer:
寄り添いたいけど,でも今はできないんだ……みたいなこともやはりあると思います。
石原氏:
それももちろん発生します。
たとえば「解散ライブをやってあげたい」と考えたとしても,そこにも当然コストがかかります。それで「今の収支では無理かも……」と悩んで,ゴメンと思いながらそれを口にせず見送るみたいな。そういう,心にちょっとした“ささくれ”みたいなものが残るような展開はありますね。
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4Gamer:
ゲーム的なペナルティというより,人と人との関係のなかでのモヤつくものみたいなことが。
石原氏:
ええ。あと,冷徹なプレイを続けると,プレイヤー自身の話し方も変化していくんです。
そうしたプレイのなかで,たとえば和泉野小夢さんとの会話が,自分の立ち位置を見つめ直す指標にもなると思います。
4Gamer:
小夢さんは,ダンス講師兼振付師として登場するゲームオリジナルキャラクターですね。ゲーム的にはプレイヤーのサポート役みたいなのも担っているのですか?
石原氏:
はい。アイドルたちにも寄り添いながら,プレイヤーにもアドバイスしてくれます。といっても小夢さんは,いわゆるナビキャラではなく,この世界を生きるひとりの人間として登場します。
つまり彼女にも自分自身の考えや信念がちゃんとあって,プレイヤーの振る舞いで気持ちや態度が変化するんですね。
4Gamer:
やっぱりその,アイドルに冷たい態度を取るような主人公には,それに応じたきつい態度になってしまうとか……。
石原氏:
ボイスを担当していただいた豊崎愛生さんが本当に素晴らしくて。よろしくない振る舞いをするプレイヤーに関するボイスの収録中に「私,本当にこんな人は許せないです!」と怒っていて(笑)。アイドルたちにやさしく寄り添うところはもちろんいいお芝居なのですが,感情がそのまま強く反映された怒りの演技も見逃せません。
4Gamer:
もともと表現力豊かな声優さんですが,さらに感情が乗ってすごいことに……。
石原氏:
ええ。なので,小夢さんが怒るという展開も見てほしい……と勧めるのも変なのですが,おそらく多くの人はそこに自然と辿り着いてしまうんじゃないかと思います。
4Gamer:
もしそうなったらと注目したいですが,お話を聞いていると,わざとそう振舞うというのはちょっと違うなという気持ちにはなりますね。
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石原氏:
ええ。このゲームには「夢か現実(お金)か」という問いがありますが,私たちとしてはやっぱり“夢”を追ってほしいと思っているんです。
アイドルの夢を大切に描いている作品なので,それをないがしろにするようなプレイには,ちゃんと痛みも伴うようにしなければならない。夢と現実のどちらも見据えながら,冷静と情熱のどちらも失わず,経営者としての判断と,人としての在り方の両方が問われる。そんなゲームになっています。
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AI×成長,プレイヤーの選択によって“伝説のライブ”は生まれる
4Gamer:
ライブの話も聞かせてください。かなりの楽曲数がありますが,それをライブで表現することは大変だったのかなと。
石原氏:
そうですね。楽曲自体はSwitch2向けに作り始めた時点でかなりあったんですが,ライブシーンをどう表現するかは考えましたね。
モバイルのときからかなり広範囲の表現を盛り込みたくて,いろいろ試してはいました。それらをあらためて見直し,今回できることを丁寧に組み直した感じです。
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4Gamer:
それこそ,AIの技術も使われているわけですよね。
モバイルゲーム制作時の話でも少し説明していただけましたが,あらためて詳しく知りたいです。
石原氏:
はい。あらためてAIを使いたかった理由を話すと,アイドルの成長や失敗,感情といった表現をAIが“肩代わり”してくれると思ったからです。
研究自体はかなり前から進めていて,とにかく素材だけは大量に作っていました。ベースがしっかりあったので,Switch2でそれをどれくらい生かせるかは考えましたね。
4Gamer:
かなりの楽曲数ですが,ユニットを自由に編成できるということは,それこそセンターで誰が歌うかも変わるわけですよね。
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石原氏:
プレイヤーがどこに誰を置いても,その子がちゃんとそのパートを歌えるようにポジションごとの歌唱が成立するように作られています。これはAIによる歌唱の導入があってこそ可能になった仕組みですね。
そして,以前からやりたかった「アイドルの成長によって歌が上手くなっていく」という要素も,しっかり盛り込んでいます。
たとえば,ただカラオケボックスで練習させてるだけじゃあまり上達しないかもしれない。でも,育成施設をアップグレードして,さらにライブの経験を積ませると表現力が上がっていく。そういう,育てた分だけ成長する感覚を,歌にもちゃんと反映させています。
4Gamer:
AIすごい……ってなりますが,その裏には長年の研究と試行錯誤があるんですね。
石原氏:
そうですね。表に出ている「LAUGH DiAMOND」のプロジェクトも,まさにその成果です。
あの歌唱ライブラリはもともと「シャインポスト」のゲームのために作っていたものがベースにあるんです。
4Gamer:
あっ,そうだったんですか! 公式サイトには「苦手な部分もそのまま取り込んで学習させている」って説明がありました。それってまさにアイドルの成長や個性を表現するうえでの考え方ですよね。
石原氏:
ええ。アイドルの魅力って,歌が上手ければいい,下手ならダメというものではないですよね。
たとえば,歌が下手でも一生懸命に歌う姿に惹かれますし,「ロングトーンが続かなくて,声がかすれてしまう」「ピッチが外れがち」みたいなところにも,その子にしかない個性や魅力になります。
そして,何度もライブを見てると「あ,上手くなってる!」って気づく瞬間があって,ファンもそこに熱くなる。「あの子,フェイク入れられるようになったんだ」とか,「あの高音めちゃくちゃ綺麗に出てたね!」とか。それだけで会場が湧くんですよね。
そういうものを表現したくて作ったからこそ,クセやもそのままというちょっと不思議なAI音声ライブラリになったんです。
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4Gamer:
AIを活用した歌ももちろんですが,3Dキャラクターによるパフォーマンスも気になります。
石原氏:
ダンスの振り付けはすべてCRE8BOY(クリエイトボーイ)の皆さんにお願いしています。CRE8BOYといえば,複雑なフォーメーションや手足の繊細な動きが特徴で,指先の表現にまでしっかりと感情が込められているんです。
4Gamer:
そのあたりもこだわりをもって表現されたと。
石原氏:
ええ。現在のモーションキャプチャ技術は非常に優れていますが,それでも指先や足先などの細かな動きを完全に再現するのは難しいんですね。あと一歩,“心を動かす”ところに届いていないと感じるところがあるというか。
そうした細かいところの表現は追加のモーションを作り込んでいます。うまくいっているときはもちろん,ちょっとしたミスがあったときにも,動きや表情でちゃんと伝わるように意識しています。
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4Gamer:
楽曲についてもうかがいたいです。ライブでは自分でセットリストを組めますが,「Colorful」「Cool」「Stylish」といった種類があるのが気になりました。あれはどういうものなのでしょうか?
石原氏:
あれは曲ごとの“属性”のようなもので,ライブの盛り上がり方や,お客さんのリアクションに影響する大事な要素ですね。
実際のアイドルも,限られた持ち曲を使って毎月や毎週ライブをこなしていくわけですが,たとえセットリストが似ていても,その日の雰囲気や盛り上がるポイントって毎回違うわけです。
お客さんが求めているものもその日や場所によって変わります。そういう違いを楽曲の属性的なところで反映し,そのときに求められている楽曲を「トレンド」としてゲーム内に表示しています。
4Gamer:
盛り上がるライブにするには,トレンドや曲の属性をうまく読み取って組み合わせることが大事になると。
石原氏:
そうですね。ただ,1曲作るのにも当然コストがかかるので,そんなにたくさん曲を用意できるわけではありません。
だからこそ,限られた持ち曲の中でどうセットリストを組んで,どうそのライブを魅せるかという,現実的な工夫が生まれるんです。
4Gamer:
なるほど。そうやって生まれたライブが結果次第で,現実のアイドルのエピソードにあるような「あの日,あのときに行われた伝説のライブ」みたいな特別なものになる……という想像を楽しめそうで楽しみになってきました。
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信じて待ってくれていた人たちに。自信と覚悟をもって届ける一本
4Gamer:
インタビューにたっぷり2時間いただきましたが,なんだかあっという間に終わりの時間が近くなって。
音楽のことやシナリオのことなどもっと聞きたくなりますが,それをやるとするとそれぞれに2時間くらいはかかりそうです。
石原氏:
そうですね(笑)。本当に設定やシナリオの話をするとしたら,駱駝さんを交えてお話したいところですが,これも相当な時間になると思います。
4Gamer:
シナリオというと,モバイルゲーム向けに作られていたシナリオはどうなるのかが気になります。
石原氏:
あくまでコンシューマゲームでは使えなかったということですから,捨てたかといったらそうではなくて。
その中の4人の物語は「ヒロインストーリーズ」という形で,今回のゲームに取り入れています。これもかなり見ごたえのある内容になってます。
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4Gamer:
ほかのアイドルのエピソードも,いつか見られる日がくるのかは気になります。たとえば追加コンテンツや,ドラマCDとか。
石原氏:
モバイル版のシナリオも,何かしらの形でお届けしたいとは考えているんですが,ただ現時点では「できたらいいな」という段階ですね。
20人近くのアイドルがいて,それぞれに1人あたり8時間分くらいのシナリオがありますから。
4Gamer:
1人8時間分っ。
石原氏:
ええ。ドラマCDという形もありだと思うんですが,そうなるとやっぱり掛け合いがもっとほしくなりますし,あとは「ヒロインストーリーズ」のように絵と一緒に見せたいという思いもあって。そういったわけで現状は,出すとしてもどういう形が一番ふさわしいかから考えなければならないですね。
4Gamer:
まずはゲーム本編をじっくり楽しませていただきます。
ただ,その前にひとつ,個人的に気になるのは……Switch2,いつ買えるのか問題なんです。人気すぎてまだ手に入れられていない方も多いようですが,そのへんの影響はどうお考えなのだろうかと。
石原氏:
そういったところは「ローンチタイトルにする」と決めた時点で覚悟ができています。
ハードがこれだけ注目されているというのは,やっぱりすごいことで。Myニンテンドーストアで初回220万件以上の応募があったと聞いてますが,それだけ多くの人が楽しみにしているゲーム機で,そして“売れる”ものなわけですね。
個人的にもSwitchは理想的なゲームハードだと思っていたので,その新型でローンチに関われたことはなにより光栄で。ゲームはこれから継続して販売されるわけなので,実際にプレイされた方の反響が積み重なっていって,いざSwitch2を手に入れたときに「まずこれを遊ぼう」と思ってもらえたら嬉しいです。
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4Gamer:
一方で「シャインポスト」ファンの視点からすると,けっこう攻めた内容でもあるので,「思っていたのと違う!」という反応もあるのでは……と少し心配にもなります。
石原氏:
そこもしっかり考えて作ってきていますが,どのような反応があるかは確かに気になるところはあります。
実際に社内のテストプレイでも,「シャインポスト」のファンであるスタッフから「アイドルをこんな扱いにするなんて……!」という声があったんですよ。そういう反応を踏まえて,「さすがにこれは厳しすぎたかもしれない」と感じた部分は表現を調整したり,バランスを見直したりもしました。
それでも,キャラゲーとかアドベンチャー的な作品をイメージしていると,けっこう本格的なシミュレーションゲームであることにギャップを感じるかもしれません。
だからこそ,しっかりと「これはこういうゲームなんだよ」という情報を発信していかないといけないなと,あらためて思っています。
4Gamer:
そういう意味でも,今回のインタビューは「長く読まれる」ものになるといいなと思います。こういうゲームで,こういう覚悟を持って遊んでほしい……みたいなことが少しでも伝わって,作品の広がりにつながればと。
では,最後に読者やファンへのメッセージをお願いします。
石原氏:
ファンの皆さんには,まずは「お待たせしすぎてしまいました」と伝えたいです。それでも信じて,こんなにも長く待っていただけたことには感謝の気持ちしかありません。
ゲームオリジナルユニットの「ひまわりシンフォニー」のように,発表はしていたけど登場までお待たせしてしまったアイドルもいて。ファンの皆さんにも,キャストの皆さんにも,そしてアイドルたちにも申し訳ない気持ちがありました。だからこそ,今回こうしてちゃんと作品として形にして送り出すことができて,本当によかったと思っています。
ゲームとしては,開発チームが本当に全力で取り組んでくれて,「これなら自信を持って送り出せる」と思えるものができました。ビジュアル面でも,Switch2のマシンパワーをしっかり生かした内容になっていて,ユーザーの皆さんにはSwitch2というハードを思いっきり楽しんでもらう意味でもぜひ遊んでいただけたら嬉しいです。
4Gamer:
アイドルファンでもある石原さんの思い,そしてその思いに応える形で,「アイドルとは何か」に真剣に向き合い,それをゲームという形に落とし込んだおふたりの話は,きっとゲームファンにもアイドルファンにも深く響くものだと思います。
ゲームを手にすることを心から楽しみにしていますし,今後のプロジェクトの展開にも期待しています。今日は貴重なお話を本当にありがとうございました。
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©Konami Digital Entertainment,Straight Edge Inc./シャインポスト製作委員会
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