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印刷2025/12/13 12:00

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実は今,ひそかなブームが来ている……! 中国&韓国実写ムービーアドベンチャーゲームの世界

 ここ数年,アジア圏発,主に中国や韓国のスタジオが開発する実写アドベンチャーゲームをよく見かけるようになった。実写といっても,例えば「街」や「428」のような静止画+テキストの形ではなく,動画がメインとなっているもの。Steamでは「フルモーションビデオ」(FMV)というタグがつけられていることが多い。

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 こういったタイトルが増えている背景の1つには,動画サイトのTikTokなどで急成長しているマイクロドラマ(ウェブトゥーンのようにスマートフォンの縦画面で見ることを前提とした数分程度の短尺ドラマ)を,よりインタラクティブな形で楽しみたいというニーズの高まりもあるのだという。加えて,そうしたコンテンツにかかわるインフルエンサーらとのコラボのしやすさといった利点も考えられそうだ。

 少し前までは,いわゆるギャルゲーやハーレムゲーのようなものが多かったようだが,近頃では異なる趣きのタイトルも増えている。また,日本語翻訳に関しては,AI任せなのか怪しいものが多い一方で,Steamレビューで高評価を受けるタイトルも目立つ。そこで,ここ2年ほどの間にリリースされ,Steamで「非常に好評」「圧倒的に好評」の評価を受けている7つの作品に軽く触れたので,そのプレイ感を紹介しよう。軽いネタバレが含まれているものもあるので,その点は了承のうえで読み進めてほしい。

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 近年,アジアを中心に実写映像を用いたゲームが増えており,欧米でも話題になっている。実写恋愛ゲーム「まさか!下宿生が 美女ですって?」などは,スマッシュヒットとなっており,Steamでのレビューも高評価だ。さまざまな地域のメーカーが参入しており,新作も次々に展開されている。

[2025/12/08 11:00]


難アリの日本語訳でも,無性に続きが気になってしまう

名利のゲーム

リリース日:2024年2月20日
日本語訳の精度:★
QTE(ミニゲーム含む)難度:★

※PS5 / Xbox Series X|S版もあり

「名利」とは日本語の「富と名声」のような意味で,中国語ではネガティブなニュアンスを含むことも多いようだ。「バニティ□フェア」は「バニティ・フェア」の文字化けと思われる
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対応言語に日本語はある。あるのだが……
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 海外のスタジオが手がけたゲームで遊ぶとき,日本語の漢字に簡字体や繁字体が使われていて何となくモヤモヤしたことはないだろうか。しかし,そんなのは些細なことだったのかも(?)と気付かせてくれるのが,この「名利のゲーム」である。

 最初にこういうことを書くのも少し気が引けるのだが,本作でまず気になったのは非常に残念なレベルの日本語訳。主人公であるルー・ユアン(陸遠)の名前が時々「遠藤くん」になったり,ヒロインのひとり,グアン・ハイユエ(关海月)のことを,しっとりとした雰囲気の中で「クラゲ」と呼んだり……。ほかにも、友人や彼女に対して妙に他人行儀な言い回しになったと思ったら,上司には高圧的な口調で命令するといった感じだ。

 全体的にシリアスなトーンの物語を美男美女が演じている分,ギャップも大きく,常にツッコミを入れながらプレイすることになった。

主人公とグアンが初めて出会うシーン。深夜になぜうなだれて歩いているのかと,グアンから問いかけられたが……ここは緑色になるしかないだろう
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おそらく左の選択肢は,ヒロインの1人を「抱きしめる」だと思うのだが,何故……。ただ,イケメンならだっこをねだっても許される気がしてきた
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 今回のプレイでは,翻訳の分かりにくさに加えて,一部の字幕がない,ループするバグがあるといった複数のマイナス要素に戸惑ったが,それを吹き飛ばすパワーを秘めていたのが,ストーリーの面白さである。

 イケメン俳優の胡文喆さん演じるルー・ユアンとなったプレイヤーは(この手のゲームでは珍しいことに,本作は一人称視点と三人称視点が混在している),映画監督としての成功を求め,2004〜2024年の架空の20年を歩んでいくのだが,ストーリーの続きが気になり,止めどきを見つけるのがなかなか難しかった。

映画祭で賞を獲得するためには,誰に取り入り,その支援を受ける必要があるのかを説明するグアン。正攻法ではこの世界で生き残れない
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映画会のトップ女優として活躍するヒロインのガオ・ティンギュ。主人公への不自然な接近の目的は何なのか?
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映画監督の夢はきっぱり諦め,学生時代からのパートナーと幸せな家庭を築くのも,1つの生き方
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ストーリーライン(タイムチャート)ではヒロインの好感度も確認できる。単に高いだけではたどり着けないルートも存在するようだ
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 誰が本当の敵,あるいは味方なのか? 複雑な話であるうえに翻訳精度の問題も絡んできて,余計に状況が把握しづらいのだが,ライバルへの復讐や牽制,ヒロインたちとの関係,裏社会との取り引きなど,業界でのし上がるためにさまざまな思惑や企みの先を読み,暴力を制していく過程が脳内補完頼りでも非常にハラハラする。

 キャスト陣の演技や全体の演出も光るものがあるので,それも相まって良質なサスペンスドラマを見ているような時間を楽しめるはずだ。



絶頂期に引退したボクサーが選ぶ道は?

我打不过漂亮的她们

リリース日:2025年9月25日
日本語訳の精度:★★
QTE(ミニゲーム含む)難度:★


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ショートカットキーを覚えておくとなにかと便利
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 続いては,「一体どう読むの?」とか「字面だけじゃ内容がさっぱり分からないんだけど……」という心の声が方々から聞こえてきそうな,「我打不过漂亮的她们」を紹介しよう。

 タイトル名だが,ロゴをよく見ると,「I can't beat the beautiful ones」という英題が書かれている。中国語,英語のいずれでも,訳すと「きれいな人には敵わない」という,どちらかといえば柔らかい意味のタイトルとなるようだ。なのに,主人公のShi Lei(石磊)は,絶頂期に引退したボクサーという,なんだか陰を感じる設定。

 特徴的だったのは,プロローグの進め方によって,その先のストーリーが大きく3つに分かれていくところだ。「人生の救い」「ボクシングの復讐」「拳王の隠遁です」という分岐は,それぞれがパラレルワールドになっているらしく,どの物語に進むかによって,登場するヒロインも変わってくるようである。

引退した主人公が営むバー「U-SPACE」にて。このプロローグでの何気ない選択も3つの分岐に影響する。あと,選択肢の一部が抜け落ちている程度では,もう動じなくなった
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 筆者が進むことになったのは,「人生の救い」というルート。プロボクサーを目指して主人公に師事しにやって来た朱悦然,心理カウンセラーの王心媛という2人のヒロインと出会うことになった。

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 物語は6つのチャプターで構成されており,主人公の選択は,ヒロインたちの好感度に加えて,恐らく自身の心の属性を表すゲージ,「癒し」と「ダーク」にも影響する。そのゲージの度合いによっては進めないルートもあった。

まさかヒロインに不意打ちを仕掛けられるとは思わなかった
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串焼きを渡したほうの好感度がアップ。どちらにしようか?
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王心媛のカウンセリングを受けると癒しゲージが上がる。また,特定の場面で暴力的な行動をとるとダークゲージが溜まるようだ
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 ボクシングがテーマの1つになっていることもあり,バイオレンスな描写がメインかと思っていたが,主人公の心の安らぎや過去を乗り越えるための葛藤といった部分にもスポットが当てられている印象だった(筆者が選択したルートに限られているのかもしれないが)。

 コメディシーンはあまりなく,同性キャラとの友情も端々に描かれている。恋愛アドベンチャーではあるが,真面目で硬派なテイストの作品だといえるだろう。



主人公が繰り返し見る夢にはどんな意味が? 

モニタシミュレータ

リリース日:2024年7月26日
日本語訳の精度:★
QTE(ミニゲーム含む)難度:★★★


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 シリアス路線の後は,恋愛要素が強めの3タイトルを挙げていきたい。

 「名利のゲーム」と同様に,本作の主人公も映画監督になることを夢見る青年。今はまだ貧乏カメラマンとして日々アルバイトに奔走する彼だが,いつの頃からか,6人の女の子たちが現れる夢を繰り返し見るようになり,そのことを不思議に思いながら日々を過ごしている。

 日本語訳に関しては,登場キャラの名前をはじめ,全編を通じてカオス。唐突かつ話のつながりが前後で噛み合っていないところも多く,終盤の肝心なシーンで字幕自体が表示されない状況にも出くわした。ただ,恋愛がメインのストーリーなので,基本的に小難しいやりとりはない。ムービーである程度の雰囲気は分かるし,適当に進めても詰まることはないはずだ。

ヒロインのひとり,林渓言。「名利のゲーム」にも登場していた俳優,章凯玥さんの怪演にはぜひ注目してほしい。それはさておき「じゅん」ってなんだろう……? もちろん筆者のことではない
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“桃の借金”とは……。会話内容をしっかり把握したい場合は,気合で乗り切るより英語でプレイしたほうがまだ分かりやすいのかもしれない
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急に霊感という単語が出てきてオカルト展開かと驚いたが,インスピレーションのことだった
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 今回紹介している7タイトルには,大抵シンプルなQTE(またはミニゲーム)が採用されているが,本作では,カメラマンという主人公の設定を生かした遊びが登場する。

 写真撮影ができるミニゲームはその1つ。2人きりのシーンでヒロインが主人公に見せる素顔のベストショットを狙ってみよう。撮った写真には評価がつくので力も自然と入るに違いない。

撮影済みの写真はローカルのフォルダ(設定画面で指定が可能)に保存されるので,プレイ後も楽しめる
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 ちなみに筆者が攻略を進めていたヒロインにおいては,ダンスや歌のエフェクトに合わせてマウスカーソルをクリックするミニゲームもあった。しかし,これが屈指の難しさで,じっくり眺めたり,歌を聞いたりする余裕はまったくなかった。実績も用意されているようなのだが,開放には手こずるのではないだろうか(筆者は早々に諦めた)。

マウスカーソルが小さく,よく見失っていたのが敗因のように感じる
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 人気アイドルやら,コスプレイヤーやら,大企業の後継者やら,6人の多彩なヒロインたちと普通の恋愛をするのも楽しいのだけれども,実はそれだけに留まらないインパクトのあるルートも用意されている。また,自分の意にそぐわない選択肢しかないときは,少し待ってみるといいことがあるかもしれない。

ヒロインの好感度はチャプター終了後に確認できる
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中央の2人「夢を見る」ちゃんと「あわを吹く」ちゃんの名前が正しい固有名詞に修正されますように
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韓国発,5名の人気インフルエンサーらがヒロインとして出演

まさか! 下宿生が美女ですって?

リリース日:2024年10月3日
日本語訳の精度:★★★
QTE(ミニゲーム含む)難度:★

※iOS / Android版もあり

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パステルカラーの背景が印象的。設定項目も細かい
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 韓国発の「まさか! 下宿生が美女ですって?」は,YouTubeの人気チャンネル「MilkFilm」に出演する俳優やインフルエンサーらがヒロインとして登場するタイトルだ。

 ニートの主人公,ウ・ユマンの両親が突如出張で不在になるところから物語がスタート。どういうわけか,自宅に下宿生を募ることになり,そこに「20年来の幼馴染」「初恋のアイドル」「グラマラスすぎる上司」「主人公を慕う幼馴染の妹」「謎の引きこもり」という5人のヒロインたちが集まってきて,賑やかな毎日を送ることになる。

 6つのチャプターから構成されている本作では,ヒロイン全員の好感度を上げることが鍵に。トータルで好感度が不足していると次のチャプターに進むことができないため,全員からバランス良く好かれるルートを選んでいかなければならないのだ。

選択肢によっては,一方の好感度が上がり,他方が下がることもある。好感度不足の場合は戻ってルートを見直そう
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主人公初恋のアイドル,ミンジョンとの偶然の出会い。ときどき,とんでもない選択肢が紛れていることもあって,笑ってしまう
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幼馴染のマルスクが,自身のどこが魅力的か尋ねてきた。QTEタイプ(時限式)の選択肢に変な回答が混ざっているケースもあるので油断は禁物。「身長」の項目は,マルスクの背の高さを知っているファンならニヤリとできるはず
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 日本語訳は,誤字脱字レベルの誤植はあるものの,その数は少なく,気が削がれることはない。ゲーム内のスマートフォンの画面はそのままになっている作品がほとんどだったが,本作ではしっかりと日本語に訳されていたように,翻訳もシステムも全体的にしっかりしている。イマドキのヒロインたちとの恋愛,駆け引きに集中できるだろう。

主人公の就職も決まりそうで何より
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 「まさか! 下宿生が美女ですって?」は今回唯一ゲームパッドとキーボードの両方が使えた作品でもある。対応言語は15か国語と最も多く,開発側の力の入れ具合が伝わってきた。
 実は本稿執筆中に,続編となる「まさか! 下宿生が美女ですって? 2」もリリースされた。本作が気になったら,合わせてチェックしてみてはどうだろうか。

5人のヒロインたちの素に近い演技も逆に魅力的
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ケンカを始めるヒロインたちには手を焼くが,モテモテのこの瞬間も楽しいひとときだ
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主人公を襲う怒涛のハプニング。アダルト要素もちらほら

タイでのときめき

リリース日:2025年9月19日
日本語訳の精度:★★
QTE(ミニゲーム含む)難度:★★


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解像度は1080pのほか,2Kや4Kにも対応
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 隙あらば,あざといアダルトな要素を盛り込んできたのは「タイでのときめき」。

 大学を卒業したばかりの主人公は,バンコクのチャイナタウンで大きなビジネスをしている叔父を頼りに,仕事を求めてタイにやってくる。しかし,滞在先となる叔父の別荘には女性の幽霊が出現し,慌てて逃げた先ではチンピラに絡まれ,ナイトクラブのショーガールに匿ってもらうも,現地を仕切る2大ギャングのイザコザに巻き込まれた挙げ句,叔父さんは行方不明に……といった感じで,到着早々の彼を怒涛のハプニングが襲う。

仏教寺院のワット・アルンにて。選択肢によっては,空港まで迎えに来た従姉妹のシャオシュイと一緒にタイの名所を観光できる。この後を考えると,主人公がひと息つけた貴重な瞬間
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別荘のお風呂(何故か外にある)に向かってみると,自分のほかには誰もいないはずなのに妖しいシルエットが……
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主人公を助けてくれたダンサーのシャーリー。とはいえ,武術の心得がある主人公はかなり強く,数人相手なら軽くのしてしまうのだが
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幽霊のような存在として,エフェクトをまとって登場するナナも立派なヒロイン。主人公にしか見えないのをいいことに,たびたびイタズラで困らせてくる
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ギャング「青龍会」の女ボス,シェンマンとは主人公の顔が彼女の夫にそっくりというきっかけで知り合う。とある事情から着替えを手伝ってもらうことに……
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 ストーリーは,タイならでは(?)のギャグシーンなどを挟みつつ,非常にテンポよくスピーディに進んでいく。たとえ途中でバッドエンドを迎えても,ヒロインごとの好感度ゲージがないということもあってか,手前に戻って別な選択肢を選ぶだけでサクッとクリアできた。

 5つの章を通して,主人公が遭遇するトラブルの過程で出会ってきたヒロインたちが,最終的には同じ目的のために団結するというシナリオは,ほかの作品ではあまり目にしなかった筋運び。登場人物たちとの一体感を味わうことができるだろう。

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 クリア後は,本編のプレイ中などに入手できるアイテムを使って,専用ページでヒロインの着せ替えや特典映像を鑑賞できる。例えばブラシを渡すと,それを使って髪を梳く映像を見るといったように,コンプを目指したくなる工夫も凝らされていた。

ときどき謎の返しもしてくるが,ヒロインとチャットできるシステムはユニーク
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舞台は新宿・歌舞伎町。Vシネ感たっぷりの任侠モノ

天命リブート:選択と鼓動

リリース日:2025年10月22日
日本語訳の精度:★★
QTE(ミニゲーム含む)難度:★★


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 「普通の恋愛では物足りない」「もう少しパンチが欲しい」と思ったなら,「天命リブート:選択と鼓動」はどうだろうか。

 中国のパブリッシャによるタイトルだが,このジャンルではあまり見かけない東京の歌舞伎町で撮影が行われており,キャストだけでなくスタッフにも多くの日本人が関わる作品となっている。冒頭で,さまざまな言語を理解し,話すことができるイヤフォンを身に付けるシーンがあり,登場人物のほとんどが日本語で話してくれるようになっているため,日本語字幕の訳が微妙でもストーリー自体はすんなり頭に入ってくるだろう。

見知った風景は,より物語を身近に感じさせる
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 歌舞伎町が舞台なら,もちろんテーマは「極道」。記憶を失い新宿の路地裏で目覚めた主人公は,トラブルの果てに主人公の過去を知る素振りを見せる,ヤクザ「黒岩会」(こくりゅうかい)の女ボス,黒岩生花と出会い,彼女から会の若頭になることを要求されてしまう。

 といった感じで,ちょっとあり得ないような,かなり強引な形で序盤が展開していくが,恋愛アドベンチャーなら細かいことは気にしないのが一番だ。

黒岩会現会長の黒岩生花と,構成員たちから「お嬢」と呼ばれている黒岩杏子。モタモタしていると選択肢が消えて,決断力のなさにがっかりされることも
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警視庁の警察官,千守若葉が日焼け止めを塗って欲しそうだ
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 ほか作品と比べて印象に残ったのは,QTE系の遊びの種類が多いことだろうか。喧嘩のシーンを筆頭に,忍者のヒロインから奥義を教わったり,車のトランクをこじ開けたり,発砲したり,金庫を破ったり。単発のクリックだけでなく,各種キーの連打や長押し,使い分けなどがあり,特にクライムアクション部分の雰囲気を引き締めるスパイスになっていた。

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日本が舞台なら忍者は外せない!? 会長の護衛を務める秘伝忍術の使い手,影下千雪から手ほどきを受ける
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敵対する石川組の構成員たちと交戦中。QTE部分はスキップもできるので周回も苦にはならない
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金庫解錠のギミックはヤクザというより怪盗気分を味わえた
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 任侠系Vシネのテイストにあふれている天命リブートだが,もしそれだけの作品でないことに早くから気付いたなら,その嗅覚は誇っていい。すごい技術のイヤフォンや,女性忍者の存在,VFXを用いた演出は,「あれ,これって特撮ヒーローものだったかな……?」と思ってしまうような予想外のストーリーにつながっていき,個人的にいい意味で裏切られた。

 クリア後には,メイキングの様子やヒロイン役の俳優の動画を鑑賞できる。役とは全然違う表情や声,振る舞いを見られるのは新鮮で,ここでファンになる人もいそうだ。
 本作を含めた複数のタイトルで,おまけ的な要素として,ゲームの中で手に入るアイテムを使ってのキャラクター人気投票もできたので,推しができたら応援してあげてほしい。

 惜しむらくはエンディングのエピローグ風テキスト。ほかの部分の説明と比べてかなり不思議な日本語になっていたので近い内に改善されることを願う。



主人公のモデルは則天武后。血生臭い陰謀が渦巻く後宮で選ぶのは愛か? 命か?

盛世天下〜女帝への道〜 I

リリース日:2025年9月9日
日本語訳の精度:★★★
QTE(ミニゲーム含む)難度:★

※iOS / Android版もあり

主人公の武元照を演じるのは俳優のホアン・イー
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 ラストとなる「盛世天下〜女帝への道〜 I」は,初期中世(初唐)が舞台,そして女性主人公と,これまでとはガラリと異なる設定のタイトルだ。

 主人公である武元照(ぶげんしょう)のモデルは,中国の歴史において唯一の女帝,武則天(日本では則天武后の名前で知られる)と思われる。ゲームでは,唐の第二皇帝・李世民の後宮入り後,権力争いで血生臭い宮中を知恵と勇気で切り抜けていく,彼女の人生の若年期を体験できる。

左の楊淑妃(ようしゅくひ)は,武元照のおばにして,武元照を後宮に招いた人物。一見優しそうだが……
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 武元照は冒頭から常に過酷な状況下に置かれ,選択肢を間違えると,とにかく待っているのは「死」。別な意味での「死にゲー」だといえるかもしれない。とにかく活路を求めてもがくことになるのだ。

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全方位に向けて登場人物たちの殺意がとにかく高すぎる。毒殺にも注意
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 おかげで,皇子たちと会話ができるようになってもすっかり疑心暗鬼に。きれいな武元照はいなくなり,好感度上げなどは二の次で,常に言葉の裏の裏を探ろうとする暗黒武元照が,筆者の内側とディスプレイの向こう側に誕生してしまった。

大唐太子,李承乾(りしょうけん)
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第四皇子魏王,李泰(りたい)
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第九皇子晋王,李治(りち)。主人公をはじめ,登場人物には中華圏で注目を集める俳優がキャスティングされている一方で,BLやGLといった要素も盛り込まれている
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 生き抜くことが大変なので,ほとんどの人は筆者と同様に,宮中での恋愛などどうでもよくなってしまうのではないだろうか。しかし,そうなっても遊びごたえは十分。ほかのタイトルの多くが6章前後だったのに対し,本作は全16章というボリュームで,システムもよくできていた。特に歴史好きなら一層の満足感が得られるはずだ。

 続編も鋭意制作中とのことなので,武元照のその後の歩みを早く追いかけたいものである。

美しい衣装だけでなく,豪華できらびやかな宮廷のセットも見どころの1つ。全編を通して,4Kの実写映像で撮影されているのだという
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プレイヤーの行動をもとに生成された数種の性格診断を見られるのは面白かった。「〜しか勝たん」や「ガチ勢」といった日本語のスラングも使われているなど,日本語訳もこなれている
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 この記事で紹介したタイトルは,サスペンス,日常,任侠,歴史モノなど路線は違えど,グラフィックス(映像)はどれもが高解像度で,ストーリーラインとスキップシステムを完備。分岐手前でこまめにセーブする必要もなく,複数キャラの攻略やバッドエンド後のやり直しも含め,快適にプレイできた。ムービーの1つ1つが短いのも良かった点だ。

 あったらいいなと感じたのはバックログ機能。早戻しができるタイトルもあったのだが,ちょっと目を離した隙に見落としたり,妙な日本語ですぐには理解できなかったりした部分を,手早く読み直すにはあまり使い勝手がよくなかった。改良されればもっと遊びやすくなるだろう。

 実写ではないが,かつてゲームの供給媒体がロムカートリッジからそれより大容量とされるCD-ROMに切り替わったとき,「やるドラ」シリーズなどのムービーゲームが注目を集めたことがある。

 しかし,現在の実写ムービーアドベンチャーゲームは,それとは全く異なる理由,恐らく文字を読むことが少なくなった時代を反映していそうなのが興味深い。個人的には,テキストベースの実写ゲームも好物なので,AI翻訳などの進化と共に一緒に盛り上がっていってほしいところである。

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