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見知らぬ空間に迷い込み,壊して創造する。Q-Games新作「Dreams of Another」は,今までにない表現で“誰かの夢”を描く不思議な感覚の探索ACT[BitSummit]
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BitSummitの創設者としても知られる京都のゲームスタジオ・Q-Gamesによる新作「Dreams of Another」(PC / PS5)は,まさにそうした「夢の共有」を試みるような作品だ。「PixelJunk Eden」でもディレクターを務めたマルチメディア・アーティストのBaiyon氏が手掛ける本作は,タイトルのとおり“他人の夢”の中を彷徨っているかのような,危うくも魅力的な三人称視点の探索型アクションゲームだ。
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「Dreams of Another」は,2025年7月18日,「BitSummit the 13th Summer of Yokai」の開幕と同時に発売日が発表された。会場ではPlayStationブースのメインタイトルの一つとして展示され,向かいのQ-Gamesブースでは巨大なアートが飾られるなど,強く印象に残る存在感を放っていた。
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その両ブースでプレイできたのがPlay Station 5版のデモだ。ゲームは,パジャマ姿の男が泡のような粒子に包まれた空間に立つ場面から始まる。プレイヤーは彼を操作し,説明らしい説明もないまま,その姿にそぐわないマシンガンで泡を撃ちまくることになる。目的も分からず撃ち続けていると,次第に視界が開けていき,弾けた泡が集まり,噴水や建物,人といった“世界”が少しずつ形作られていくのだ。
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そして,話しかけると意味があるようで意味をなさない不思議な言葉を返してくる“人”たち。夢の中の会話のように,ナンセンスでシュールで,それでいてどこか寓話的だ。
「マンホールから怪物が飛び出した!」と話す人物が現れ,その痕跡をたどって正体にたどり着くと,今度は“マンホールのふた”が動き出し,先ほど創り出した噴水や建物,人々を次々に破壊しはじめる。
壊れた空間の中では,マンホールのふたの動きは捉えにくく,ふと建物の裏からヌッと現れては,自分が創った噴水や建物を次々に壊していく。プレイヤーはマシンガンや手榴弾で応戦しつつ,壊された世界をその場で修復しながらマンホールのふたの動きを止めようとする。
文章にするとわけがわからないが,夢の中のような不条理さと,破壊と創造が交錯するこの展開は,プレイしていて非常に不思議な感覚をもたらしてくれた。
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ポイントクラウド(3Dスキャン技術などで用いられる点群データ)を活用して表現されているという“泡”のような空間演出は,夢の中にいるような感覚を強く引き出してくれる。
止めたマンホールのふたが「この先に行きたいのか?」と問いかけてきて,さらにその先へ……というところでデモは終了。人やモノが語り出すこの夢の世界にはナンセンスながらもどこか意味深で,現実社会に持ち帰ってしまいそうな“なにか”がありそう。
音楽もまた印象的で,アンビエントかつドリーミーなサウンドは,BitSummitという大勢の人が行き来する場所であることを忘れさせ,まるで「あっち側」に行ってしまったような気分にさせてくれる。
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破壊しながら,なぜか世界が整っていく。その繰り返しの中で言葉にしづらい何かがじわりと心に残る本作。一見,そういった雰囲気や考えることに重きが置かれたゲームに見えるが,周囲にマシンガンをぶっ放すという操作はTPSとしてのシンプルな爽快さもある。体験できたのは本当にゲームの入り口程度のものだという印象だが,この先にどんな空間と物語が待ち受けているのか,続きが非常に気になる一作だ。
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「Dreams of Another」公式サイト
「BitSummit the 13th」公式サイト
4Gamer「BitSummit the 13th」まとめページ
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