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[インタビュー]「仁王3」で目指すのは,サムライとニンジャの「転心」やオープンフィールドといった新しさと「仁王」らしさの両立
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印刷2025/06/05 10:08

インタビュー

[インタビュー]「仁王3」で目指すのは,サムライとニンジャの「転心」やオープンフィールドといった新しさと「仁王」らしさの両立

 日本を舞台としたダーク戦国アクションRPG「仁王3」がついに発表され,体験版も配信が開始された(6月18日までの期間限定)。濃密なアクションや奥深いシステム,装備集めの楽しさなど独特の魅力を持ったシリーズだけに,5年ぶりの続編発表に喜んでいるファンも多いだろう。まだまだ謎の多い「仁王3」について,キーマンであるTeam NINJAのゼネラルプロデューサーである安田文彦氏と,プロデューサーの柴田剛平氏に話を聞いた。

画像ギャラリー No.009のサムネイル画像 / [インタビュー]「仁王3」で目指すのは,サムライとニンジャの「転心」やオープンフィールドといった新しさと「仁王」らしさの両立

サムライとニンジャを「転心」して戦う,新たな「仁王」


4Gamer:
 よろしくお願いします。今日は待望の「仁王3」について,いろいろお話を聞ければと思います。

安田文彦氏(以下,安田氏):
 Team NINJAブランド長の安田です。これまでの「仁王」シリーズではディレクターやプロデューサーでしたが,今回はゼネラルプロデューサーとなります。

「仁王3」ゼネラルプロデューサー安田文彦氏
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柴田剛平氏(以下,柴田氏):
 「仁王3」のプロデューサーをしている,Team NINJAの柴田です。「仁王」「仁王2」ではプロジェクトマネージャー,「仁王2」のSteam版やComplete Editionではプロデューサーをしていました。

「仁王3」プロデューサー柴田剛平氏
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4Gamer:
 「仁王3」の企画が立ち上がったのはどれくらいの時期なのでしょう?

安田氏:
 「仁王2」のSteam版が出てすぐなので,2020年頃になります。

4Gamer:
 「STRANGER OF PARADISE FINAL FANTASY ORIGIN」や「Wo Long」,「Rise of the Ronin」と並行して開発が進んでいたのですね。

安田氏:
 これまでの「仁王」は弊社のシブサワ・コウが立案したものでしたが,「仁王3」は現場からボトムアップ的に「やりたい」という話が出てきました。Team NINJAとしてもいろいろなゲームを開発しており,メンバーが流動しつつ,一昨年辺りから本格的に動き始めました。ゲーム内容としては初期段階からブレることなく今回の体験版配信に至ることができましたね。

4Gamer:
 体験版をプレイしてみて,サムライとニンジャのスタイルをいつでも瞬時に切り替える「転心」やジャンプ,オープンフィールドといった多くの新機軸が取り入れられていて驚きました。
 まずは転心や敵との戦いについて聞かせてください。これまではサムライとニンジャがスキルツリー上での概念で,キャラクターは両方の要素を融合したものになっていました。その一方,「仁王3」では明確にスタイルを切り替えるものになっています。サムライの戦い方はどういったものになりますか?

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柴田氏:
 サムライは従来作と同様,地に足が付いた戦いができます。お馴染みのシステムである「残心」も続投していて,攻撃後にタイミング良く入力すると「気力」の回復が可能です。
 新しい要素として,サムライらしく防御と攻撃を重視する「捌き」「技研ぎ」が追加されました。捌きは,ギリギリで攻撃を防ぐと敵を仰け反らせ、気力の消費も抑えることができます。防御や捌き、または敵に攻撃をヒットさせると技研ぎゲージが蓄積されていき,最大値に達すると次に放つ武技の威力が強化されるんです。

4Gamer:
 これまでのシリーズに近い戦いができるのがサムライということなんですね。では,ニンジャはどうでしょう。

柴田氏:
 ニンジャは移動速度と機動性に優れています。大きな変化が忍術です。これまでの忍術は回数が有限で,チェックポイントの「社」に行くまで回復しませんでした。しかし「仁王3」では敵を攻撃することで忍術の回数が回復するので,戦いながらどんどん忍術を使っていけるんです。
 また,ニンジャは残心の代わりに「霞」という能力を使えます。攻撃後にタイミング良く入力すると分身を残して素早く移動できるというものです。また,ニンジャは背後から攻撃することで威力が増加します。つまり,残心による気力管理が苦手な方も,ニンジャであれば忍術でけん制しつつ,霞で敵を翻弄できるわけなんですね。
 そして転心には,敵が放つガード不能の「大技」をカウンターする能力もあります。サムライとニンジャを切り替えて攻め方を変えたり,いざというときの守りに使ったりできるわけです。

4Gamer:
 「仁王2」のカウンター技「特技」が1ボタンで使えるようになったようなものですね。サムライとニンジャには,敵に対する相性はあるのでしょうか?
 「Rise of the Ronin」では,相性の良い「流派」で戦った際は特殊防御の「石火」を成功させた際に敵をのけぞらせる時間が長くなるといった要素もありました。「仁王3」も同様なのでしょうか?

柴田氏:
 相性的なものは存在していますし,スタイルを切り替えることで有利になることもありますが,サムライでなければ倒せない,ニンジャでなければ倒せないというようにはなっていません。
 プレイヤーの中には「サムライのままで戦いたい」「ニンジャの姿のままがいい」という方もおられると思います。スキルの中には「転心のカウンターはできるけれど,スタイルは変わらない」というものも用意してあります。

4Gamer:
 転心の切り替えが目玉なのに,転心しないでいい選択肢も用意されているんですね。

安田氏:
 「切り替えて戦わなければならない」という風にはしたくなかったんです。短期的には反射神経,中期的には気力のマネジメント,長期的には構えや装備品など戦略の幅があるのが「仁王」シリーズの特徴です。これまでの「仁王」もいろいろな武器がありましたが,「この武器でなければクリアできない」という風にはしていませんでした。
 「仁王3」のスタイルも同様で,選択肢は用意するけれど,強制はしないので好きにプレイしていただけるようにはしたつもりです。体験版の配信後,プレイヤーたちが「サムライ派」と「ニンジャ派」に二分されるといいな,と思いますね。

4Gamer:
 転心すると武器や防具まで切り替わって,戦法や気力の管理まで変わってくるのが面白いですね。通常だと重装備のキャラクターと軽装備のキャラクターを作ったり,能力値を振りなおしたりしてプレイ感の違いを楽しみますが,「仁王3」だと1キャラクターでどちらの遊びもできる。

柴田氏:
 サムライは刀や槍,大太刀など,ニンジャは二刀,鎖鎌,手甲鉤などを使います。スキルツリー自体は「仁王2」と同様にサムライ,ニンジャ,それぞれの武器のものが用意されていて,戦いやアイテムで得たスキルポイントを自由に割り振る方式です。
 転心で変わるのはアクションだけではありません。製品版ではサムライとニンジャのそれぞれで異なった容姿にキャラクタークリエイトが可能です。言い換えれば,転心すると顔やボイスもスタイルチェンジできる。もちろん,過去作のようにコードを発行してキャラクタークリエイトのレシピを共有する機能も続投しますので,製品版を楽しみにしていてください。

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4Gamer:
 なるほど。「ニンジャの時はクールだけれど,サムライになると内なる獣が開放された荒々しい顔になる」みたいな脳内設定付キャラクタークリエイトも可能というわけですね。サムライが男性でニンジャは女性にするようなことはできるのでしょうか?

柴田氏:
 詳しくは今後の公開となりますがプレイヤーはあくまで同一人物であり、守護霊の力によって見た目が変化するという物語上の設定もあるので,そこまで変わることはできないようになっています。

4Gamer:
 転心といえば,複数ボタンの同時押しが当たり前になった中,1ボタンで行えるのも印象的でした。

柴田氏:
 1ボタンにすると操作はシンプルになりますが,そのボタンは切り替えに占有されることになります。これは重要な判断になりますが「仁王3」ではシンプルな操作でサムライとニンジャを切り替えられることが大事なので,現在の1ボタン操作としました。さらに,切り替えそれ自体にも意味を持たせたいということで,大技へのカウンターも同じボタンでできるようにしています。

4Gamer:
 ゲームの根幹に近いシステムだからこそ1ボタンにしたと。切り替えはかなり独特のシステムですが,導入のきっかけはどういったものだったのでしょう?

柴田氏:
 アクションの手触りを変えたいと思ったのが大きな理由です。「仁王」から「仁王2」で武器の種類も増えたので,続編を作るうえでどう手触りを変えていくかが課題となりました。
 ただ,新しい要素を取り入れるとしても,「仁王」シリーズはやはり和のゲームですから,和の部分を大切にしたかった。和の世界観で戦うものはサムライとニンジャですから,これを上手く活かしたかったんです。

4Gamer:
 転心のアイデアは企画のどの辺りで入ってきたのでしょうか?

柴田氏:
 サムライとニンジャの切り替えこそ「仁王3」の出発点でした。当初はサムライとニンジャを職業として選択するというアイデアがあったのは確かです。しかし,こうしたゲームは他にもありますし,選択式にしたからといってアクションとしての新しさが生まれるものではありません。
 我々はプレイの手触りはもちろん,見た瞬間に「今回は違う」というものにしたかったんです。

 この切り替え式であれば,戦いの中で「ニンジャで攻撃し,怯んだ敵にサムライでトドメを刺す」といった遊びを見せられる。この発案をした後にアクションチームが試行錯誤して,今の形にたどり着くことができたんです。

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安田氏:
 プレイヤーが切り替えたくなるよう,そして制約や負担にならないようにシステムを作っていくのも重要でした。ニンジャで忍術を使い切っても,サムライに切り替えて戦っている間にリチャージが進むようにしてあるのは,こうした工夫の一例です。
 同時に,切り替えないことにもメリットを作ってあります。サムライが持つ技研ぎのゲージはサムライスタイルで戦う方が早く貯まります。

4Gamer:
 転心には制限がなく,瞬時かつ連続で行えるのも印象的でした。クールタイムが必要だったような時期もあったのでしょうか?

安田氏:
 ありましたね。「いつでも自由に切り替えられるとありがたみがないよね」なんてことを言ってましたよ(笑)。ただ,切り替えること自体は別にありがたくないということに気付き,現在の形式になりました。

4Gamer:
 「職業を選択できたからといって,アクションの手触りが変わるわけではない」「切り替えること自体は別にありがたくない」という辺りに,Team NINJAの考え方が現れている気がします。
 Team NINJAにおけるアクションの手触りは,クラスを選択してプレイ感を変えるような中長期的なものではなく,1バトルという短い時間の中におけるプレイ感を指しています。
 サムライとニンジャでここまで明確に特性が違っているうえ,それぞれをアクションRPGとしてのビルドで育てられるとなると,ゲームバランスの調整がかなり大変そうです。

柴田氏:
 確かに大変ですね。ただ,これまでのシリーズでも個性的な武器のバランスを取ってきましたので,こうした部分のノウハウを活かして対応していきました。

安田氏:
 開発中もサムライが強い時期があったかと思えば,ニンジャの強い時期もあるといった感じでしたね。我々なりにバランスを煮詰めましたので,体験版ではどのように受け入れられるのかが楽しみです。

4Gamer:
 バフやデバフで大きな存在感を示した「陰陽術」はどうなるのでしょう?

柴田氏:
 もちろん「仁王3」にも登場し,サムライとニンジャのどちらでも使えます。これまでは妖怪を倒した際に「魂代(たましろ)」が出現し,これを手に入れることでその妖怪の「妖怪技」を使えました。「仁王3」は魂代から新たな陰陽術を得る形になっています。

4Gamer:
 妖怪技のコレクションや,オプションの良い魂代を求めてのトレハンも楽しかったですが,今回は魂代で陰陽術が手に入るんですね。

柴田氏:
 「仁王3」の陰陽術は,敵を遅くしたり,毒を与えたりする「札」と,妖怪を召喚して攻撃する「使役符」の2系列が存在します。そして,「使役符」を使用するためにはフィールドにいる「地獄憑き」という通常よりも強い妖怪を倒す必要があります。

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4Gamer:
 札と使役符は自由に切り替えられるのでしょうか?

柴田氏:
 社で選びなおせますが,装備した状態で札と使役符を切り替えることはできません。

4Gamer:
 妖怪を呼び出して攻撃すると聞くと「仁王2」の「妖怪技」が思い出されます。使役符と妖怪技にはどんな違いがあるのでしょう?

柴田氏:
 「仁王2」の主人公は妖怪とのハーフだったので,身体の一部が妖怪に変化して攻撃するものもありました。「仁王3」の主人公は人間ですので,あくまで妖怪を呼び出して攻撃させるものになります。

4Gamer:
 「仁王2」の「骸武者」の妖怪技が「主人公の左右に骸武者を呼び出して矢を射かけさせる」というものでしたが,これに近い感じでしょうか?

柴田氏:
 そうですね。もちろん,それぞれの妖怪の魂代から異なった使役符ができます。

4Gamer:
 妖怪を倒して魂代を手に入れると,陰陽術の札にできる。魂代を使役符に使うには,フィールドにいる地獄憑きを倒さなければならない。キャラクター強化とバトルがより緊密に結びついた感があります。
 シリーズの魅力の一つは,ビルドの多様性だと思います。本作でも多様なビルドは可能なのでしょうか?

安田氏:
 サムライとニンジャで異なるビルドをそれぞれ育成できることに加え,前作からオミットされた要素はほぼありません。装備品にはランダムでオプションが付与されるので,ハックアンドスラッシュ的な装備集めの楽しさも2倍です。
 これまでのシリーズが持っていた面白さが広がっているという意味で量はありますし,3作目なので相当に深いと思います。体験版もちょっとボリュームがあり過ぎるんじゃないかと危惧しているくらいですから(笑)。情報量が多いので,プレイを支えるUIも複雑にならないよう日々調整を続けている感じです。

4Gamer:
 確かに,1人のキャラクターで2ビルドを同時編成するというのは普通に遊ぶだけでも結構なボリュームですね。

安田氏:
 「仁王」のインタビュー(関連記事)では「一万通りの死に方と,一万通りのクリア手段を準備しています」というお話をさせていただきましたが,こうしたバリエーションの豊富さはシリーズで大事にしてきたところです。また「仁王2」は今もプレイされている方がたくさんおられます。そうした方々に「やれることが減っている」とは思われないようにしたい,とはかなり意識しています。

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4Gamer:
 3作目ともなると,シリーズらしさの定義が必要かと思います。Team NINJAにおける「仁王」らしさはどのように考えられているのでしょう?

柴田氏:
 「ミスした際に,理不尽さを感じない」ということでしょうね。「自分のせいではないのに,ミスをさせられた」と感じることがないよう,フィールド設計から操作のレスポンスまで気を付けて作っています。
 制作するうえでは敵を沢山出したり,奇襲を繰り返したりしたくなってきますが,乱発させずに工夫して配置することで,こうした難所でミスをしても「自分のせいなので,再チャレンジしたい」と感じていただけるようにしているわけです。

4Gamer:
 アクションの手触りについては,体験版の時点でTeam NINJAらしい心地よさを感じられました。

安田氏:
 Team NINJAはニンジャとサムライのゲームばかり作っていますから,得意ジャンルではありますし,慣れているところはあるのかもしれませんね(笑)。

柴田氏:
 いきなり「仁王3」のシステムは出てこないと思います。これまでシリーズを作り続けて培ってきたノウハウがあったうえでのものだとは思いますね。


「『仁王』がシームレスにつながった」高密度のオープンフィールド


4Gamer:
 新たにオープンフィールドを導入された理由はなんですか?

安田氏:
 「仁王」シリーズは攻略の幅が広いものの,ゲーム進行自体はリニアでした。そこにオープンフィールドの要素を加えることで,レベルを上げるにしてもいろいろな場所を探索するなど,フィールドが地続きとなった自由度を描きたかったんです。

4Gamer:
 これまでの「仁王」は進行がリニアであることを活かし,囮や視線誘導,奇襲など高い密度のマップでした。広い空間を自由に動き回るオープンフィールドと,「仁王」らしい密度は両立するのでしょうか?

安田氏:
 なぜ「オープンワールド」ではなく「オープンフィールド」と呼んでいるかというと,「仁王」は死にゲーであるからです。オープンフィールドの広がりと死にゲーとしての密度は相反するものではあります。

 オープンワールドのオープン感を表現するためにマップの密度を下げたとしたら,「仁王3」にはそぐわないものとなってしまう。「仁王3」として作るのであれば,プレイの密度や緻密さは絶対に必要です。
 「『仁王』がシームレスにつながっている」というプレイ感を出すために,マップの中に高難度エリアの「地獄」を配置するなど,スタッフたちもいろいろと苦労しています。オープンフィールドになっても敵はちゃんと強く,やりがいのあるバトルを楽しめますので,ご安心ください。

画像ギャラリー No.011のサムネイル画像 / [インタビュー]「仁王3」で目指すのは,サムライとニンジャの「転心」やオープンフィールドといった新しさと「仁王」らしさの両立

柴田氏:
 広さを求めたというよりは,探索が楽しめるフィールドであるということです。探索の自由度を上げるというコンセプトの元,「いわゆるオープンワールドにすることなく,死にゲーとしての密度を保つ」ことが最初の課題となりました。
 制作中は考え方がオープンワールドの方に行くこともありましたが,「『仁王』がシームレスにつながっている」ところを重視していったんです。ですから「仁王3」では,広いフィールドを探索すると死にゲーとしての密度を感じられたり,緊張感あるマップ構成になっている地獄が攻略の難所として立ちはだかる。

安田氏:
 実は「仁王2」の時点でオープンワールドにしたいという案は出ていたんです。ただ,当時は制作期間も,オープンワールド的なマップのノウハウもありませんでしたので,その時は断念しました。その後「Rise of the Ronin」の開発を経て,探索には普遍的な魅力があることを再確認しましたし,ここで蓄積したノウハウがあったからこそチャレンジできたという側面はあります。

4Gamer:
 高密度のフィールドという「仁王」の良さを受け継ぎつつ,フィールド探索という新しい遊びが加わっているということでしょうか。

柴田氏:
 そうですね。一度クリアしたエリアを再度プレイできるようなシステムも用意していますが,これは「仁王」のミッション制としての良さを継承するためのものです。もちろん,オープンフィールドでもマルチプレイは可能です。それぞれ別行動してもいいし,一緒にいてもいいというシステムを用意しています。ホストの行動に応じて要所で集合することも可能です。

4Gamer:
 マルチプレイが魅力で「仁王」を遊んでいた人も多いと思うので,それは嬉しいですね。

柴田氏:
 オープンフィールドをプレイされる際は,和のダークファンタジーで戦国を表現しているところにも注目していただければ嬉しいです。日本の昔の景色ではあるけれど,空には巨大な妖怪が浮いている……といった光景が展開しますので,ぜひ楽しんでください。

4Gamer:
 何度かお話が出ている地獄とはどういうエリアなのでしょう?

柴田氏:
 設定的には「強大な妖怪がフィールドを侵食した,妖力の高いエリア」であり,地獄が地上に顕現しており,妖怪が棲みついています。プレイヤーはこの地獄に入ってボスを倒すことで,エリアを浄化していきます。
 ゲーム的にはオープンフィールドの中に地獄があり,地獄をクリアすると先へ進めるというイメージです。地獄は密度の高いエリアになっていて,緊張感あるプレイを楽しんでいただけます。
 敵が強化されるのはもちろんのこと,地獄だけに存在するギミックが行く手を阻みますし,報酬として地獄の底でしかドロップしないアイテムを手に入れられます。ハイリスクハイリターンのエリアなんです。

4Gamer:
 プレイサイクルとしては,オープンフィールドと地獄を行き来するようなものになるのでしょうか。

柴田氏:
 そうなります。オープンフィールドを探索してキャラクターを強化して地獄に挑み,負けるようなら再びオープンフィールドの探索やバトルに勤しむ……という感じになります。これらを攻略する順番は自由です。探索で忍術など新たな攻略手段が手に入ることもありますので,探索することでもキャラクターが強くなっていくんです。

4Gamer:
 なるほど。これまでですと行き詰まったら「勝てるまで戦い続ける」「別のミッションに行く」という行動を取れましたが,「仁王3」ではここに「オープンフィールドを探索する」「探索して新たな装備やスキルを探す」といった選択肢が加わるのですね。オープンフィールドを探索するための乗り物があったりするのでしょうか?

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柴田氏:
 乗り物はないですが,ゲームを進めると「疾風駆け(はやてがけ)」という能力で高速ダッシュができるようになります。特定の守護霊を憑依させていないと使えないわけではなく,能力が手に入る感じですね。

4Gamer:
 疾風駆けを持たない体験版の状態でも,気力消費なしで結構早く走れましたが,さらにスピードが上がると。乗り物がないのはなぜでしょう?

柴田氏:
 守護霊そのものに騎乗できるというアイデアもあったんですが,乗り降りの際にキャラクターのアクションとプレイヤーの気持ちが途切れるところがあるためです。

4Gamer:
 ここにもアクション重視の姿勢が現れているわけですね。守護霊システムはどのようになっているのでしょう?

柴田氏:
 サムライ専用,ニンジャ専用の守護霊を憑依でき,転心の際に切り替わります。

4Gamer:
 2つの守護霊を「主」「副」として装備する「仁王2」とは違ったシステムなのですね。

柴田氏:
 そうです。そして,守護霊の強化にも地獄が関わります。地獄をクリアして「楔」を破壊すると霊力が強まり,守護霊が持つ第2の守護霊技も解放されるんです。これまで守護霊技は大技的な扱いでしたが,「仁王3」では回転率が上がり,連発とまではいきませんが,アクションに組み込んで使えるようになります。
 「仁王」のウィリアムは守護霊が見える者,「仁王2」の“秀”は半妖,そして「仁王3」の主人公は守護霊に高い親和性を持つ者としての差別化がされています。

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4Gamer:
 サムライとニンジャで装備だけでなく顔や守護霊まで変わるとなると,主人公がどのような人物であるのかが気になります。

柴田氏:
 ストーリー面については,今後改めて情報を公開していくことになりますので,ご注目いただければと思います。

4Gamer:
 分かりました。今回はどんな守護霊技があるのでしょう?

柴田氏:
 例えば「猫又」の場合,後方宙返りで攻撃しつつ電撃効果を与えます。サムライ専用の守護霊技には風属性で連続斬りする技があります。

4Gamer:
 猫又がボス「白虎」として戦った際に後方宙返りで攻撃する技がありましたよね。シリーズファンなら守護霊技でもニヤリとできそうです。「仁王2」では守護霊に「猛」「迅」「幻」の3タイプがあり,敵の大技にカウンターを取る際のタイミングも違いましたが,「仁王3」ではどうなるのでしょう?

柴田氏:
 守護霊のタイプはなくなりました。先ほどお話した通り,転心でもカウンターできますが,守護霊技を使ってもカウンター可能です。

4Gamer:
 プレイ感が変わってきそうですね。体験版の見どころを教えてください。

安田氏:
 オープンフィールドになったことで,より止め時が見つかりにくくなりました。これまではミッションが終わると一区切りでしたが,オープンフィールドは地続きで色んな舞台がありますので,没入感もアップしています。体験版のボリュームも多いので,楽しんでいただければ嬉しいです。

柴田氏:
 もし特定のボスに勝てなくても,フィールドを探索しているうちにレベルが上がったり,新しいスキルが見つかったりと,プレイの幅が広がっていますよ。

4Gamer:
 では最後にメッセージをお願いできますか?

柴田氏:
 シリーズ3作目として進化した新しい「仁王」を感じていただければ嬉しいです。ご意見はSNSからアンケートまですべて拝見していますので,ぜひお声をいただければと思います。

安田氏:
 「仁王2」から5年間お待たせしてしまいましたが,オープンフィールドやサムライとニンジャの転心など,大きく進化した作品になっています。今回の体験版はアクションとしての側面にフィーチャーしており,マルチプレイもできますので,ぜひプレイしてご意見をいただければ幸いです。

4Gamer:
 ありがとうございました。


 5年を経て発表された続編は,サムライとニンジャを切り替えつつオープンフィールドで戦うという,誰も予想できなかったものだった。新たなアイデアを大胆に取り入れ,濃密なバトルと探索する楽しさの両立を目指す「仁王3」,今後の情報公開も楽しみだ。
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