
プレイレポート
[プレイレポ]狼は誰だ? 疑心暗鬼が渦巻く「KILLER INN」を先行体験。脳筋でも考えすぎても命取りになる非対称型シューターを戦ってみた
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前述のとおり,本作は「マーダーミステリーアクションゲーム」と謳っているが,そのベースはあくまでもTPS(三人称視点シューター)だ。「推理ものは難しそう……」という人も心配はいらない。ウデにものを言わせる勝ち筋もちゃんと存在する。
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ちなみに筆者のシューター歴は,「スプラトゥーン」シリーズを初代から遊び続け,「CoD」「Halo」シリーズの対戦を少々嗜み,マーダーミステリーや人狼は数回遊んだことがある程度。どちらかといえば,「爽やかに見敵必殺」するのが好きな人間だ。
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「KILLER INN」公式サイト
多すぎる敵,見えない敵。狼vs羊の非対称バトル
「KILLER INN」の試合(CBTの場合)は最大24人,その内訳は狼側の8人,羊側の16人という非対称の構成でスタートする。狼側は羊を全滅させれば勝利だ。対する羊側も相手を全滅させる,またはマップの各地に配置されたガーディアンを破壊し,「黄金の鍵」を手に入れて港エリアを開放後,船の錨を上げてエリアを脱出することが目標となる。
もちろん,狼側はその動きを阻止しなくてはならない。ずっと正体を隠し続けていれば,羊には見破られないかもしれないが,それでは勝利を明け渡してしまうというわけだ。
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羊側は数こそ有利だが,誰が羊なのか,誰が狼なのかは一切分からない。しかも,誤って同じ羊の仲間を倒してしまうと「石化」し,ゲームから強制的に脱落となる。そのため,相手を攻撃する際には強い根拠や瞬時の判断が求められる。
また羊同士で協力しようにも,相手が狼である可能性が残っていると隙は見せにくい。疑心暗鬼が羊側の行動にブレーキをかける構造だ。
ただ,狼が「羊殺し」を行うと,必ず「髪の毛」や「衣服の切れ端」などの痕跡を残していく。これを集めたり,店で売買して揃えたりすると,狼の候補が次第に絞られてくる。従来のマーダーミステリーではプレイヤーが実際に推理しなくてはならないが,本作は証拠を集めて共有すれば,自動的に候補を挙げてくれる。
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一方,狼側はプレイヤー全員の素性を把握した状態でゲームを進められる。しかし,序盤は狼の数が少ないため,羊を仕留めきれずに取り逃がせば,相手から「狼としてマーキング」されてしまう。そうなれば羊たちが結託し,狼を倒そうと集中攻撃を仕掛けてくるだろう。ほかの狼も自分の正体を隠したければ,その反撃に加わって羊を演じなければ怪しまれる。
また,殺しの現場に残った証拠を隠滅して,発覚を遅らせることも大切だ。
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そのため,とくに狼側は相手をなるべく速やかに仕留める必要がある。ここでモノを言うのは,所持している武器やアップグレードの状況,そしてキャラクター自身のレベルなど。これらの要素はNPCからクエストを受注し,条件を達成することで,経験値や装備,ゴールドを入手して強化を図っていく。
さらに,証拠品の共有(または隠滅)もキャラクターの強化につながる。
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クエストの内容はアイテムの入手,シンプルなパズル,チェックポイントに移動するなど簡単なものが多い。とはいえ,遂行中はどうしても隙が大きくなり,状況の把握も疎かになりがちだ。少なからずリスキーではある。
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まずは狼側で血にまみれる
初プレイでは,筆者は狼側を担当することになった。もちろん,陣営はランダムで決まる。
最初の試合に選んだキャラクターは「絵本作家」。レベル2になれば,ほとんどのクエストが容易になり,レベル4ではNPCからのサービスを無料で受けられる。大器晩成型といったところか。
キャラクターはほかにも「ボクサー」「弁護士」「コスプレイヤー」など,さまざまな役職が用意されている。なお,実際のゲームではキャラクターの選択後に陣営が決まる。
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まずはクエストを進めながら装備を手に入れようとしたが,なかなか思うように武器が集まらない。なんとか「修理キット」を見つけたものの,周囲からは「ズドン!」「タタタタタッ」といった銃声が聞こえてくる。「これは早いうちに銃を手に入れなければ……」と考えながら,武器を探し回ったが……。
やっとの思いで見つけた武器は「バール」だった。いや,バールも物騒な武器だけどね。
しかし,このバールを活用する機会は意外にも早く訪れた。入り組んだ調理場を1人でふらふら動いている羊を発見。もしかして,チャンスじゃない?
慌てることなく,まずは周囲にほかの羊がいないことを確認。念には念を入れて,スタングレネードで動きを鈍らせる。
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そして,持っていたバールで二度三度と打擲(ちょうちゃく)。……ふうぅぅう,やっちまったぜ。
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ここで修理キットがあれば,死体が持っている壊れた武器を修理して使えることに気が付いた。こうして念願の銃,ショットガンを手に入れると,ほかの狼に追われて逃げてきた羊を「ズドン!」とヤるなど,快調(?)に宴を楽しんでいたのだが……。
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ふいに「HAMACHIさん,その返り血はなんですか?」とボイスチャットで話しかけられた。
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「あれ,このゲームって返り血を浴びるのか?」
そういえば,洗面台や風呂には「返り血を洗う」といったコマンドがあったな……。この間,おそらく約2秒。相手に向き直しながら,筆者は返事の代わりにショットガンを一発!
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もちろん,相手は羊だ。しかし,疑わしい相手に対してはツーマンセル以上であたるに決まっている。筆者が2発目を撃つ前に,あっさりと羊たちに撃ち負けてしまった。
息絶えてから思ったことだが,もしかしたら狼に襲われた羊も血まみれになるのかもしれない。「あっちで狼に襲われました」と答えていれば,この場はごまかせたのか? あるいは「ん,なんでしょう?(ズドン!)」などととぼけてから撃ったほうが盛り上がったかも……なんてのも後の祭りだ。
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羊としての疑心暗鬼,そして罠
続いて,「ボクサー」を選択して羊側をプレイした。ボクサーはレベル2になるとヘッドショットに耐性を得て,レベル4まで成長すれば素手のグラップルダメージが3倍になる。完全に近接戦闘志向のキャラクターだ。
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先ほどの試合では,せっかくレベル4まで上がったのに恩恵を生かせなかったので,今度は早々にレベルアップや武器入手の機会を増やすため,積極的にクエストを進めていく。
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そのうち,交戦中らしき2人の人影を見かけた。しかし,片方は隙を見せているのに,もう片方はほとんど攻撃していない……。両方とも狼なのだろうか。
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その後,1人が孤立した瞬間を狙って背後からグラップルを仕掛けると……何なんだこの画面は?
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こっちはまだ武器を持っていないため,ここは一時退却。「やはりクエストを進めて,引き続き武器を探すか……」なんてセーフゾーンで作戦を考えていたら,死角から毒矢を撃ち込まれる。やられた!
やはり「KILLER INN」は,あくまでもシューターだ。セーフゾーンも完全に安全ではなく,攻撃しても軽微なペナルティがあるだけらしい。クエストや証拠探しに集中していると,格好の標的になってしまう。
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なんとも素直すぎるプレイングで早々に脱落してしまったが,こんなことも起きるわけである。殺人現場に駆けつけたつもりが,自らが獲物として罠にかかるような……推理ものの登場人物になったような気分だった。
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このように,「KILLER INN」は試合中に考えなければならない要素がそこそこ多い。しかし,いちいち犯人を推理するというより,それぞれの陣営のセオリーを頭に入れて,瞬時の判断と高速思考を繰り返す。ある意味,シューターらしいプレイフィールに落ち着いていくような印象を受けた。
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人狼ゲームやマーダーミステリーの特徴である「会議」「協議」のようなフェーズは存在しないため,ジャンルとしてはTPSでありつつ,そこに「疑心暗鬼」のレイヤーがうまく乗っているような感覚である。
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狼側はプレイヤーの技量にものを言わせて,羊を狩り続けて勝利を目指すのも一興だろう。一方,羊側は中盤以降,陣営の人数が少なくなってきたら,疑わしい相手は即座に撃ち倒すといった“割り切ったプレイング”に切り替えれば逆転できるかもしれない。
こうした駆け引きと判断の速さが,「KILLER INN」の大きな魅力になりそうだ。
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7月26日より実施されるCBTに参加するプレイヤーにとって,今回のプレイレポートが何らかの手がかり,あるいは反面教師になってくれたら幸いだ。ぜひ自らの手と目と耳で,新奇なフィーリングを体験してほしい。
「KILLER INN」公式サイト
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