配信者になっていいねと投げ銭のために廃墟に飛び込み，心霊現象を中継しよう！　「HAUNTED STREAMER」プレイレポート［BitSummit］

　インディーゲームイベント「BitSummit the 13th Summer of Yokai」ではホラーゲームも多く出展されていたが，中でもユニークなのが「HAUNTED STREAMER」だ。プレイヤーは配信者となり，廃墟へと突入する。視聴者からのリクエストに応えて不謹慎な真似をすると，いいねと投げ銭がどんどん増えていくのだ。

「BitSummit the 13th Summer of Yokai」，Prank Makerブース

いいねと投げ銭を求めて廃墟に飛び込み，心霊現象を配信しよう！

　「HAUNTED STREAMER」はPC用のホラーゲームで，公式サイトによれば2026年夏の発売を目指して開発が進められているという。
　本作の主人公は，馬の仮面を被った青年だ。怠けて暮らし，ついには親からの仕送りも打ち切られてしまった彼は，一攫千金を狙って配信者になる。一口に配信者といってもその活動はさまざまだが，主人公のターゲットはいわくつきの廃墟の探索。スマホ片手に突撃し，探検の様子を視聴者にお届けするのである。



　廃墟にはボロボロになった家具やごみが積み上がり，見ているだけでも不吉なものが感じられる。あちこち調べていくと，画面右には視聴者からのコメントが並び，登録者数が増えていく。怖いけれど先へ進んで視聴者から褒めてほしい，登録者数も増やしたい……と，恐怖と欲望が入り混じったなんともいえない気持ちになってくる。
　新たな部屋を見つけ，冷蔵庫のドアを開けて中身を暴くといった探索は，ホラーゲームが苦手な筆者にとっては腰が引けるような行為なのだが，視聴者から評価が得られるとなれば進んでやりたくなってくるのだから不思議なものだ。


　本作らしいフィーチャーの一つが，恐ろしいポイントを見つけると高額投げ銭とともに飛んでくるリクエストだ。仏壇を見れば「（鈴で）ビートを刻んで」，明らかに死体が入った袋では「蹴ってみて」と，いろいろな意味で危険なものばかり。普通のホラーゲームで選択肢として出ても絶対に選ばないような行動なのだが，本作ではこれが撮れ高になる。
　ビートで仏壇を愚弄し，死者の眠りを蹴りで妨げると，登録者数が一気に増え，投げ銭もたくさん飛び込んでくるのだからたまらない。もっとヤバい場所を探したい，もっと不謹慎な行為をしたいという気分になってくるのだ。

危険な場所を見つけると，画面左下に高額投げ銭とリクエストが飛んでくる。高額とはいえ，新米配信者であるためか1000円やら5000円であるあたりに哀愁が漂う

　そして，廃墟探索は危険と隣り合わせだ。半透明の影や，壁から生える手といった心霊現象を目撃すると「正気度」が減っていき，ゼロになると生還できなくなってしまう。それでもコメントがたくさん流れているので人とのつながりを感じられるのだが，強力な霊に遭遇するとコメント欄も文字化けし，ホラーゲームとしての側面が一気に強くなる。主人公には特殊な能力も銃器もないため，ただただ逃げ回らなければならないのだ。


　ホラーゲームに配信という文化が加わることにより，恐怖と欲望を同時に煽られるという独特の体験が楽しめる本作。主人公も思慮は浅いが勢いと行動力だけは一人前という人物像に設定されており，酷い目に遭わされても自業自得ということでどこかコミカルさが漂う。
　身体を張って恐ろしい廃墟を探索し，不謹慎な行為をして投げ銭といいねに溺れるも，新米配信者の悲しさかもうけは非常に少ないあたりに哀愁があり，キャラクターとしても魅力的に感じられる。

　なお，本作は体験版の配信が予定されているほか，製品版では投げ銭で稼いだお金を使ってマスクをはじめとしたさまざまなアイテムを買うショップ機能が追加されるという。稼いだお金に使い道が生まれることで，プレイが面白くなるのはもちろんのこと，稼ぎをやりくりする新米配信者としてのやるせなさも体感できそうだ。

「HAUNTED STREAMER」Steamストアページ

「HAUNTED STREAMER」公式サイト