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感情は自分の中だけにとどまらない。「MONOWAVE」は,人とつながるうえで大切なことをそっと思い出させてくれるようなパズルアクション[BitSummit]
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開発は,韓国・西江大学の学生を中心に結成されたstudio BBB。「学生チームで終わらず,本気でゲームを作っていく」という思いから立ち上がった,本格的なインディーゲームスタジオの第1作は,韓国PlayX4や台北ゲームショウなど,アジア各地のイベントで高い評価を得ている。
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本作の舞台は,感情が糸で結ばれている不思議な世界。そこでは「幸福」「悲しみ」「怒り」「不安」の4つの感情の精霊たちが調和を保って暮らしていたが,ある日,突然の厄災によって守護神が姿を消し,精霊たちは孤立していく。やがて精霊たちはそれぞれが持つ感情に取り込まれてしまい,暴走を始めてしまう。
プレイヤーが操作するのは,そんな世界の片隅で生まれた存在「MONO」。新たな守護神となるMONOには,特別な力「共感」が備わっていた。MONOは暴走した精霊たちに共感の歌を届けることで,この世界にやさしさと調和を取り戻していく。
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ゲームはジャンプアクションにパズル要素が組み合わさった構成で,随所に4つの感情の力で道を切り開く仕掛けが散りばめられている。
ステージのあちこちには「感情の源泉」と呼ばれるポイントがあり,そこに触れることでMONOの感情が変化する。
たとえば「幸福」なら,ルンルン気分といった感じでジャンプ力が上がる。「悲しみ」なら,なんか寂しくて身体も起こせないようなときのようにふにゃふにゃになってせまい隙間を通れる。「怒り」ならその力に任せて壁を蹴って登ったり,「不安」なら不安からくる慎重さ(?)かトゲの上すらソッと歩いて進めたりと,それぞれの感情に意味と役割がある。どれも「役に立たない感情なんてない」と語りかけてくるかのようだ。
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それでも,MONOだけでは解けないギミックもある。そんなときはMONOの感情を歌にして「トモダチ」に伝えよう。
トモダチは歌の感情に反応して行動してくれて,それまで行けなかった場所に道ができるなど,世界の変化を生んでくれる。この“共感”による間接的な攻略もまた,本作らしい優しいゲーム性だ。
グラフィックスもネオンカラーの一筆書き風で,豊かな表情やしぐさを見せてぴょこぴょこ動くMONOは,見ているだけでどこかあたたかい気持ちになれる。1本線の感じや基本アクション,かわいくてコミカルな動きは,第一印象で「毛糸のカービィの影響を受けているのかな」と感じた。
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「MONOWAVE」は,独特のセンスと感性を丁寧に詰め込んだ作品だ。すべての感情には意味があり,他者とどう関わるかで世界が変わる。そんな当たり前だけど大切なことを,心にそっと手渡ししてくれる。
感情は自分の中だけにとどまらず,誰かに伝わったり,誰かの影響を受けたりして揺れ動くもの。今の時代に,こうして他者との関係をそっと見つめ直せるゲームがあることは,大事で,とてもありがたく感じる。リリースは2025年末とのことなので,今後の展開にも注目していきたい。
「BitSummit」公式サイト
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