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[インタビュー]ロボットに過電流を加えてお仕置きする「BatteryNote」は,キャラを知りたいピュアな好奇心を刺激される[BitSummit]
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印刷2025/07/24 10:50

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[インタビュー]ロボットに過電流を加えてお仕置きする「BatteryNote」は,キャラを知りたいピュアな好奇心を刺激される[BitSummit]

 2025年7月18日から20日まで,京都市勧業館みやこめっせで開催されたインディーゲームイベント「BitSummit the 13th」の会場に,ロボットたちを充電して「お仕置き」するADV「BatteryNote」が出展されていた。

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 捨てられていたロボットに対し,充電するか,しないか,ということを各ラウンドで繰り返し,反応を見るゲームである。ロボットは壊れかけなので,ラウンド経過で寿命が来てしまう。
 それまでの間に,安全な範囲で充電して会話をしたり,こちらが過電流を加えて「お仕置き」をしたりして楽しめる。

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 本作を手がける個人ゲーム開発者の72studio(ナナニイスタジオ)氏は,人外キャラや人外バディなど,自分の「癖」(へき)を理解し,それをゲームの魅力にしている。
 「人外の人」というイメージが高い同氏に,インタビューを実施した。

72studio氏(room6ブースにて)
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本の中身はゲーム紹介文
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 なお,同氏は,2024年11月30日に開催されたインディーゲーム開発者向けカンファレンス「Indie Developers Conference 2024」のパネルディスカッション「もっと癖なゲームを作りませんか?」にも登壇していた。そこで語られた癖については,セッションレポートを参考にしてほしい。

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 2024年11月30日,インディー開発者向けのカンファレンス「Indie Developers Conference 2024」にて,「もっと癖(ヘキ)なゲームを作りませんか?」というパネルディスカッションが実施された。

[2024/12/02 20:56]


ピュアな好奇心を刺激される「お仕置き」


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。まずはBatteryNoteについて,開発のきっかけを教えてください。

72studio氏:
 東京ゲームダンジョンの会場で,警備ロボットみたいなのが巡回していて。かわいいなという印象と同時に,「いじめる」というのが瞬間的にひらめきました。
 別に加虐心から来るものではなく,思いつきのフラッシュアイデアで,面白いかなと。

 そこで,簡単にGoogleスライドでゲームのコンセプトを紹介する動画を作って,SNSで投稿したんですが,意外とリアクションをもらえて。
 もしかして,みんな同じ欲求があるのではないかと思いました。


 もともと「DRINKRIME」という,ボリュームのある正統派なアドベンチャーゲームを作っていたのですが,1か月くらいで息抜きで作ろうかなって思ってました。

 作っている間に,でもやっぱりキャラが必要だよねって,デザインをしました。
 名前を公募したり,タイトルを公募したり。キャラクター設定とかを固めていくうちに,愛着がわいてきちゃいました。
 それで,少しちゃんと作ろうかなということで,作り込みをしていたら,あれよあれよと制作期間が延びた形です。


 そこで,「room6さんすみません。ちょっとこれを作っていたら戻れなくなって」と素直に話していたら,BatteryNoteもパブリッシングしてくれることになった流れです。

4Gamer:
 実際プレイしてみて,お仕置きってかわいそうなんですが,少しずつ情報が明かされたり,反応が違ったりして,いろいろ試してみたくなりました。

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72studio氏:
 やっぱり,システム上,電撃流さないと話してくれないし,見られないリアクションを用意しているので,自然と好奇心が刺激されるかもですね。
 ただ,実際テストプレイしてもらったときに,どうしてもお仕置きできない,みたいな人もいましたね。開発中のビルドを遊んでもらったときは,お仕置きをし続けた先だけでなく,愛で続けた先についても,楽しんでもらえています。

4Gamer:
 体験版で触れられるのは,ラウンド5までですが,これは全体のどれくらいのボリュームなのでしょうか。

72studio氏:
 全体の3分の1か,4分の1くらいですね。キャラクターを掘り下げて,寿命がくるか,壊しきるところまでいけるので,もうちょっとボリュームがあります。

4Gamer:
 プレイヤーがロボットを壊すように意識的な誘導はされていますか。

72studio氏:
 実際,最初のほうは,「なんで壊さなきゃいけないの?」「必然性がないよね」という話がありました。
 もともとは,いたずらに壊す,みたいなコンセプトだったんですが,やっぱりこのロボットたちは,犯罪を犯しているので罰する,いうなれば,死刑囚に対する電気椅子みたいなものです。

画像ギャラリー No.004のサムネイル画像 / [インタビュー]ロボットに過電流を加えてお仕置きする「BatteryNote」は,キャラを知りたいピュアな好奇心を刺激される[BitSummit]

 いずれは誰かが罰することになるだろう,という運命を理由にもってきて,罪悪感をなくすみたいなことはあとから追加しました。
 誘導というよりは,理由付けだったり,必然性だったりを追加して,心は別に痛むには痛むんだけど,でもしょうがないよね,という大義名分がある状態にはなっています。

4Gamer:
 大義名分があっても,人間だったらグロテスクになりますが,ロボットだからこそもありそうですね。

72studio氏:
 はい。あとは,着想を得たものの1つなんですけど,おもちゃに過電流を流して壊す,という動画がYouTubeとかに結構公開されています。
 結構カジュアルにやっているんですが,シンバルを叩くサルのおもちゃなんかは,あれに過電流を流すと,すごい速度でシンバルを叩いて,最終的に煙を出して動かなくなっちゃうんです。

 ピュアな好奇心のような,実際の生物に対してはやれないことを追体験できたら面白いかも,というのもベースにあります。
 ちょっとした背徳感もありますけど,それでキャラクターを深く知ることができれば,面白い体験になりますね。

 最初は,単に面白そう,という程度で,ここまで深くは考えてはいなかったんですけどね(笑)。

4Gamer:
 登場する3キャラクターのバランス感は,意識されていますか。

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72studio氏:
 キャラクターは,ほぼ同時に生まれました。3キャラの落書きを作って,これどうですか,と公開した形です。それぞれモチーフとしては,結構ありふれています。

充電可能なロボット案として紹介されたもの(該当ポスト
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 戦闘ロボットについては,明確にパロディ先のキャラがいるのですが,ちょっとネタバレになっちゃうので,伏せておきます。ただ,戦士系のロボットだと,女騎士の「くっ殺せ……」みたいな,抗う部分が出て面白くなるかなと。

 あと,ウェイターロボについては,やんちゃでちょっと欠陥のあるロボットをテーマに作りました。生意気で,子供じみた相手に,ちょっとお仕置きをするのも面白いかなと。
 ウェイターにしたのは,最近レストランに配膳ロボットがよくいるので,馴染み深いかなという理由です。

 それで,セキュリティロボに関してもキャラクターのモチーフがいます。そのキャラは,お仕置きしがいがあるぞ,という感じで。3キャラとも自分の趣味で決まった感じです。


初めてプレイした人のゲーム体験が薄味なものにならないように


4Gamer:
 エンディングの分岐みたいなものは,どれくらい用意されていますか。

72studio氏:
 細かい分岐を含めて,エンディングは8個くらいあります。主人公がどういう行動をしたかによって,プレイヤーが望んだ結果になったり,ならなかったり。
 詳しいことは言えないのですが,主人公がそもそもなぜ記憶を失っているのか,なぜ今のシチュエーションになっているか,という謎も明らかになります。

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4Gamer:
 体験版では,充電をする,しないを交互に繰り返すと,途中でストッパーが入って,充電を促されますが,これは体験版用の仕様でしょうか。

72studio氏:
 いえ,そこは製品版でもストッパーが入ります。選択次第でいろいろとリアクションを楽しめるけど,分岐としてはシンプルにしたいからですね。

4Gamer:
 エンディングにたどり着くまでの道のりが豊富ということですか。

72studio氏:
 そんな感じです。総当たり戦で,消化試合みたいなことにはならないようにしています。

 あとエンディング自体も,多くしすぎると,どうしても薄味なエンディングができてしまって。
 ゲームを作る側の人たちにテストプレイしてもらって,いろいろ意見を出してもらったときに,ゲームを初めてプレイした人がその薄味なエンディングにたどり着いてしまうと,その人のプレイ体験が良くないもので終わっちゃうことに気づきました。

 最初に一番おいしいものを食べてもらえるようにしたらどうか,というアドバイスが印象に残っています。


作りたい題材は無限にある。イラストも音楽もシナリオも自分で作り続けていきたい


4Gamer:
 そういえば,システム的な話になるのですが,BitSummitで公開された最新ビルドは,どのようなアップデートが行われていますか。

72studio氏:
 UI面で,プレイヤーの迷いを減らす処理を加えた形です。時間経過を時計で表していたのですが,それをラウンドに切り替えました。

 もともとは10分もしくは10時間と解釈できるようなタイマーが会話の残り時間として存在している,という風にしていたのですが,だんだんそのゲームの終わりとリンクしなくなったので。本当は時間経過で終わり,という表現にしたかったのですが,ゲームの内容の変化に合わせて,ラウンドの経過で表すことにしました。

 実際プレイしてみて,とくに支障はなかったので,そのまま採用しています。余分な要素を消したり,削ったりして,遊びやすさを改善しました。

4Gamer:
 もともと画面は結構シンプルで,ゲームボーイ風のビジュアルですよね。DRINKRIMEも同じ雰囲気のビジュアルですが,このビジュアルにしている理由とかはありますか。

72studio氏:
 単純にピクセルアートが大好きですっていうのがあります。僕自身,子供のころ,結構初代のポケモンとかずっとやってた人間なので,この解像度のグラフィックスが一番,ドット絵がきれいに映るよなと。

 色数もちょっと少なくて。実際,今も色数は4色しか使っていないんですけど,逆に迷いがなくなって,自分の好きなスタイルだし,制作スピードも出せるので,このビジュアルになっています。

4Gamer:
 制作スピードということで,現在DRINKRIMEと並行して作られていると思うのですが,BatteryNoteの開発の進捗はいかがでしょうか。

72studio氏:
 BatteryNoteは最終調整くらいまで進んでいますね。2025年内には,ぜひ。

4Gamer:
 そういえば,ちらっと見かけたのですが,新作も開発されているようで。

■新作短編カードバトル「ハズカシメサイア」
 東京ゲームダンジョン9(開催日:2025年8月3日)で展示予定(該当ポスト


72studio氏:
 あー,大丈夫です。ちょっと膨らみかけましたが,しっかりと区切りをつけて,開発しています。
 ただ,手札を増やしておきたい意図もあります。土台となるシステムを作ったあとだと,プログラム的な発展がないので。技術力を高めたくて,別ジャンルのゲームにも挑戦している形です。

 作りたい題材は本当に無限にあります。早く完成させて,次を作りたいという気持ちです。
 今は普通に会社員として働きながら,空き時間で制作を進めているので,もし会社を辞めていいほどゲームが売れたら,専業でいっぱい作ってみたい夢はありますね。

4Gamer:
 本業があるなか,ゲームを制作していく原動力みたいなものは何でしょうか。

72studio氏:
 やっぱりキャラクター愛ですね。もともとゲームは作りたいと思っていたんですが,続かなくて。
 そこでキャラクター主体でストーリーを作ったり,キャラクターを掘り下げたりしていくと,どんどんこのキャラクターのことを描きたいし,知ってもらいたいという欲が出てきました。

 まるで自分の子供を育てている感じです。そういう愛を持ってやれているのが,制作の原動力につながっています。

4Gamer:
 イラストや音楽,シナリオ,プログラムなど,ほぼ1人で制作されていますが,いろいろなものを作っていくために,ディレクターとして活動しよう,という欲求はありますか。

 BatteryNoteではロゴ以外を72studio氏自身で担当している。

ロゴ発表時のポストより
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 DRINKRIMEについても,基本的には自身で制作しており,キャラクターデザインは一部公募している。

当時のキャラクター紹介ポストより
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72studio氏:
 プレイヤーで居続けたいというか,自分で表現したいものがあって,それを自分でずっと書き続けていたいなと思っています。
 その欲求が強いので,プロデューサーやディレクターに回ろうという気はなく,体力の続く限りは,自分で作り続けていきたいですね。

4Gamer:
 本日は,ありがとうございました!
――収録日:2025年7月18日

「BitSummit」公式サイト

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