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深海の狭い潜水球を舞台にしたデスゲームホラー「BATHYSPHERE」。ソナーで相手の位置をじわじわと追い詰める戦略を楽しめる[BIC2025]
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プレイを開始すると,暗い潜水球の中で目覚める。狭く,プレイヤーは[W/A/S/D]キーで前後左右に視点を動かすことはできるが,移動はできない。
視点を動かしていくと,何やらマニュアルのようなものを拾う。このゲームのコアとなる死のゲームに関する説明のようだ。試遊版は韓国語のみの対応だったため,詳しい部分は通訳に翻訳してもらいながら進めた。
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このゲームのコアとなるのは,グリッド状に示された海域のどこかにいる相手をソナーで探し出し,位置を特定したら攻撃し,撃破するという戦略ゲームだ。
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グリッドは5×5の合計25マス。その周囲を囲う形で,1から20のボタンが配置されている。自分のターンになると,好きなボタンを選択し,赤いボタンを押してソナーを発射。ソナーは,障害物によって向きを変えていき,最終的に1から20のどこかを通過する。
そして,最終的に通過した数字と,障害物によって跳ね返った回数が表示される仕組みだ。
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例をあげて説明すると,20からソナーを発射して,最終的に6を通過したとする。このとき反射回数が0であれば,20から6までは障害物がなく,直線的にソナーが進んだということが分かる。もちろん6からソナーを発射しても,20に反射回数0で到達する。
では状況を変えて,20から3にソナーが進んだとする。ここで跳ね返り回数がもし1であれば,20から6のラインに障害物が1つあることに加え,その障害物が20から発射されたソナーを3に向かうように反射させていることが確定する。
・20から発射して6を通過。反射回数0の場合
20 →→→→→ 6
・20から発射して3を通過。反射回数1の場合
3
↑
20 →→/・・ 6
※「/」が障害物のイメージ。ソナー「→」が途中で障害物にあたって曲がっている
各マスにあるバツ印の溝は障害物があるかもしれない場所だ。ソナーの結果を見ながら,この溝に棒を仮置きしていく。
ソナーを発射せずとも,数字ボタンを押しているあいだは光の線が出て,仮置きした状態の結果を確認できる。仮置きの時点で反射回数や最終通過位置が異なると,仮置き自体が間違っているのかもしれない。
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障害物の形にはパターンがあり,試遊では,2つの棒を山のように並べた形が2つ,4つの棒をひし形にしたものが2つと決まっていた。ソナーを発射した回数が増えていくと,消去法的に障害物の位置がロジカルに推測できるようになる仕組みだ。
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障害物は斜めが基本なので,左右からのソナーは上下に,上下からのソナーは左右に反射される。しかしながら,潜水球は,ソナーをまっすぐに反射する。ソナーを打って,発射地点に戻ってきたとき,反射回数が1ならば,そのソナーを発射した1列のどこかに相手の潜水球がいるというのが判明するのだ。
・20から発射して20に戻った。反射回数1の場合
20 →→●・・ 6
※「●」は敵の潜水球のイメージ。これはソナーをまっすぐ反射するので,下記のパターンのどれかが確定し,20から6までの列に敵がいることが分かる仕組みだ。
20 ●・・・・ 6
20 ←●・・・ 6
20 ←←●・・ 6
20 ←←←●・ 6
20 ←←←←● 6
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相手(NPC)のことを一方的に探すゲームではない。相手も同じようにこちらを探している。それぞれソナーは1回ずつターン制で発射するので,相手に先に攻撃されるかもしれない,というヒリつきを楽しめる。
自分のターンでじっくり考えるのも自由だが,ライフラインである酸素はリアルタイムで減っていくし,ソナーを打つためのバッテリーにも制限がある。
敵に倒されると最初からリスタートとなる。敵を倒せば,報酬として酸素ボンベやバッテリーに加え,アイテムがもらえる。指定した1列に潜水球があるかどうか判定するものや,相手のソナーの結果にノイズを入れるものなどがある。
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ソナーで得た情報を組み合わせて,敵の位置を確定させていくのは,パズルのようで楽しかった。クラシックなボードゲームのようなプレイ感だが,ホラーレトロな雰囲気も相まって臨場感がすごい。
敵が攻撃を開始したタイミングで画面がアラートで赤くなるのだが,ごくまれに敵が攻撃を外すことがあるらしく。たまたま試遊でそのパターンを引き,絶体絶命のピンチを切り抜けたというシーンは,かなり印象的だった。
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本作を手掛けるデベロッパ・base0のディレクターである민 지산(ミン・ジサン)氏に,話を聞くと,今回のデモはあくまで試遊用に短時間でルールを理解できるように,ストーリーやホラー要素を削っているそうだ。
本来は相手がこちらの位置をどこまで推理できているのか,というのも確認する方法があるらしい。
ホラーといっても急に驚かせるようなジャンプスケアはなく,窓から見える深海の不気味さや,敵のソナーがぶつかったときの不気味な音など,じわじわとした恐怖感を味わえるそうだ。
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試遊では,敵を探す戦略パートがメインのゲームなんだという印象であったが,実際はストーリーが主軸となるそうだ。ストーリーを追うことで,なぜ主人公がこの場所で目覚め,戦っているのかが判明していくという。
プレイヤーは敵に倒されると,ハブ的な空間で目覚める。
死んでは目覚め,再び戦いに挑む。勝利を繰り返し,さらに深く潜っていくのが目標だが,真なる目標は,死のループを断ち切ることだそうだ。なぜ戦っているのか,真実につながるヒントをループの中で集めていく。
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本作のインスピレーション元となっているのは,「海戦ゲーム」(バトルシップ)というボードゲームだ。ミン氏が10代のころに,海戦ゲームをベースにした自作ゲームを遊んでいたらしい。
それをベースにしつつ,戦艦ではなく,潜水球を採用し,ソナーで情報を集めていき,敵の位置を推理して追い詰める要素を入れ,戦略性を高めている。
開発期間は約1年程度。チームはもともと大学生や大学院生たちの集まりで,企画2人,開発2人,アート2人,サウンド1人という7人だ。ミン氏がゲーム開発をするきっかけになったのは,徴兵で軍隊にいたころに出会った後輩がインディーゲーム開発者で,やってみたら,と勧められたかららしい。
本作はスタジオの2作目で,デビュー作は「HYNPYTOL」(ヒンピトル)というゲームボーイ風のビジュアルをしたパズルアクションだ。免疫機構の1つであるキラーT細胞となり,崩壊しかけた免疫系を救う旅に出るというもので,日本語にも対応している。
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2作で雰囲気がまったく異なるのは,ピクセルアートが好きだったというアート担当が就職でチームを去り,新しく加入したアート担当がホラーな作風を得意としていたからだそうだ。ミン氏は,チームが得意とするものを生かす形で企画を動かしていくそうで,今回はホラーになったという。
リリース時期は2026年上半期を予定。日本語にも対応予定だ。シングルプレイのほか,追加コンテンツとしてマルチプレイのリリースも予定している。
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