スキルを自由に改造して最強を作り上げていく「OVIS LOOP」（ほぼ日 インディーPick Up！）

　本日は，韓国のLIFUELが手掛ける「OVIS LOOP」を紹介しよう。本作は，機械仕掛けの狼が支配する世界を舞台にした2Dアクションゲームだ。プレイヤーは戦闘用ロボットである羊「オメガ」を操作し，絶望的な世界の深淵を目指してひたすら進んでいく。


　このゲームの一番の面白さは，拾ったスキルを徹底的にいじくり回せる「コンボクラフティング」にある。道中で手に入るスキルにはソケットが開いていて，そこに強化パーツをはめ込むことで性能がガラリと変わる。

　たとえば「ダッシュ攻撃」のソケットに「爆発」のパーツを入れれば，突進と同時に周囲を吹き飛ばせるし，毒や氷の属性を乗せることも自由自在だ。単に数字を増やす強化ではない。技の仕組みそのものを書き換え，自分だけの必殺技を組み立てる遊びがここにある。


　そして戦闘のテンポは非常に速い。ジャンプやダッシュの反応は鋭く，指先の動きがそのまま画面に反映される気持ちよさがある。
　道中は枝分かれしたルートから行き先を選ぶ形式で，自分の残り体力と相談しながら，「危険を冒して強い敵に挑む」か，「安全にショップへ逃げる」かを選ばなくてはならない。力尽きれば拠点に戻されるが，持ち帰った資源で体を鍛え直し，何度でも戦場へ舞い戻ることになる。



　スキルの設定画面で「ある技が終わったら，次の技を自動で出す」という連携を組めるのが面白い。これを活用すれば，ボタンを連打するだけで画面中の敵が消し飛ぶような，ズルに近いコンボも作れてしまう。開発者が用意した正解を探すのではなく，自分なりの「壊れ技」を発明する楽しさが詰まっている。



　オメガが破壊されて拠点に戻るたび，壊れていた記憶データが少しずつ復元されていく。なぜ羊が狼を狩る兵器になったのか。オメガとは何者なのか。何度も挑み，何度も死ぬことで，少しずつ物語の全体像が見えてくる。アクションを繰り返す作業が，そのままこの世界の謎を解く鍵になっているため，失敗しても「もう一回」と挑む意欲が湧いてくる。



　「羊が狼に勝つ」という絵本のような設定だが，中身は血と鉄錆にまみれている。支配者の狼たちは，羊をただの食料ではなく，実験の部品や資源として扱っているのだ。そんな胸くその悪い世界だからこそ，か弱いとされている羊が，SF兵器を振り回して狼たちを鉄クズに変える瞬間に，強烈なスカッとする感覚を味わえる。かわいいドット絵と，やっていることの凶悪さのギャップが癖になる。

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　動かしているだけで気持ちいいアクションと，技を自由に組み合わせる「改造」の遊びが見事に噛み合っている。難しいアクションで腕試しをしたい人はもちろん，メニュー画面でじっくりと最強の組み合わせを考えるのが好きな人にも強くすすめたい。早期アクセスで進化を続けるこの復讐劇に，ぜひ参加してみてほしい。