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印刷2025/12/20 11:00

レビュー

SwitchもPCも遊ぶなら,フル対応のゲームパッドGuliKit「TT PRO Controller」「TT MAX Controller」はどうだろう? カスタム性も高く,お手頃価格だ

 東京ゲームショウ2025でGuliKitが展示していた,PlayStationレイアウトゲームパッド「TT PRO Controller」「TT MAX Controller」の実機が届いたのでレポートをお送りする。

GuliKit「TT PRO Controller」(定価1万699円),「TT MAX Controller」(定価1万2399円)。本体の仕様は共通で,付属品に差がある(本文参照)。発売時期は2025年1月中旬を予定している
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 ゲームパッド用交換用パーツで知られるGulikitは,TGS2025のブースで,国内発売したばかりゲームパッド「ES/ES PRO E-Sports Controller」と,2025年10月発売予定の「TT PRO/TT MAX Controller」を披露していた。Bluetooth接続でも低遅延の,独自技術を採用するのが特徴だ。

[2025/09/28 02:33]

 GuliKitは,ゲームパッドの交換用やカスタム用のホールエフェクトスティックやトンネル磁気抵抗効果(TMR)スティックなども手がけるメーカーで,ゲームパッドも多く展開している。直近ではセガサターン白のゲームパッド風デザインのBluetoothゲームパッド「Elves 2 Pro」を発売している。

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 2025年10月30日,ゲートは,レトロ調デザインを採用したGulikitのワイヤレス&ワイヤードゲームパッド「Elves 2 Pro」を,11月6日に発売すると発表した。セガサターン白のゲームパッドを彷彿とさせるデザインが魅力の製品だ。税込想定売価は7690円である。

[2025/10/30 12:06]

 「TT PRO Controller」「TT MAX Controller」は背面パドルを備え,トリガーボタンはアナログとデジタルの切り替えに対応,アナログスティックはテンション調整(3回転で720度)に対応……と,近年増えているeスポーツ寄りのゲームパッドだ。なお,6軸ジャイロも搭載している。

パッケージ
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カラーバリエーションはグレーとブラック
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 また,対応するプラットフォームは幅広く,PCとMac,Switch&Switch 2,iPhone&iPadやAndroid端末となっており,なかでもSwitch&Switch 2はスリープ解除に対応する点が地味ながら大きなポイント。
 そうなると価格帯が気になるところだが,税込み1万円台前半を予定しているため,比較的検討しやすい価格帯だといえる。

 では,詳しく見ていこう。

 まず,「TT PRO Controller」「TT MAX Controller」の違いから。ゲームパッド本体のハードウェアスペック的な違いはなく,D-Padの4方向/8方向切り替えなどの機能と付属品に違いがあり,「TT MAX Controller」がより多機能なモデルだ。
 後述しているが,スティックの高さを変更するためのスティックキャップキットは「TT MAX Controller」のみに付属する。左スティックの操作クセによっては,プレイに支障が生じる可能性が高いため,筆者としては「TT MAX Controller」をおすすめしたい。

「TT MAX Controller」の付属品。上から専用ケース,スティックキャップキット,USBケーブル,交換用ボタンやパドル,ボタンリムーバーなど
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スティックキャップキットは「TT MAX Controller」のみに付属する(左)
USB Type-A to Type-Cケーブル(右)。ケーブル長約1.5mで,付属品としては珍しくフラットケーブルだ
ほかにも,接続安定性の向上に使われる「Hyperlink 2アダプター」が「TT PRO Controller」「TT MAX Controller」共通に付属される
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小型ボックスにはPCレイアウト用のボタンキャップ,背面ボタン用のパドル,ボタンリムーバー,スティックのテンション調整用ドライバーが入っていた
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そして,専用ケース内部に交換用D-Pad(十字キー)がある
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 本体はDualSenseよりもややコンパクトで,表面は滑り止めを兼ねたマット調,ハンドル裏面部分は凹凸を設けて,さらに滑りにくい設計になっている。
 ボタン構成はNintendo Switchベースだが,PCに接続した場合はXInputとしてふるまうため,−ボタンはビューボタン,+ボタンはメニューボタン,ホームボタンはXboxボタンとして機能する。

 PCに接続した場合,キャプチャーボタンは機能しないのだが,2026年春ごろまでにカスタマイズ用アプリケーションが登場するそうなので,キャプチャーボタンにF12をアサインできることを期待したい。なお,Webセットアップにも対応する予定とのことだ。

正面
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ハンドル先端部はDualSenseと変わらない幅だが,そこから上に進むほど「TT MAX Controller」のほうがスリムになっている。また,磁気浮上振動モーターは両ハンドル内にあるため,持った感じはDualSenseに近い
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 独自キーは本体正面中央にある設定キーと学習キーのふたつ。設定キーはPCレスでカスタムするためのキーで,スティックやボタンの組み合わせでジョイスティックのデッドゾーンの変更,背面ボタンに任意のボタンをアサイン,バイブレーションの強さ・方式の変更などができる。
 ただ,設定状況の把握は振動やライティングに頼る形になるため,背面ボタンだけ設定し,あとは専用アプリケーションの配信を待つのもいいだろう。

 さて。「TT PRO Controller」「TT MAX Controller」には,独自キー操作で設定できる機能に違いが多い。「TT PRO Controller」は最小限,「TT MAX Controller」はカスタム性が高いといった認識でよく,次のような違いがある。

機能 TT PRO Controller TT MAX Controller
背面ボタンのキー割り当て
ジョイスティックのデッドゾーン変更
A/B/X/Y/R/ZRの自動連続入力
A-B/X-Yの配列切り替え
R3/L3の感度調整
D-Padの4方向/8方向切り替え 8方向のみ
エイムアシスト
スティック跳ね戻り防止モード
バイブレーションの強さの変更
バイブレーションの振動モード変更
ライティングの制御
APG 最大10秒 最大10分

 機能面では違い多く,「TT MAX Controller」はD-Padの4方向/8方向切り替えやR3/L3入力の感度調整は地味ながら有用な機能であるため,プレイするジャンルが幅広いゲーマーほど「TT MAX Controller」がおすすめになる。

 補足しておくと,APGは端的に言えばマクロ機能だ。実際の入力を記録して再現するというもので,リピート再生やPCファイルとしての保存・共有にも対応する。同じ作業をひたすら繰り返すようなところに多いに活用できるだろう。

 また,本稿作成中に追加されたスティック跳ね戻り防止モードは,説明書にも記載がなかったのだが,GuliKitの解説をそのまま引用すると「これは一部のプレイヤーが特定のゲームでよく使う操作(例:スマブラでスティックを端まで倒してから素早く戻す動作)を行った際に,スティックが中心に戻る瞬間,キャラクターが意図せず反転してしまう問題を軽減するための新しいモードになります」になる。

 スティックがセンター位置に戻るだけであれば,反対方向への入力は発生しない。ただ,スティックを倒した状態から指を離すとき,反動で反対方向への入力が発生する場合がある。その点をソフトウェア的にフォローすべく,瞬間的にデッドゾーンを用意して意図せぬ入力を減らす機能のようだ。手で素早く戻した場合も同様に機能するため,基本オンでいい機能といえる。

 ボタンやトリガーは,いずれもメカニカルスイッチであると東京ゲームショウ2025で聞いているが,カチカチとクリック音はしないので,シリコンパッドを挟んでいるタイプと思われる。重くも軽くもなくといった調整なので操作に違和感を感じることはないだろう。
 例外としてはZL/ZRボタンだ。デジタルモード時のみクリック音が発生する。銃撃や物理攻撃の設定先として定番なので,わかりやすいフィードバックとしての仕様だろう。

本体上部。大型のショルダーボタンが目を引く。ショルダーボタン横にあるボタンは,接続先変更ボタンと電源及びバッテリー残量確認ボタンになる
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本体下部。特に何もないのだが,背面は傾斜はなくフラット。この点で持ちやすさの印象が変わるだろう。分厚くもないので,気にならないゲーマーのほうが多いと思われるが
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左側面。横からみるとD-Padはかなり巨大だとわかる
右側面。A/B/X/Yボタンの傾斜はカーブに合わせたものになっている
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ZR/ZLボタンの先端部に滑り止め加工がある
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 背面にはZR/ZLボタンのアナログ・デジタル切り替え用スイッチと,4つの背面ボタンがある。
 アナログ・デジタル切り替え用スイッチはすっかり定番化したので割愛するが,背面の追加ボタン(G1〜G4)は,ユーザーが使うボタンにだけ金属製パドルを取り付けるスタイルだ。タクタイルなフィードバックが小気味いい。また,適度な重さがあるため,誤爆率も低くなる。

 なお,パドルを取り付けなくてもボタンとして機能するため(やや強めに押下する必要はあるが),ものすごくときどき実行する操作を割り当てておくのもアリだ。

デジタルモード時はわずかに遊びがある程度で,即入力になる
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G4に金属製パドルを取り付けたところ
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 続けて,物理的なカスタム部分を見てみよう。
 スティックのテンションは,スティックキャップを外して行う。付属の専用ドライバーで左右に回して調整するのだが,最大まで軽くすると,触れていなくても入力が実行されるか,磁気浮上振動モーターが動くとランダムの方向に入力される状態になり,デッドゾーンもアプリケーションで確認しながら調整できないため,万人向けではない。

 その逆も同様でかなり重くできるが,45度回したら確認を挟みつつ,少し軽く,少し重くから調整していくといい。筆者の場合だと左スティックはそのままで,右スティックを誤入力が発生する手前まで軽くしている。

スティックキャップを外したところ
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ギリギリまで軽くしたい場合は,GuliKitウェブサイトにあるTEST TOOLを活用しよう。磁気浮上振動モーターの制御にも対応している。なおPCレイアウト用のA/B/X/Yボタンは,付属のリムーバーで簡単に外せる
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ボタンを外したところ
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同じAボタンでもインストール先が異なるため,背丈と形状が異なる
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 ボタン表面の文字を気にしないのであれば交換不要なのだが,あえてAボタンのみPCレイアウト用のものにしてゲームプレイをしていた。デフォルトよりもAボタンの背が高くなるため,他のボタンから指を滑らせるように入力する際のフィードバックがよかったからだ。

 デフォルトでもフィードバックはもちろんあるのだが,そこに露骨な引っ掛かりが増える点を気に入っている。次に触れるスティックキャップキットも含めて,ハードウェア面でもカスタムしやすい点は,ゲーマー向けであるといってもいいだろう。

左が初期状態,右がPCレイアウト用Aボタンを初期位置にインストールした状態
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先の写真を見てもわかるが,ボタンの上下左右を制御する切り欠きがないため,写真のようなこともできるのだが,リムーバーで抜くのに苦労したのでおすすめしない
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 D-Pad(十字キー)は左スティックに近い位置にあり,左親指の位置によっては左上方向に左スティックを倒した際に,D-Pad(十字キー)に触れてしまい,意図せぬ入力が発生しがちだ。DualSenseよりもややコンパクトであるため,仕方のない部分になるが,この回避策としてスティックキャップキットが役立つ。
 冒頭で「TT MAX Controller」をおすすめした理由はこれに尽きる。

初期状態のスティックを倒してみたところ。D-Padに近づきすぎな印象である
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左スティックだけ変更したもの。右スティックは初期状態のものなので,高さがわかりやすいはず
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D-Padは2種類から選べる。お好みで
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 最後に,ワイヤレスでは独自のHyperlink 2 Bluetoothテクノロジーを搭載し,Bluetooth接続でも低遅延であるのもポイント。
 カタログスペックではポーリングレート730Hz時,入力遅延2.62msと短い。Bluetoothっぽくない感覚だなぁと思いつつ,「モンスターハンターワイルズ」をプレイできた。
 ワイヤード接続はポーリングレート1000Hz時,入力遅延2.16msとさらに短くなるので,さらにシビアなシーンに挑むのであればワイヤードを選ぶといいだろう。

 比較的小型で背面ボタンもあり,磁気浮上振動モーターも搭載するゲームパッドだ。ソツのない仕上がりで価格帯的にも検討しやすい部類に入る。
 eスポーツに寄るほど磁気浮上振動モーターは除外されがちで,かつ高価格がお約束になっているため,1万円周辺で多機能なゲームパッドを探しているのであれば,本製品は真っ先に検討していいゲームパッドだといえる。
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